ここから本文です

海自とアメリカ第7艦隊の戦力分散を画策する中国

JBpress 8/25(木) 6:10配信

 8月17~20日、中国海軍が日本海で軍事演習を実施した。演習の詳細は発表されていないが、2つの戦隊による対抗演習(想定敵戦隊と中国戦隊による実働戦闘訓練)を行った模様である。

 中国海軍はロシア海軍との各種合同訓練を日本海で実施したことはあるが、中国海軍単独での日本海における本格的軍事演習は今回が初めてである。

■ 日本海で実施された中国海軍対抗演習

 8月12日に駆逐艦1隻、フリゲート1隻、それに補給艦1隻により編成された中国戦隊が東シナ海から太平洋に抜け出て北上した。同戦隊は8月14日、オホーツク海から宗谷海峡を横切って日本海へ進入した。そして8月16日、フリゲート2隻と補給艦からなる中国戦隊が対馬海峡を北上して日本海へと入った。

 この2つの戦隊が日本海での対抗演習を実施したレッド(仮想敵)戦隊とブルー(味方)戦隊である。人民解放軍による報道発表では、「この対抗演習は特定の国をターゲットにしていない」ことを強調しているが、海上自衛隊戦隊を仮想敵戦隊としていることには疑いの余地がない。

 引き続いて8月18日と8月19日には、それぞれ早期警戒機と爆撃機数機からなる航空部隊が対馬海峡上空を抜けて日本海の演習空域へ飛来し、また対馬海峡上空を経て東シナ海上空へ達し、中国本土へ帰投している。

■ 小規模だが戦略的意義のある演習

 公海上で行われるこの種の海軍演習は、海上自衛隊や米海軍をはじめ世界中の海軍も行っている。そのため、中国海軍による対抗演習それ自体は何ら問題はない。

 ただし、南シナ海そして東シナ海での中国海洋戦力(海軍、海警、海上民兵)による海洋攻勢が激しさを増しているこの時期に、公海上とはいえ日本海で対抗演習という実戦的訓練を行ったということには戦略的意義がある。

 すなわち、海上自衛隊とアメリカ第7艦隊の戦力を分散させるための布石の1つと考えられるからだ。

■ 東シナ海と日本海それにミサイル防衛への戦力分散

 現在、尖閣諸島周辺に、海上民兵や海軍特殊部隊を含むであろう多数の中国漁船や、それを監視保護する名目で多くの巡視船が出没しており、東シナ海から西太平洋にかけての海域や上空での中国軍艦や軍用機の活動も活発になっている。

 そうした中国海洋戦力の動きに対処するため、海上保安庁は尖閣諸島を中心とする東シナ海の巡視能力を強化し、海上自衛隊も東シナ海での中国艦艇の動きに目を光らせる態勢を固めている。

 ただし、イージス駆逐艦をはじめとする海上自衛隊の主力艦は、北朝鮮ならびに中国の弾道ミサイルに対抗するため、弾道ミサイル防衛(BMD)艦隊としての役割も負わされている。そのため中国との軍事的緊張が高まった場合には、少なくとも2つのBMD艦隊が日本海に展開し、少なくとも1つのBMD艦隊が東シナ海に展開しなければならない。

 中国による対日弾道ミサイル攻撃を監視し、発射された弾道ミサイルを捕捉し撃破するイージス駆逐艦と、それを敵の水上戦闘艦艇や潜水艦、それに航空機による攻撃から防御する任務を負った護衛艦艇からなるBMD艦隊には、中国艦艇それ自体を追尾したり攻撃する余裕はない。

 したがって有事の際に、中国海軍が東シナ海だけでなく日本海にもそれぞれ数個の水上戦隊を展開させた場合には、海上自衛隊は3つのBMD艦隊に加えて、それらの中国水上戦隊に対抗するだけの戦力を東シナ海と日本海に投入しなければならなくなる。

1/3ページ

最終更新:8/25(木) 6:10

JBpress

記事提供社からのご案内(外部サイト)

JBpress PremiumはJBp
ressが提供する有料会員サービスです。
新たな機能や特典を次々ご提供する“進化
するコンテンツ・サービス”を目指します。

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。