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世界のM&A 2016年末までの傾向を地域ごとに分析

Forbes JAPAN 8/25(木) 12:00配信

世界のM&A(企業の吸収・合併)活動は、第3四半期(7~9月期)には前年同期に比べてやや減少するものの、2016年いっぱいはあまり変動しないだろう――米イントラリンクス(Intralinks)は、初期段階(公式発表前)のM&A活動に関する追跡調査結果をまとめた2016年第4四半期(10~12月期)の「ディール・フロー・プレディクター」で、このような見解を示した。M&Aの動向は地域によって大きな差があり、ヨーロッパと中東、アフリカは16%、ラテンアメリカは11%増加。一方で北米では初期段階のM&A活動が11%減少、アジア太平洋地域では0.4%減少している。



2016年前半に発表されたM&Aの件数と初期段階のM&A活動の件数を基に考えると、2016年度に世界で公式発表されるM&Aの総数は、2015年度をわずかに(0.9%)上回る程度と予想される。2014年の前年比10.8%増、2015年の8.2%増とは大違いだ。

北米地域

2016年第1四半期(1~3月期)は前年同期比9.4%減、第2四半期(4~6月期)は11.2%減と、北米における初期段階のM&A活動は2四半期連続で減少した。景気回復のペースが遅いこと、政策金利のさらなる引き上げが予想されること、そして大統領選挙の結果が読めないことがその理由だ。今後も同じ理由から、M&A活動は停滞するだろう。

アジア太平洋地域

アジア太平洋地域については、東南アジア(第2四半期が47.8%減)とアジア北部(同8.3%減)を除いて、第4四半期のM&A公式発表件数は前年同期をおおむね上回るだろう。

4四半期連続でM&A活動が減少または横ばいだったオーストラリアは、商品価格の下落を受けて回復の兆しがみられる。8月2日に政策金利が過去最低水準の1.5%に引き下げられることが発表されたことが、M&A活動の活発化を助ける可能性もある。

M&Aが際立って活発なのは、前年同期比64.7%増のインド。2014年の選挙で新政府が選出され、ようやく間接税改革が行われる見込みであることが、より多くの投資とビジネス活動を促している。

香港については、中国経済の低迷の影響が懸念されたものの、初期段階のM&A活動は前年同期比9.1%増。日本は5.9%増と、5四半期連続で前年同期を上回った。これは日本政府が約束している景気刺激策の影響だ。

ヨーロッパ・中東・アフリカ地域

ヨーロッパ、中東、アフリカ地域は第4四半期、前年同期に比べてM&Aの公式発表件数が最も増えると予想される。例外はイギリスで、EU(欧州連動)離脱に伴う景気後退や金融市場のさらなる変動により、M&A件数は減少する可能性が高い。

中東とアフリカ北部を除く地域では第2四半期、初期段階のM&A活動が前年同期比15.7%増と堅調な増加ペースに戻っている。テロや移民危機、ギリシャの債務危機やシリアの内戦、トルコの国内情勢やイギリスのEU離脱決定など、この地域が直面している数々の難題を考えれば、いささか驚きの結果だ。

ラテンアメリカ地域

ラテンアメリカでは依然、一部の国が不安定な経済に悩まされている。深刻な景気後退が続くブラジルでは、今後もM&Aの公式発表件数が減少するだろう。不安定な為替変動と、トランプ米大統領誕生に対する恐怖に直面しているメキシコも、同様にM&Aの減少が予想される。

そのほかの多くの国については、第4四半期のM&A発表件数が前年同期を上回るとみられる。特にチリ(第2四半期は72.7%増)、コロンビア(280%増)とペルー(14.3%増)だ。

世界全体としてはまだ見通しが明るいとは言えない

先進国の経済成長は依然として低迷しており、新興国(多くが先進国の需要や資金流入に依存)の経済も全体として、潜在力を発揮しきれていない。特に石油と商品の輸出国は価格下落の打撃を受けている。中国経済の減速と原材料の需要低下が、世界経済をさらに不安定化させ、金融市場を乱高下させている。世界最大の経済国アメリカは、世界の経済成長がリスクにさらされているにもかかわらず、金融政策は引き締めに向かっているようだ。そして各地の金融市場に衝撃をもたらしたイギリスのEU離脱決定は、今後イギリスのみならず他の国々にとっても大きな不安定要素となるだろう。

Matt Porzio

最終更新:8/25(木) 12:00

Forbes JAPAN

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