ここから本文です

笑福亭鶴瓶 緒形拳に割られたメガネから学んだ役者魂

NEWS ポストセブン 8/27(土) 7:00配信

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづった週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。8月27日から全国公開される映画『後妻業の女』に出演する、笑福亭鶴瓶の言葉をお届けする。

 * * *
 お笑い芸人として活躍する笑福亭鶴瓶だが、実は役者としてのキャリアも長く、初めての本格的な出演は八三年のNHK時代劇『壬生の恋歌』だった。

「別に役者をやるとかいう意識じゃなく、バラエティ番組の一つとして役者をやってるんだという意識やったんですよ。バラエティに活きるから役者やってるっていうか。『今日、緒形拳さんとな』とか『大滝秀治さんとこんなんやってな』とか、ラジオで言えるから。ラジオを聴いているみんなに『あの人、こんな人やで』って、こんな有名な方とお会いしたと話したいというのがキッカケなんですよ。

 芝居の『間』もバラエティで覚えました。フリートークやってると間があるでしょう。相手の話が終わった時に、どのタイミングで次にいくかという。相手が全部やり終わって『もうないな』と思ってから次にいくか、しばらく待って喋るのか、終わりきらないうちに被せていくのか。そこは芝居もそうなんです。台本に書いてる言葉かそうじゃないかの違いだけで。

 だから落語とは全く違います。落語は間を全て自分でやりますから。僕、当時は落語をやっていなくて、芝居が先で落語が後だったので、その違いに困ることはありませんでした」

 翌年のテレビドラマ『高級コールガールの殺人』(テレビ朝日)では緒形拳と共演している。

「緒形さんのときは必死でした。セリフ覚えていかな怒られるでしょう。そやけども、そんな緊張を吹き飛ばしてくれるくらいに凄く可愛がってくれました。初めてのロケの時、電器屋の前で野球の試合を観てたら緒形さんが来はって僕の襟首を持って『おい、お茶行くぞ』って。それで草餅を出してくれはったんですね。それを僕は三つも食べた。そんなら僕の顔を見て『バカか』言いはったんですよ。僕も正直に『一つ目と二つ目は旨いから食べたけど、三つ目は笑うてもらおうと思って食べた』って言うたらえらい喜んで。

1/2ページ

最終更新:8/27(土) 15:43

NEWS ポストセブン

なぜ今? 首相主導の働き方改革