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外国人客とのコミュニケーションに困っても、このサービスがあれば大丈夫 - 日本再発見

ニューズウィーク日本版 8/26(金) 15:32配信

<訪日観光客の急増に伴い、ホテルや小売店、レストラン、鉄道・バス会社、観光案内所などの現場が悲鳴を上げている。日本語の分からない外国人とのコミュニケーションの問題だ。そんななか、タブレット端末等を使った、語学に堪能なスタッフを雇用するよりもはるかに割安な映像通訳サービスが続々と登場、外国人客と現場スタッフ双方のストレス緩和に役立っている>

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 日本を訪れる外国人が爆発的に増えていることは、今や周知の事実だろう。JNTO(日本政府観光局)によれば、2015年の訪日外客数は約2000万人にも上ったが、10年前の2006年には約730万人だった。この10年で2.7倍ほどに膨れ上がっている計算だ。

 円安にビザの緩和措置、さらには免税品目の拡大など、多くのプラス要因に支えられて拡大を続けてきたインバウンド市場だが、訪日外国人客が増えるほどに混乱をきたしているのが、受け皿となるホテルや旅館、そして量販店やレストランの現場スタッフたち。そう、日本語の分からない外国人とのコミュニケーションの問題だ。

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 英語や中国語が堪能なスタッフが常駐する都市圏のシティホテルや大手小売店はともかく、もっともその対応に苦慮しているのが、外国語を話せるスタッフの雇用体制を敷けない中小規模の現場だろう。しかし昨今、そんなストレスを解消するサービスが各社からリリースされ、活況を呈している。タブレット端末を活用した映像通訳サービスである。

 その先駆け的な存在が、2014年9月にタブレットやスマーフォンを利用した多言語映像通訳サービス「みえる通訳」をリリースした携帯電話販売会社のITXだ。これは、同社が以前より販売していたweb会議サービスのシステムを活用したアプリケーションである。

 外国人客に応対する現場スタッフが、端末からアプリを起動し、英・中・韓・露・タイの5カ国語から客の言語を選択。すると、契約するコールセンターの対応言語を話すオペレーターへと繋がり、スタッフ、客、オペレーターの3者間で映像とともに会話できるという仕組みだ。

 利用料金は、10~21時のデイタイムプランで1カ月につき1万5000円と、24時間プランで1カ月2万5000円の定額2プランを用意。いずれも5万円の初期費用が必要となるが、365日使い放題(ロシア、タイ語のみ平日10~18時限定)となれば、新たなスタッフを雇用するよりは格段に割安となる。

まんが喫茶やラブホテルなどの民泊需要も

 ITXのwebソリューショングループマネージャー、小野宏之氏によれば、こうしたリーズナブルな価格設定は、当初、中小規模の店舗をターゲットに想定したものだった。しかし、フタを開けてみればホテルや小売店のほかにも、鉄道や空港、バス会社といったインフラ系企業や観光案内所といった行政機関なども導入。ユニークなところでは、まんが喫茶やラブホテルなど、民泊需要の高まりを感じる契約先もあるという。



「みえる通訳」がモバイル端末を活用した他社の同様の通訳サービスと一線を画すのは、「『さわって通訳』との連動だ」と、小野氏は語る。これは「みえる通訳」を契約すれば無料で使用できるサービスで、ドラッグストアや土産店といった小売用をはじめ、飲食、宿泊、観光、交通、医療、公共と7つの業種における接客の定型文を表示し、各文をタッチすると音声が読み上げられる。こちらも先の5カ国語に対応している。

「昨年6月に『みえる通訳』の追加機能としてリリースした。これですべての会話が完結できるわけではないが、約4割ほど『みえる通訳』の利用割合が減少したというお客様もあり、好評をいただいている。また、オプションにより契約者様独自の『さわって通訳』にカスタマイズすることも可能であり、すでに導入いただいている企業・団体もある」(小野氏)

 リリースより約2年を経過した「みえる通訳」。小野氏は「本年度には6億円の売り上げを目指す」と意気込む。加えて、今後は「さわって通訳」に災害時における緊急用シートの制作を検討中であり、「適切な情報を提供することで、緊急時における訪日外国人客の不安を解消したい」という。

「タブレットの画面は視認性において有効」

 一方、今年7月に満を持して映像通訳サービス市場に参入したのが、光学機器メーカー大手のリコーだ。同社のサービス「多言語通訳サービス」も、ITX同様に自社製品であるテレビ会議システムを利用したもので、こちらはOSをiOSに、対応するモバイル端末も各種のiPadに限定している。その理由をVC商品グループの清水香織氏は「利便性を第一に考えた」と語る。

「例えば、聴覚障害の方とメモなどでやり取りする際もダブレットの方が画面が大きく見やすい。また、ひとくちに中国語といっても公用語の北京語のほか、広東語や福建語などがあり発音が異なる。しかし、発音だけでは聞き取れない言葉も、口元を見れば意味が通じるという。そうした場合も、スマートフォンよりもタブレットの大きな画面が視認性において有効であると考えた」

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「多言語通訳サービス」では、定額制と従量制の料金メニューを用意している。いずれも初期費用の登録手数料として3万円が必要となるが、定額制はバックアップ用の電話通訳サービス(ネットワークトラブル等で接続できない時に電話で通訳を受けられる)を含む月額5万円プランと、通常の月額4万円プランを。従量制には、40分間の無料通話を含む月額基本料金1万5000円のプランのほか、15分間の無料通話を含む同5000円のプランがあり、それぞれ無料通話を超過した際は超過料金が発生する。なお、後発のビハインドを払拭すべく契約初月は無料のキャンペーンを展開しているという。



 やや割高感はあるものの、「多言語通訳サービス」の対応言語は英・中・韓・露・タイの5カ国語にスペイン語とポルトガル語を加えた7言語と、多国化が進むインバウンドに対応している。そして、なによりリコーが自信を持つのがその品質だ。

「環境によっては、電波干渉の影響で使用する通信帯域が狭まってしまい、最悪の場合は回線が切断される可能性もある」と、同社のVC商品グループリーダーの長谷部毅氏は語る。「しかし弊社のサービスには、帯域の変動状況に応じて映像のフレーム数や画素数を調整し音声を優先する制御システムを搭載しているため、音声が途切れにくい。リアルタイムで接客する現場において大きなメリットになる」と、3年間で5000件の契約を目指し、大きな期待を寄せている。

 加えて、サポート体制にも特長がある。専用のコールセンターを開設するとともに、コピー機のメンテナンススタッフが通訳サービスの営業マンを兼ねているため、導入するコピー機が同社製であった場合、馴染みの営業マンからのサポートを受けられるというわけだ。

 両社以外にも、初期費用無しで従量制オンリーのプランや、「スカイプ」の3者間通話機能を利用した1分180円から(最低10分間の利用より)の低価格商品など、各社から多彩なサービスが提供されている。訪日外国人客と現場スタッフ双方のストレスを緩和する、インターネットを活用した映像通訳サービス。拡大を続けるインバウンドビジネスが産んだ、新たな"おもてなし"のカタチといえるだろう。

日本再発見

最終更新:8/26(金) 15:32

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