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ROTH BART BARONの確信:「自分たちが表現できることを圧倒的に信じてる」

ローリングストーン日本版 8/25(木) 19:00配信

InterFM897と本誌のコラボレーションで、毎月第3火曜日の夜21時から生放送でお送りしているラジオ番組『(Are You Rolling?)We Are Rolling!』8月16日O.A分の一部を紹介。

ROTH BART BARONが語るFRFのステージ:「これまで経験がない危機感や恍惚感を感じさせる」

マール・サンダースとジェリー・ガルシアによる『ハーダー・ゼイ・カム』でスタートした『(Are You Rolling?)We’re Rolling!』。DJを務めるのは、小誌シニアライターのジョー横溝。同曲は、小誌のチーフ・フォトグラファーともいうべき存在で、8月3日に逝去した写真家・宮本敬文のお気に入りの1曲だった。

今回のゲストは、今年のFUJI ROCKでも素晴らしいパフォーマンスで会場を沸かせた、三船雅也(Vo/Gt)と中原鉄也(Dr)の2人からなるフォークロックバンド、ロットバルトバロン。二人の出会いからそれぞれの音楽のルーツ、今後の展望など、ブレイク間近のバンドの実像に迫るロング・インタビューをお届け。スタジオで披露してくれた生ライブの音源も公開します!

ー今日は生ライブもやってくれるとのことで、準備の方は大丈夫ですか?

三船:ドキドキですけど。

ーでもロットバルトバロンってめちゃめちゃライブバンドじゃないですか。

三船:はい、ライブを楽しいと言ってくれる人が多いと思います。

ー結成は何年になるんですか?

三船:「バンド組むぞ!」っていう感じで組んだバンドじゃなくて、遊びの延長だったんですよね。集まり始めたのは2008年くらいだと思います。

ーもともと二人は同級生?

三船:中学校の同級生でした。

ー出会った時は、お互いどんな意識だったのですか?

三船:同じクラスで僕テニス部に入ったんですよ。で、彼もテニス部に入部するって聞いて、そこからお付き合いが始まり・・・。

ー付き合ってるのか!?(笑)

三船:テニスでペアを組んだけど、卒業した後は別々の道へ行き、20歳過ぎた頃くらいに再会したんです。その時彼はドラムをやっていて、僕はひとりでコンピューターで作曲をやるようになっていて。彼の家にアップライトのピアノがあって、僕はそれを触りたくて、遊ぶようになったんですよ(笑)。それが2008年くらい。

ー中原さんを好きだったんじゃなくて、家にあるピアノを触りたくて近寄ったの?(笑)

三船:そうですね。あとゲーム機もたくさんあった(笑)。

ーだいたいバンドの裏事情って聞かない方がいいなって感じだよね(笑)。中原さんが音楽を始めたきっかけは?

中原:僕は高校もテニス部だったんですけど、引退した後に部活の仲間とバンドを組むことになったんですよ。その時はオリジナル曲が足りなくてカバーとかやろうって感じで。ヴォーカルもいてベースもいて、ドラムがいないので"じゃあ僕がドラムをやろう"というのがきっかけですね。

三船:彼らはその時、THEE MICHELLE GUN ELEPHANTのコピーバンドをやっていて、こないだFUJIのバックステージでチバ(ユウスケ)さんが泥酔してやってきたんですけど、中原は「木琴を触らせろ」って言われてめっちゃうれしそうだったよね。

ー自分の楽器を触られるのにあんなにうれしそうだったのは、そういう理由なんですね(笑)。

中原:ずっとチバさんの音楽を聞いていたので、うれしかったですね。

ーちなみにさっきの話は、ローリングストーンのTwitterを掘ってもらうと出てくると思いますので、よかったらチェックしてみてください。うれしそうに木琴をいじられている中原鉄也の笑顔が見られます(笑)。じゃあ音楽のルーツでいうと、てっちゃんはミシェルなの?

中原:そうですね。ミシェルのコピーバンドから始めたので。それも、その時のヴォーカルの影響なんですけど。

ーそこまで音楽のある生活をしていたわけじゃないんですね。

中原:そうなんですよ。テニス漬けの生活を送っていたので。

ー白いシャツがやたら似合うのはそのせいか(笑)。

三船:うちのトロンボーンとトランペットから、"白シャツ王子"っていう称号をいただいています(笑)。初出し情報です(笑)。

中原:確かにテニスが抜けないのか、今でも"音楽より運動やってそう"ってのは言われます(笑)。

ードラムで白いシャツ着ている人ってあまりいないから余計目立つのかもしれないね。これからもそれをアイデンティティとしていただければ。

三船:"いじられるから着ない!"って言ってたのに、まんまと着てきたね。ジョーさんが黒いから対極で?

ー意識して?

中原:意識してきました。

ー絶対してないよ! 目が泳いでたもん(笑)。で、ロットバルトバロンの詩と曲を書いてるのは三船さんだよね。三船さんの音楽のルーツは?


人気曲『Big Hope』と『アルミニウム』の生演奏。

三船:ルーツといえばルーツなんですけど、アメリカのエドワード・シャープ&ザ・マグネティック・ゼロズっていうバンドがすごく好きです。8人ぐらいのカリフォルニアのバンドで、ヒッピーみたいな旅芸人みたいな大所帯なバンドなんですけどね。カナダにレコーディングに行った時、ちょうど彼らが出ているフェスをやっていたのでオフに遊びに行ったんですけど、大げさにでかい音を出すとかじゃないんだけどエネルギーがものすごく溢れていて、アコースティックでプリミティブで、とても人間力を感じました。

高校生の時は、母がザ・ビーチ・ボーイズとかザ・ビートルズが好きだったのでそこらへんも色々聞いていたんだけど、英語が苦手だったから洋楽よくわからなくて。それで友達がある時、ゆずとかのMDを持ってきてくれて、フォーク・デュオとか、アコースティックギターって楽しいなって思ったんです。エレキギターをギュンギュン弾くよりも、そういう方が性に合うのかなって。それからバイトで稼いだお金を全部はたいて、中古CD屋さんの端から端まで聞き漁りました。そうするうちに、フォークでブルージーなものとか、原始的でプリミティブなサウンドに惹かれるようになっていって。マディ・ウォータースの最初の頃とか、サンハウスとか、アコースティック1本で旅しながら、土煙が見えてくるような音楽がすごい好きだぞって気づきました。

ー二人はまだ20代でしょ? 感性豊かな時には完全にデジタルの時代じゃないですか? なんでプリミティブな方に行ったんだろう?

三船:例えば電話が今はスマートフォンになっているけど、それができた由来は何なんだろうとか、そういうことをよく考えますね。古いものを通って新しいものができる。今日本はこんな感じだけど、昔は侍がいてお城があって・・・そんな感じで僕は歴史を辿るのが好きだったんですよ。

ーモノがどんどん変化していくのはわかるけど、もはやそれが進化なのかはよくわからないよね。便利になることと本質的なことは別問題なわけで。ロットバルトバロンの音楽に触れた時に、こういう進み方もあるんだなって衝撃を受けました。

三船:ビートルズはエルヴィスが好きだったとか、ストーンズはブルースが好きだったとか、みんなルーツがあるんですよね。ルーツを聞くと、なるほどなって思う瞬間が多い。辿っていくとアフリカを通り越してアイルランド行っちゃうみたいな、地図が出来上がる感覚が好きです。そればっかりやってると歴史研究家になっちゃうけど(笑)、そこにはなるべく誠実でいたいというか。僕、ゼロから自分のオリジナルの音楽ができるとは思っていないんですよ。

ーサウンドが日本語なこともオルタナティブだなと思います。歌詞を日本語で書くこだわりは?


バンドの作詞・作曲を務める三船雅也。

三船:日本語で歌うことについてすごく質問を受けるんですけど、生まれ育った国の言葉を使うのはとても当たり前なことのような気がしています。そこにコンプレックスを持っている人が多いんだろうなって思うけど、僕にはとても自然なことで。レコーディングでアメリカやカナダに行ったり、ライブでタイ、台湾、中国とか回ったりすると、僕らの日本語の音楽をすっと受け入れてくれる人が多くて、すごく励まされています。

日本語って一音一音が長いから、明治とか大正時代の人とかが外国のスコアを勉強するのは大変だったと思う。滝廉太郎の『花』で"はるのうらーらーの"って歌う間に、英語の歌だったら"そこに街があって、俺が生まれて"とか状況説明がたくさんできるけど、日本語だと"はるのうらーらーの"しか歌えない。だから僕らの曲、すごく長くなっちゃうんだけど(笑)。性格もパキパキしてる方じゃないし、日本語が合っている気がします。

ー日本語の方が感情は乗せやすいもの?

三船:今は英語も少し話せるようになって、英語の歌詞もどういう気持ちか少しわかるようになったけど、人間って言語によって自分を認識するじゃないですか。日本語の言語を取得したから、今こうやって日本語で考えてるんだよなって。"英語やフランス語にしたらどうなるんだろう"っていう興味はありますけど、英語圏の人たちが決して学べない言語感があるので、僕は母国語が日本語でよかったなと思う。英語圏でライブをするようになってから、改めてその価値に気づいた気がします。

ー僕の大好きな立川談志も、"その国で生まれたものしか、その国の文化になりえない"なんてことを言っていました。

三船:今は電話回線じゃなくてインターネットでメールをするし、ニュースも新聞も全部後出しで、言語も勝手にGoogleが翻訳してくれる世界になっているけど、実はもっとローカライズが重要なんだと思う。みんなの趣味が一緒というよりは、違いが浮き彫りになってきた感じ。僕はここまで生きてきて、逆にピントが合ってきた気がします。

ーここでリスナーからの質問です。国外でライブをすることもあるかと思いますが、国内外でお客さんの反応の違いなどありますか? また、おもしろエピソードなどがあれば教えてください。てっちゃん、寝てない?(笑)

中原:寝てません(笑)。お客さんは国内でも東京と大阪で違いますし、海外だからっていうよりは、その地域によって反応は違うと思います。アジアツアーに行った時、中国の方々がすごく盛り上がってくれたんですけど、ライブが終わった後も興味があるのか色々なことを聞いてくれたし、お客さんの反応がダイレクトに感じられた。モンゴルではフェスティバルに出たんですけど、エモーショナルなライブですごく盛り上がって、ステージから降りたところで初のサイン攻めにあいました(笑)。

三船:スタッフさんが「やめろ」というまで列が途切れなかったんですよ(笑)。

中原:最初は僕らのこと知らなかったと思うんですけど、ライブを見てダイレクトな反応だったのでうれしかったですね。

ーてっちゃんはサイン攻めにあいたいってことね(笑)。おもしろエピソードは?

三船:僕はアジアが大好きで、モンゴルに行った時に現地のお菓子とか布を買いたいなと思って、みんなを連れ出して青空市場に行ったんですよ。そうしたら 2人もiPhoneをすられたっていう・・・。

中原:おもしろエピソードなのかな、それ(笑)。

ー人の不幸が面白かったっていう話?

三船:そうそうそう。いや、違う違う(笑)。タクシーの運転手さんに朝青龍のことを言ったら喜んでくれたので、その一点押しでコミュニケーションを頑張りました。

ーアジアだけじゃなく、北米も回ってるんだよね? ヨーロッパはまだ?

三船:まだです。レコード先行発売をいつも予約してくれるドイツの強烈なファンの子とかいるので、何とか行きたいなとは思ってるんですけど、まだ計画中です。

ーちょっと堅苦しい話だけど、次の音楽シーンをどんな風に考えているか聞きたいですね。先日あるバンドの人と飲んでいて、"俺たち今アパレルかも"なんて言ってたんだよね。CD音源が売れなくて、売れるのはグッズとかTシャツばかりだと。そうなると"俺たちってもはや音楽家なのか?"って。週末も場所も限られている中でフェスも飽和状態だし、これからの音楽ってカルチャーとして表現としてどんな風にブレイクスルーしていくんだろう。

三船:CDってアートワークも小さいし、買って楽しいかって聞かれたら、正直もうそこにときめかない自分もいる。じゃあ何でリリースしてるのかと言えば、CDプレイヤーがないと音楽を聞けない人もいるから、僕らはCDを作ってるんです。一つの選択肢として、レコードも作ってるしデジタルダウンロードもある。ベートーベーンは偉大だけど、彼にお金を払って音楽を聞いたかっていうとそんなこともないし。じゃあ何に音楽が入っていても面白いんじゃないかなって考えて、新曲の『スイミングプール』をオルゴールに入れたんですよ。音楽とモノが寄り添う形がもっと自由にならないかなとトライは色々していて、CDの売り上げ自体にはクヨクヨしていないんです。音楽シーンというよりは、人間として音楽を楽しむことって何かなって考えています。

でも、やっぱり音楽って必要とされるんですよね。例えば今東京に大地震が起きたとして、最初は「今音楽聞いてる場合じゃないでしょ!」ってなるかもしれないけど、時間が経てば人間の嗜好品として必要されると思う。僕らがビートルズより唯一優れていることって、今ライブができることなんですよね。今を生きてるから。そこで自分たちが表現できることを圧倒的に信じてる。公私混同甚だしいバンドですけどそんな風に思っています。

—なるほど。音楽ってヒットを生む産業の道具ではあるけれど、ロットバルトバロンの音楽を聞いていると、改めて五感で感じる芸術なんだなって感じます。

三船:ありがとうございます。今度自分たちでイベントをやるんですよ。さっきのお金の話じゃないですけど、ライブハウスで安いカップに氷だけ入った薄い飲み物を500円で出すとか、そういうモチベーションになれないんですよね。ライブ終わった後に、愛想のないスタッフさんに「早く出てください!」って追い出されたりすると、音楽そのものが楽しくてもマイナスになるというか。そういうの僕らでどうやって解決できるだろうと考えて、自分たちでイベント組んでやってみることにしました。僕がクマが好きなので"ベアナイト"です。

中原:会場となるリキッドルームは、ライブをやるのは2回目なので、今までできなかったことを詰め込みたいですね。

ー来年はどんな夢を?

三船:世界をぐるぐる回りながら、日本でもツアーして、新しい音源を出して。清く正しくバンド活動したいと思います。

以下、スタジオでの生演奏の音源





ROTH BART BARON
ロットバルトバロン 2008年結成、東京都出身。三船雅也(Vo/Gt)と中原鉄也(Dr)の2人からなるフォークロックバンド。2014年に『ロットバルトバロンの氷河期』でデビュー。音楽メディアの2014年ベストディスクに数多く選ばれるなど、その高い音楽性と圧倒的なライブ・パフォーマンスが世界で好評価を得て、国内のみならず海外ツアーも精力的に行う。2015年10月、セカンドアルバム『ATOM』をリリース。
http://rothbartbaron.com/

- Live Information -

9月4日(日)『ROTH BART BARON × Turntable Films I will comply very speciral guest CLUB SNOOZER』
@梅田シャングリラ

9月10日(土)『New Audiogram 10th Anniversary』
@渋谷 TSUTAYA O-EAST / O-WEST / O-NEST / O-Crest

9月11日(日) 『中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2016』
@中津川公園内特設ステージ

9月15日(木) 『Ryo Hamamoto "Third" release party』
@渋谷WWW

10月22日(土) 『LOSTAGE presents [ 生活 2016 ]』
@スペースU古河

12月20日(火) 『BEAR NIGHT』- ROTH BART BARON One Man Show -
@恵比寿LIQUID ROOM

RollingStone Japan 編集部

最終更新:8/25(木) 19:00

ローリングストーン日本版

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