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欅坂46が“けやき坂”で見せた1年目の集大成、そして今後の可能性

リアルサウンド 8/26(金) 18:01配信

 欅坂46が8月20日、六本木ヒルズアリーナで開催された『テレビ朝日・六本木ヒルズ 夏祭り SUMMER STATION』内の日替わり野外ライブ「コカ・コーラSUMMER STATION 音楽LIVE」に出演した。

 欅坂46は8月21日にグループ結成から1周年を迎えたため、この日は活動1年目の最終日。場所も彼女たちのグループ名に縁のある“けやき坂”で行なわれ、メンバーにとってもファンにとっても特別な思いを抱いたイベントだったに違いない。

 オープニングを飾ったのは、今泉佑唯と小林由依によるユニット“ゆいちゃんず”が、フォークギターを抱えてデュエットする「渋谷川」。昭和歌謡のようなメロディーラインと2人の清涼感溢れる歌声が、曇天のじめじめした空気を取り払ってくれた。ゆいちゃんずは最新作『世界には愛しかない』でもフォークの精神を感じさせる新曲「ボブディランは返さない」を歌っており、欅坂46にとっては欠かせないユニットになりつつある。彼女たちの楽曲が欅坂46を知らない人たちも含め、幅広い層へとアプローチできるのは、先日の『TOKYO IDOL FESTIVAL』でも実証済み。この日のイベントは整理券制だったため、多くの人は姿こそ見えなかっただろうが、来場者に耳を傾けさせるにはうってつけの1曲だった。

 ゆいちゃんずの出番が終わると、Overtureが流れてメンバー全員がステージへ。スルーされがちだが、欅坂46のサウンドを語るうえで、このOvertureへ触れないわけにはいかない。坂道シリーズの先輩である乃木坂46は、低音の強いエレクトロサウンドでファンの士気を高めるOvertureを使用しているが、欅坂46のOvertureに関しては、彼女たちのサウンドにおける代名詞となりつつあるアコースティックギターがここでも登場。アヴィーチーの「Wake Me Up」を連想させるサウンドが会場に鳴り響いた。

 その後、メンバー21人で披露したのは、終始かき鳴らされているアコースティックギターと、切なさを助長するピアノの旋律、メンバーのポエトリーリーディングが印象的な「世界には愛しかない」。2ndシングルの表題曲でもあるこの曲は、1stシングル表題曲「サイレントマジョリティー」と違い、センターである平手友梨奈を引き立てる振付ではなく、各自がそれぞれ考案したというポエトリーリーディングの箇所以外は、メンバー全員が均等に前へ出るような工夫がされている。初速をつけるため、クリエイティブの充実とインパクトの強さで勝負した1stシングルから、よりグループの名前とメンバーの存在を認知させる2ndシングルへ。振付一つ取っても、細やかな工夫が行き届いているグループはやはり強い。

 MCを終え、守屋茜がこれまでよりも強めの煽り方で会場を盛り上げたあとは、彼女と菅井友香の寸劇が繰り広げられる「手を繋いで帰ろうか」へ。1stシングル収録曲のなかでは一番アイドルポップス色の強いといえる同曲だが、パフォーマンスも含めて見ると、この日は披露されなかった「キミガイナイ」も含め、TAKAHIRO氏がいかに欅坂46の歌詞・MVの世界観を読み取り、それを雄弁に語る振付を与えているのかが理解できる。

 4曲目には菅井をセンターとし、両脇を志田愛佳と渡邊理佐、さらに外側を守屋と渡辺梨加が固める「青空が違う」を“ほぼ”初披露(この時点では8月13日の名古屋握手会会場でのみ披露されていた)。楽曲を手掛けたのは、作曲・杉山勝彦、作編曲・杉山&有木竜郎という、乃木坂46ファンにとっては「君の名は希望」や「きっかけ」など、数々の代表曲でおなじみのコンビ。四つ打ちのビートとストリングスが切なくもポップに絡み合うアレンジは、乃木坂46に提供されて「これぞ乃木坂!」と称賛されてもおかしくない良曲だ。乃木坂46にとっては王道ともいえる楽曲でも、シリアスかつ前衛的なイメージの強い欅坂46に手渡されると、違った新鮮さに映ると同時に、彼女たちが“坂道シリーズ”という繋がりを持っていることを改めて認識させられる。乃木坂46がアイドルグループとして確固たる地位を確立し、欅坂46が革新をもたらす存在として認知され始めた今だからこそ、2グループを繋ぎとめる「青空が違う」が、このタイミングで欅坂46に渡されたことの意味合いは大きい。

 鈴本がMCで「この曲の振付は、欅坂の中でも特に難しい」と語ったのは、5曲目の「語るなら未来を…」。振付や雰囲気は6曲目に披露された「サイレントマジョリティー」と同じカテゴリに入ってくるものだが、楽曲は90sのJ-POPを彷彿とさせるチープな音色のシンセサイザーが特徴的で、乃木坂46の「世界で一番孤独なLOVER」に近しい印象を受けるもの。バグベア(「サイレントマジョリティー」)とPENGUINS PROJECT(「語るなら未来を…」)といった気鋭の若手作家を作曲に、久下真音(「サイレントマジョリティー」)と佐々木望(Soulife・「語るなら未来を…」)という絶妙なバランス感覚を持つ中堅アレンジャーを起用する方向性は、この2曲によって「欅坂46」の王道スタイルとして確立された。

 2度目の「世界には愛しかない」が披露されたアンコールで、小林は「2年目は、1年目のときよりも大きな場所で大きなライブがしたい。たくさんの人に勇気を与えられるグループになりたい」と語り、平手は「この1年、私たちはたくさんの出来事をすごいスピードで経験させていただきました。これからも感謝の気持ちを忘れずに、坂を1つひとつ上っていきたい」と決意を新たにした。

 乃木坂46の方法論を踏襲しながら1作目を大ヒットさせ、その結果に慢心せず、さらなる挑戦を続けながら独自の色を作り出す欅坂46は、アイドルシーンにおいて他の追随を許さないほどの強度を誇る。相変わらずといえる緩やかなMCはいまだ健在だが、彼女たちが1年目の集大成を見せたこの日のライブは、その理由を目と耳にしっかりと理解させるには十分すぎる50分間だった。

※記事初出時、一部表現に誤りがございました。訂正してお詫びいたします。

■放送情報
『テレビ朝日・六本木ヒルズ 夏祭り SUMMER STATION 音楽ライブ』
今秋・CSテレ朝チャンネル1で放送決定

■セットリスト
1.渋谷川
2.世界には愛しかない
3.手を繋いで帰ろうか
4.青空が違う
5.語るなら未来を…
6.サイレントマジョリティー
En1.世界には愛しかない

中村拓海

最終更新:8/26(金) 20:59

リアルサウンド

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

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