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地方ローカル線・三陸鉄道に何が起こった?――藻谷浩介と考える「持続可能な地方経済」

HARBOR BUSINESS Online 8/26(金) 9:10配信

アベノミクスの恩恵は、都市部や大企業が中心で、地方や中小企業にはほとんどまわってきていない。特に、東日本大震災で大きな被害を受けた東北地方の経済的復興はまだこれからだ。HBOは、エコノミスト・藻谷浩介氏の講演ツアーに同行して東北復興の“現場”を歩き、地域の特性を活かした「持続可能な経済」について考えた!

◆【岩手】地元の景色や食材を活用して鉄道事業・観光事業も活性化

 地方経済活性化のための「里山資本主義」を提唱する藻谷浩介氏は、三陸鉄道北リアス線のレトロ調車両「さんりくしおさい」に宮古駅から乗車。NHKの朝ドラ『あまちゃん』で有名になったこの路線は、東日本大震災で全線が運転不能になったが、震災後すぐに一部区間で運行を再開。昨年4月には71㎞全線での運行を再開した。震災直後は赤字に転落したが、「『あまちゃん』のロケ地を見てみたい」といった観光客の増加が追い風となって、’14年度には黒字化。その勢いを維持すべく、三陸鉄道ではさまざまなイベント列車を走らせている。

「例えば、お座敷列車『北三陸号』をゴールデンウィークや夏季~秋季の土休日に運転しました。そこでは、海女の格好をしたアテンダントが車窓案内や車内販売をします。また、南リアス線では貸し切り列車『三陸歌声列車』も月に1回ほど運行しています。三陸海岸の景色を見ながら、カラオケ大会ができるんです」(三陸鉄道職員)

 さらに今年4月28日には、宮古漁協津軽石かき養殖組合の協力を得て、宮古特産の花見カキを楽しむ「花見カキ列車」が走った。新型お座敷列車「さんりくはまかぜ」に乗り、宮古特産の花見カキを賞味するというものだ。

 海側を眺めると、風光明媚な海岸が広がっていた。しばらくすると「(『あまちゃん』の中で)大漁旗を振った場所でもございます」との車内放送が流れた後、『あまちゃん』の舞台となった「袖が浜」駅に到着。

「観光列車では、見どころにさしかかるとスピードを緩め、景色を楽しめるような工夫もしています」(駅長)

 そんな努力の結果、乗車人員は’13年度の49万7515人から、’14年度は69万776人と、約19万人増えている。

◆三陸の水産業は必ず復興する

「美味しい! これが1300円というのは安いですね。東京だったら2500円してもいいのでは!?」

 車内で昼食に宮古市名物の「いちご弁当」を食べた藻谷氏はこう驚いた。

 この弁当は郷土料理「いちご煮」をアレンジしたもの。ウニとアワビの煮汁で炊いたご飯に、ウニのそぼろと蒸しアワビが載る。実は、現在この弁当は販売されていない。

 この弁当を特別に作ってくれたのは、宮古市の老舗割烹「魚元」の女将・張間重子氏(80歳)。「震災で、種苗施設や冷凍設備など水産業関連施設も壊滅的被害を受け、あわびの単価が高騰してしまった」のが販売中止の理由だという。魚元では現在、いちご弁当は販売していないが、ウニやイクラ、カニ、イカなどが入った海鮮弁当「海女弁当」など、宮古駅での駅弁予約販売は継続中だ。特産品の国際競争力に詳しい藻谷氏はこう断言する。

「例えば、香港の高級中華料理店で出される最高級の干しアワビは三陸産のものです。ホヤやホタテ、カキなど、この地域の水産資源は世界最高水準。こうした資源と、美味しい食材を提供する力が地元にある以上、いずれ三陸の水産業は必ず復興します」

【藻谷浩介氏】

’64年、山口県生まれ。日本総合研究所調査部主席研究員。著書に『デフレの正体』、共著書に『里山資本主義』など。NPO法人「コンパス 地域経営支援ネットワーク」の理事長も務める

― エコノミスト・藻谷浩介と考える「持続可能な地方経済」 ―

ハーバー・ビジネス・オンライン

最終更新:8/26(金) 9:10

HARBOR BUSINESS Online

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

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