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パラリンピック選手たちがやっている凄いこと

JBpress 8/26(金) 6:20配信

 2016年の夏を盛り上げた、リオデジャネイロ・オリンピック。奇跡的な勝利から、大本命と思われた選手の敗退まで、さまざまなドラマがありました。この記事はおそらく大会の閉会直後、まだ余韻が残るころに公開されると思いますが、みなさん「リオロス」に陥っていないでしょうか。

 日本選手たちの活躍はもちろん素晴らしかった。そして、鍛え抜かれた肉体が躍動する姿には、国境や人種を超えて素直に感動させられます。「人間の体って、こんなにすごいのか」という驚きと感動を、何度も味わいました。

 スポーツでは、よく「限界を超えろ」という言い方をします。今の自分の上限より、さらに上を目指して成長しよう、という意味です。スポーツには「勝敗」や「記録」という分かりやすい指標があるので、こういう言葉がなじみやすいのでしょう。

 そして、「限界超え」を目指すのはスポーツだけではありません。仕事や勉強、あるいは人間関係などの日常的な場面でも、「もっと成長したい」「今の自分を超えたい」などと感じることはあるでしょう。

 そこで今回は「限界を超える」というテーマについて、スポーツをはじめ、さまざまな観点から考えていきましょう。

■ 肉体の限界より前に、心の限界に突き当たる

 最初に「限界」とは何なのかを考えます。たとえば100メートル走などの種目で、記録の限界を決めているものは何だと思いますか。

 まず思い浮かぶのは「肉体的限界」でしょう。ここには、筋肉が作り出すパワー(筋力)や、筋肉に酸素を送り込む能力(有酸素能力)といった生理的な要素が関わっています。そして、この方向の能力を高めよう思ったら、筋トレや有酸素トレーニングをすることになります。

 ただ、実際はむしろ、肉体的な限界よりもっと手前で「心理的な限界」に突き当たるケースが多いといいます。

 心理的な限界とは、体の動きにブレーキをかける心の作用のこと。体にとって、筋力の限界までパワーを出すのは諸刃の剣。自分のパワーに耐え切れず、筋肉や靭帯を傷つけてしまうリスクがあります。そこで人間の心は、本当の限界よりかなり手前で、「これ以上は無理!」と感じるようにできています。一般に、最大筋力の7~8割ぐらいの力で、「もう限界」と感じる人が多いと言われています。

 逆に言うと、気持ちの上では「無理!」と感じていても、体にはまだあと2~3割の余力があるということ。そして、この余力を目一杯まで発揮するのが、いわゆる「火事場の馬鹿力」です。火事のような生死に直結する状況では、体は、安全弁などと悠長なことを言っていられないので、緊急的にブレーキを解除します。すると、とてつもないパワーが発揮されるのです。

 スポーツの現場では、この「火事場の馬鹿力」を引き出す練習として、「もう無理!」と感じてからさらに追い込むような過酷なトレーニングをします。言ってみれば、意図的に火事場を作り出す練習。体が「死ぬかもしれない」と感じるまで追い込むわけですから、大変なものです。

■ 50メートル走のタイムを縮める「技術」がある

 心理的ブレーキを外すには、別のアプローチもあります。たとえば、小学校の体育の授業などでよくやる50メートル走。ゴールの50メートルラインより少し先(60メートルあたり)にパイロンなどの目標物を置き、そこを目指して走るのです。すると、たいていの子はタイムが伸びます。

 なにが起きているのでしょう?  実は、多くの子が、ゴール直前で無意識にスピードを緩めてしまうのです。「ここがゴール」と思うだけで、もうブレーキが働く。これも一種の「心理的な限界」です。パイロンを使って目標点を先に設定すれば、50メートルラインはただの通過点になり、スピードを落とさずに駆け抜けられるのです。

 こういうのは、体の能力をうまく引き出すための「技術」といえます。「コツ」と言ってもいい。そして、こういう技術を知らない(または上手く使えない)ために、タイムが伸び悩む場合もある。つまり「技術的な限界」もあるわけですね。

 もちろん、ここに挙げたのは小学生レベルの技術ですから、オリンピックに出るような選手とは全く次元が違います。でも、体の能力をうまく引き出す技術が必要なのは、アスリートも小学生も一緒。トップアスリートには、そのレベルに見合った技術が必要なのです。

■ 「四十にして惑わず」の真意はどこにある? 

 唐突ですが、ここで「論語」の話をしましょう。古代中国の賢者、孔子の言葉を集めた、あの「論語」です。

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最終更新:8/26(金) 6:20

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