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米国の若者が金欠でも高いハンバーガーを買うワケ

JBpress 8/25(木) 6:20配信

 首都ワシントンにあるジョージタウン大学を久しぶりに訪ねて、驚いた。構内には学生食堂のほかにフードコートがあり、外食のチェーン店が並んでいるが、その内容が以前とはがらりと変わっていたのだ。

 ケンタッキー・フライドチキンやピザハットといったおなじみの店が姿を消し、代わりに1軒のハンバーガー屋が営業していた。いや、ぱっと見てハンバーガーと判別できたわけではない。「エレベーション・バーガー」というその店は、青と白で雪山を描いた実に爽やかな看板を掲げており、アイスクリームか何かの店かと思った。

 その違和感につられて近寄ってみると、この店は「史上最高のオーガニック・バーガー」を標榜していることが分かった。野菜も肉もオーガニック。牛肉はホルモン剤や抗生物質などの薬品を使用せず、放し飼いで牧草だけを食べたウシからとっているという。値段はかなり高い。どういうハンバーガーなのか。

■ “おいしくない?”ハンバーガーを高値で買う学生たち

 ちょうど昼どきだったので、ものは試しと買ってみた。

 まず、フライドポテトは太さと長さが不揃いだ。大手チェーン店では形と白さを保つためさまざまな添加物を加え、工場で大量生産した冷凍ポテトを店舗に配布することが多い。だが、ここではポテトを店舗でカットして揚げている。だから不揃いなのだという。現場では手間がかかるだろう。

 ポテトを揚げる油は、大手チェーンでは健康リスクが指摘されることの多いサラダオイルが一般的だが、ここではオリーブオイルを使っているそうだ。健康的かもしれないが、やはりコストは割高になるだろう。

 牧草だけで育てられたという牛肉はどうかと、ハンバーガーをかじってみた。牛肉独特のねっとりした舌触りが少なく、悪く言えば少しパサパサしていて「Grassy flavor(草くさい)」風味だ。放し飼いにされた牛は運動量が多く、筋肉質になりがちなこともあるだろう。

 アメリカ人は、穀物飼料で育てた脂(あぶら)の多い高カロリーな肉を食べ慣れている。ヘルシーとはいいながらこうした淡泊なハンバーガーがアメリカ人に受け入れられるのか疑問である。

 だが、マクドナルドなどと比べて値段が1.5~2倍近くもするこのハンバーガーを、若者たちが列をなして買っている。一体これはどうしたことか。

■ 健康マニアが多いミレニアル世代

 「史上最高のオーガニック」を掲げるエレベーション・バーガーは、首都ワシントンの南隣、バージニア州で2005年に誕生した。創業者のハンス・ヘスは、自分の子供たちに食べさせたい理想の外食を妻と一緒に考えるうち、安全と健康を最優先するコンセプトにたどり着いたという。

 値段は高いが付加価値も高いハンバーガーは評判を呼び、3年後の2008年にはフランチャイズ展開を開始。現在は国内外に53店舗を構える。

 外食業界では、エレベーション・バーガーの急速な成長は「ミレニアル世代」からの支持によるところが大きかったと見られている。 

 ミレニアル世代とはおよそ35歳以下の世代を指す。ベビーブーマーの子供たちだが、親世代より人口が多い。数え方にもよるが、ミレニアル世代は最大で米国総人口の3分の1に達する大集団であり、彼らの消費性向が今後のアメリカのビジネスを大きく左右することは間違いない。

 彼らは食生活についてどう考えているのか。あるコンサルタント企業の調査によれば、ミレニアル世代の26%が自分を「健康マニア」と自認し、自分の体に何を入れるのかについてきわめて高い意識を持っているという。彼らは安全で健康的な食品であれば、値段が高くても買うことを躊躇しない。筆者が見たジョージタウン大学の学生たちは、マニアとまではいわずとも健康への関心が高いグループなのだろう。

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最終更新:8/25(木) 6:20

JBpress

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