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端子、有機EL、FeliCa、『iPhone 7』はどう進化する?

@DIME 8/26(金) 18:10配信

 スマートフォン業界の最前線で取材する4人による、業界の裏側までわかる「スマホトーク」。今回は9月発売が予測される、新型『iPhone 7』をテーマに話し合います。

房野氏:そろそろ新しいiPhoneが気になる時期になりましたので、『iPhone 7』という名称になるかどうかも分かりませんが、新しいiPhoneがどうなるか、発売時期なども予想していただきたいと思います。

石野氏:発売時期は去年と同じじゃないでしょうか。

石川氏:時期を変える理由はないと思うので、9月第2週発表、翌々週発売くらい。

法林氏:順当に行くと、9月7日発表、23日発売じゃないかな。

石野氏:毎年、IFA(Internationale Funkausstellung/国際コンシューマ・エレクトロニクス展。毎年9月にドイツ・ベルリンで開催されるエレクトロニクス製品の展示会)と若干かぶるんですよね。

房野氏:機能的にはどう変わるでしょうか。

石野氏:あまり変わらないといわれていますよね。

法林氏:薄くなるかも。

石川氏:変わらないといわれているけれど、ヘッドホン端子がなくなって薄くなるなら結構大きな変化。よく分かりませんが、基本的なデザインテイストは近いのかな。最近出回った画像も、背面の線はなくなっていたけれどデザインは似通っていて、そんなに驚きはない。

 来年は有機ELディスプレイを採用するといわれているので、今年は控えめな進化というのがネット情報ですね。ここ何年もネット情報が当たっている部分が多々あるので、期待を裏切らない、期待を超えないという意味で、順当なものが出てくるんじゃないのかな。

法林氏:ネット情報は中国のサプライヤーの情報が多いので、情報の確度が高くて、あまり変なネタはない。それより外観以外がどうなるかが気になります。例えば噂の通り256GBモデルが出るのか、16GBがなくなるのか、カメラモジュールが変わるのか。Android勢のカメラはすごく伸びているので、iPhoneもキャッチアップする可能性はある。

石川氏:外観が変わらないと進化感がないので、スペックを強化してくると思います。

法林氏:主要な部品のサイズといったフォームファクタは多分変わらないと思います。薄くなると思うけど、今年、本当に薄くなるのか。ディスプレイを有機ELにすると、バックライト分がなくなるので薄くなるのは確実だろうけど、来年、本当に有機ELになるかどうかも分からない。そういう噂というだけ。

房野氏:『iPhone 6』では折れ曲がるものが出て強度が問題になりましたが、『iPhone 6s』で少し堅くなったようです。ここからまた薄くするとなると、マグネシウム素材を使ったりするでしょうか。

法林氏:あり得るでしょうね。

石川氏:曲がったことで相当なイメージダウンがあったので、是が非でも曲がらないようにするんじゃないでしょうか。

房野氏:Appleは仮想ライバルを設定しているでしょうか。

石川氏:ライバルを設定していたら、もっと機能が進化しているだろうし、もっと薄くなっているだろうし。もし設定していたら負けているのは明白ですね……。

石野氏:ソフトウェアはAndroidを追いかけているところがある。

法林氏:ハードウェアは自分たちの路線を進んでいますね。Appleのチーフデザインオフィサーであるジョナサン・アイブの考えがそのまま生きている感じがする。余計な雑音はない状態で作られている。

石野氏:今のiPhoneは雑音があって未完成ですよね。

法林氏:今の背面はちょっとダメだよね。それを消してくる可能性はある。他社は金属パネルを使いながら背面をフラットにできているので、そこはキャッチアップしてくると思います。薄くするためにイヤホン端子をなくすという件については、3.5mmのイヤホンジャックはフィーチャーフォンのときにも散々いわれたけれど、部品が大きいんです。見えている部分の周りに箱を付けないといけなくて、薄くできるLightningやmicroUSB端子より、どうしても厚みが出てしまう。ただ、今回はないかもしれないけれど、EUが外部接続端子はmicroUSBもしくはUSB Type-Cにしろというかもしれない。

石川氏:その件は相当前からいわれているけれど、Appleは無視しているから、もういいということになるんじゃないですかね。『MacBook』でType-Cを採用しているので、導入はできるだろうけど。

石野氏:今は変換アダプタでお茶を濁していますね。

法林氏:Type-Cの可能性はあるけれど、僕はやるなら先にiPadの方だと思う。

石野氏:Type-C自体がLightningと比べて微妙なところがあるんですよね。

法林氏:LightningはMFi(Made for iPhone)認証の手間はあるにしても、コネクタとしてはよくできている。

石野氏:価格が高いだけある。

石川氏:今、LightningからType-Cにしたら、みんな怒り出しますよ。iPad Proのペンの端子だってLightningだし、これだけLightning押しなのに、「ごめん、Type-Cで」となったら、みんなドン引きでしょう。

石野氏:Type-CにしてもiPhoneユーザーにはメリットがないですしね。

房野氏:LightningにType-Cのコネクタを付けることはできますか。

法林氏:できると思いますよ。変換アダプタを作るのはわけないと思う。

房野氏:最悪、それになるということですね。

石川氏:Type-Cにするなら、中国からそういう噂が出てくると思う。

房野氏:Type-CとLightningだど、どちらが高性能なのでしょう。

石野氏:フルのデータ転送速度はType-Cの方が速いんじゃないですか。

法林氏:Type-CはUSB3.1規格。Type-Cのコネクタ形状で規格上はUSB2.0の場合もあるし、microUSBのケーブルがかさばるけど、USB3.0のスピードが出るものもある。ただ、外部接続端子は圧倒的に充電に使われる。iPhoneがLightningにした理由はひとえに、過去、自社以外の変なケーブルや充電器を使って充電して、本体が燃えるというトラブルがあまりにも多かったから。

石野氏:電源周りは危ないですもんね。

法林氏:この間も充電器が発火して、アミューズメントパークのショーが中止になる事故がありましたね。

■iPhoneにFeliCaが搭載される?

房野氏:iPhoneにFeliCaが搭載されるという話が出ていますね。

石川氏:先日、「NFCフォーラム ジャパン・ミーティング」というイベントがあり、そこでJR東日本のIT・Suica事業本部担当部長の山田肇さんが登壇して、今までFeliCaはガラパゴス的に見られていたけれど、JR東日本が動いてグローバル規格になろうとしていると説明してしました。

 ざっくりいうと、NFCフォーラムが作ったFeliCaを含む規格を、モバイル業界団体のGSMAが参照する形になる。結果、公共交通機関に対応するNFC搭載のグローバルスマホは、2017年4月以降、FeliCaに対応するそうです。NFCフォーラムにはAppleも参加しているので、当然、AppleもNFCフォーラムが作った規格に準拠する形になる。遅くとも来年の新製品でFeliCaに対応する可能性が非常に高くなったということです。これがオフィシャルの話。

 現場では、NFCフォーラムの偉い人も、なんかすごく言いたそうにしているんだけど、言えないみたいな感じの雰囲気を醸しだしていたんですよ。JR東日本の山田さんも、「じゃあ、iPhoneでFeliCaが使えるようになるんですか」と聞かれると、答えないけれどニッコリ笑う。規格面ではそういう動きがありました。それ以外のところでも、「今年のiPhoneはFeliCaに対応するっぽい」ということを匂わす人が何人か現れているんです。

法林氏:石川君の話をちょっと補足すると、NFC(Near field radio communication)って信号のやり取りの規格なんです。そこで使うチップにType A、Type Bという種類があって、FeliCaは以前はFeliCaチップと呼んでいたけれど、最近はType Fと呼んでいる。日本の初期のスマホや昔のフィーチャーフォンはFeliCaのみを載せて、通信もFeliCa独自の規格でやっていた。

 ところが、途中からグローバルモデル、例えばGalaxyなんかでFeliCaを使えるようになったのは、Type A/BとFeliCaチップを搭載したから。NFCモードで動くときはType A/BのチップでNFCの通信をして、FeliCaを使うときはFeliCaの通信をするという形だった。今回はNFC規格の中でFeliCaも扱われるようになるということ。これからはA、B、Fという3タイプのチップが標準的に載るようになっていくでしょう。

 日本ではA/B/Fのコンボチップを採用していて、グローバル向けに供給されているチップもA/B/F全対応が増えてきている。iPhoneはそれを載せてくるのではないかといわれています。海外はスマホの買い替えペースが遅いからリプレースに時間がかかると思うけど。

石野氏:3タイプの混合チップはコストが上がるのでね。でも、すでにこっそり搭載しているグローバルなAndroidスマホがあります。あとはソフトウェアの部分と、JR独自規格のいわゆる“サイバネ規格”が標準化されていけば搭載しやすくなる。

石川氏:そうそう。サイバネ規格も含めて標準化されています。大量に作ればコストも下がるから、Appleが「載せます」といったら、そこで安くなる可能性がある。Appleって共通化された規格は結構すぐ採用する会社。MacBookのUSB Type-Cもそうだし、Thunderboltも結構早かった。

法林氏:nanoSIMが早かったね。

石川氏:そうですね。iPhoneでnanoSIMも載せるのが早かった。興味ないふりして先に載せちゃう会社なので(笑)そう考えると、今年、FeliCaチップが載る可能性は十分ある。そう予想している人もいます。

法林氏:チップが載ったから、はい、どうぞ、という話ではなく、当然、そこにアプリも必要。JRの評価試験もある。以前は“FeliCa検定”、“モバイルSuica検定”といわれて、今は統合されていますけど、自動改札機の通過性能として1分間に60人以上が通過できることで合格という条件があるんです。すごい高速の読み取りが要求される。それができないとダメ。

石川氏:今年の9月にFeliCaが載ったiPhoneが発売されたとしたら、多分そこから試験が始まると思うので、実際に使えるようになるのは、もっと先かもしれない。通過試験を通らなくておじゃんになる可能性もある。

法林氏:Suicaの試験は厳しい。昔、ドコモの端末でモバイルSuica対応機種といって発表した端末が通過試験に通らなかったこともありました。

房野氏:モバイルSuicaの認定はJR東日本がやっているんですよね。東日本で通ればJR西日本でも使えますよね。

法林氏:PASMOもそうですが、Suicaの改札の基準でJRのIC乗車券は全部カバーしています。

■いろんな国の交通機関利用や支払いがスマホ1台でOKになる世界へ

房野氏:iPhoneのFeliCa対応は大きなポイントですね。

石野氏:大きなポイントですけど、グローバルでどうかな、というのはちょっと感じます。

法林氏:FeliCaは日本ローカルだという人がいるけれど、香港の「オクトバスカード」、ロンドンの「オイスターカード」もFeliCaを使っています。

石川氏:JR東日本は「公共交通機関のハーモバイズができる」と語っていました。というのは、Type Aを使っているのはロンドンのオイスターカードで、あれはApple Payで乗車できる。Type Bはシンガポール、Type Fは香港の交通機関が採用している。それを全部乗れるようにしましょうというのがNFCフォーラムの考え方。Appleとしても、すでにType Aで電車に乗れるようにしているから、Type Fでも乗れるようにしようと考えると思うし、日本だけじゃなくて世界中で、いろんな電車に乗れるようにしようという方向。

 iPhoneを持っていたら、ヨーロッパではオイスターカードで電車に乗れるし、逆に海外の人がオリンピックで日本に来たときに、アプリを用意しておけば、成田空港でわざわざカウンターに並ばなくても成田エクスプレスにすぐ乗れるようになるという世界を目指している。ティム・クックはiPhone 7について言及したときに「生活に欠かせないものを載せる」みたいなことを言っていたので、あれって思いました。

房野氏:確認ですが、Suicaでチャージした電子マネーをオイスターで使えるということはないですよね。

法林氏:それはないです。今のおサイフケータイと同じことで、楽天EdyにチャージしてもモバイルSuicaで使えないのと同じ理屈。ただ、今後スマホの中にType A/B/Fが入ってくれば、端末を持って行けば、通信は最低限必要だけど、アプリをインストールしていれば何でも乗れる時代が来るかも。

房野氏:セキュリティ面は大丈夫でしょうか。日本ではそんなに心配していませんが、海外で使った場合にスキミングされたりといった心配はないでしょうか。

法林氏:たぶんないです。

石川氏:NFCの考え方としては、端末を、日本では85mm、海外では20mmくらい、読み取り機に端末を近づけることでセキュリティを担保しているんです。端末を盗まれたらダメだけど、短い時間でスキミングされるということは、ほぼないと思います。

石野氏:海外のサービスは、カードエミュレーションモード使っているものが少ないです。カードエミュレーションモードはその名の通り、スマホが非接触ICカードと同じような動作をすることで、例えばモバイルSuicaは読み取り機にタッチするだけでいいですが、オイスターやVisaの「payWave」といった海外のサービスでは、スマホのロック解除をして、一度設定してから読み取り機にかざさなくてはいけないものが多い。

房野氏:チャージはキャリア支払いができるようになるでしょうか。

法林氏:うーん……今だと、モバイルSuicaはJRのビューカードを持っている人だったら、会費0円でクレジットカードや銀行引き落としでもチャージできる。海外のサービスは、クレジットカードでチャージできるものもあるだろうけど、現金を持って行ってカードを渡してカウンターでチャージしてもらうパターンも結構多い。これは自販機の文化が関係するのでなんとも。

石川氏:今まで、スマホでいろんな国の電車に乗るという考えはなかったけれど、将来そうなると、たとえばJR東日本は海外のクレジットカードでもモバイルSuicaを使えるようにするだろうし、実際、JR東日本は海外の人にも使ってもらいたいからグロバールスマホに対応させようとしている。たぶん、今後は考え方が変わって、海外のクレカでも登録ができるようになると思います。

石野氏:今のように、他社クレカだけ年会費を取っていると、アプリがリジェクトされかねないですよね。

法林氏:僕らが海外に行って、クレカを使ってSIMカードにデータをチャージしようしても、できないことがちょいちょいある。そういうことも含めて、カード会社も少し変えていかなくてはいけない。ただ、マスターカードの「コンタクトレス(旧PayPass)」やVisaのpayWaveなんかが全世界で広く使えるようになってきている。日本の携帯電話でもiDとPayPassを入れておけばヨーロッパで買い物するときに使えたケースがあるので、ちょっとずつ変わると思いますね。

石川氏:もしかすると日本は、NFCの決済端末を普及させる必要はそんなになくて、FeliCaベースでいいのかなと。日本ユーザーはiDもEdyも使えるし、iPhoneを使ってコンビニのレジで支払いができるようになる。海外から来る人も、iPhoneがあれば、持っているクレジットカードとFeliCaが紐付いて、いろんな支払いができるようになるという世界観なのかな。

石野氏:クレジットカード自体に付いているNFCで払う人もいるので、オリンピック対応で、たぶんマスターカードとかがカードリーダやカードライターを入れ替えてくるんだろうな思いますね。

房野氏:ところで、『iPhone SE』の後継はまだ出ませんよね。

石野氏:まだでしょう。

法林氏:来年でしょうね。

石野氏:『iPhone 7 Plus』はカメラが2つになるという噂が出たり消えたりしていますけど、どう思います?

法林氏:二眼ね……ファーウェイの『P9』は面白いと思うけれど、ソフトも含め大変ですよね。カメラのアプリは別個に必要になるので大変じゃないかな。

石野氏:確かに。あと、標準iPhoneと、『Plus』と『Pro』の3バリエーションになるという噂もある。ネットに出ている写真を見ると、微妙なサイズ感ですよね。これによるとProだけデュアルカメラです。本当かなあ。このくらいの金型だったら偽物が作れそうだなあ。iPad Proみたいなスマートコネクタも付いてますよ。

石川氏:Proだけペン対応というのはありえるかなあ。最初のライバル話じゃないけど、『Galaxy Note 7』対抗かもしれないですね(笑)

......続く!

次回はキャリアサブブランドと格安スマホについての会議です。ご期待ください。

@DIME編集部

最終更新:8/26(金) 18:10

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北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。