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こんな「女性活躍」はうまくいかない

Wedge 8/27(土) 12:30配信

 女性活躍社会の本質は何なのだろうか。連載第1回目は、ソフトウェア業界では異例なほど積極的に女性を採用するサイボウズの青野慶久社長と待機児童問題解消に取り組む認定NPO法人「フローレンス」の駒崎弘樹代表に語ってもらった。

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 編集部(以下ーー)駒崎さんは女性のためだけでなく、企業のためにも女性活躍社会を推進すべきと主張している。

 駒崎「女性がかわいそうだから女性活躍を推進すべき」というイメージが一般的だが、それは誤りだ。慢性的な人手不足が続く中、女性が永続的に働くことのできる環境を整えることは、企業の行動として極めて合理的である。

 出産や育児といったライフイベントがある女性たちにとって、働きやすい環境を整えた企業こそ選ばれる時代になっている。日本の人口が減少していくのは確実な中で、人材の奪い合いになるのは必至だ。企業が困難な時代を生き抜くために、ワークライフバランスは必要な条件という考え方をもたなければならない。

 青野 まったくの同感だ。残業時間を減らすなどのワークライフバランスの推進は、女性だけでなく男性も含めて日本全体が、本気で取り組まなければならない問題だ。

 そのためには昇進や賃金の仕組みも抜本的に変えなければならない。日本型雇用慣行では、企業が終身雇用・年功序列という安定した身分を保障する代わりに、従業員に転勤を命令したり、副業を禁止したりする。身分や待遇を「人質」にとって従業員の権利を軽視する“嫌な「Win-Win」の関係”が成立してしまっている。

 労働時間の長さと昇進が結びつくのも日本企業の悪しき慣行で、給料もほぼ勤続年数の長さで決まる。労働時間や勤続年数の長さが評価基準になると、出産や育児などの役割が付いて回りやすい女性は、男性以上に能力があったとしても、仕事においては相当なハンディを負うことになる。

 仕事で十分な成果があげられていないのに、勤続年数が長いという理由だけで給料が高くなるのはどう考えてもおかしい。日本の多くの大企業では、新卒一括採用で入社して以降、成果にかかわらず、ほぼ横並びで社員の給料が上がっていく。実際には課長や部長のポストは限られているのだから、もっと早い段階から成果と賃金とを結びつけて評価する仕組みに変えるべきだ。

 駒崎 たしかに「成果主義」などとまことしやかなことを標榜しながら、矛盾した人事・賃金制度を維持している日本企業は多い。ただ大胆な改革を一気に推し進めようとすると、残業好きで成果を出さない旧来型の働き方をしている人たちが「俺の給料に手をつけるのか」と猛烈に抵抗するはずだ。

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最終更新:8/27(土) 12:30

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