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学校不祥事の顛末-水泳指導中の事故により教諭を処分-(2)

教員養成セミナー 8/28(日) 11:00配信

右手にチョーク、 左手に学習指導要領を

【今月の事例】
 A市教育委員会は、中学の水泳授業中に男子生徒に飛び込み指導をし、頸椎骨折などの大けがをさせた男性教諭(34)に6カ月間の減給10分の1とする懲戒処分を発表した。生徒は飛び込み台からプールに飛び込み、頸椎骨折や脊髄に損傷を負った。市教委によると、2012年度から改訂学習指導要領により飛び込み指導が禁止されているが、教諭は指導要領を読んでいなかったという。生徒は首から下がまひし、手足を動かせない後遺症が残っているが、既に退院。本人の強い希望で4月から通常学級に復学している。
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■教えるプロ意識の欠如
 今回は、中学校体育教師の水泳指導中の事故。男子生徒が頸椎骨折や脊髄損傷を負って後遺症が残り、本人と保護者等の人生を大きく変えてしまった事故です。担当教師が学習指導要領の改訂を知っていれば防げた事故であり、その点でも“人的事故”と言えます。

 教師個人の問題だけでなく、学校が全ての教職員に周知・徹底していれば、やはり事故は起こらなかったはずです。当然、「知らなかった」「確認していなかった」という理屈は通らず、学習指導要領に則った指導を怠ったことから、「法令等及び上司の職務上の命令に従う義務」(地方公務員法第32条)や「職務に専念する義務」(同法第35条)に抵触します。減給6カ月の懲戒処分は妥当なところでしょう。さらには、刑事上・民事上の責任を問われる可能性もあります。

 学校は子供たちの夢や未来、生命を託されている場所です。その意味でも、教師としての自覚や使命感の欠如から起こる事故は、残念極まりありません。さらに言えば、学校が「教えるプロ集団」として最善を尽くしていたのかとの疑念も抱きます。この生徒が復学後、元気に学校生活を送っていることを祈るばかりです。


■学習指導要領は学習指導の拠り所である 
 教師は授業を進める際、学習指導要領の内容や指導上の注意点等を熟知し、指導方法の工夫改善を図り、授業を展開していかなければなりません。「教育課程の基準」である学習指導要領は、各教科等の目標やねらい、内容等を示しており、いわば授業時数との関連において総合的に組織した各学校の教育計画と言えます。

 なぜ、このような計画があるのでしょうか。それは、子供たちに「生きる力」、すなわち、確かな学力、豊かな心、健やかな体の「知」「徳」「体」を各校の実態に即してバランスよく育んでいくことが、全国のどの地域・学校においても保障されなければならないから
です。

 「学習指導要領」は約10年ごとに改訂されており、改訂時には各自治体で説明会が開催され、各学校に改訂の趣旨等が周知・徹底されます。本事例の「飛び込み指導の禁止」は、死亡・後遺障害等のけがが頻発している状況を受けて行われた重要な改訂であり、各学校には十分すぎるくらいの申し送りがなされたはずです。果たしてこの学校が、きちんと校内で説明会等を行い、担当教師に周知・徹底していたのか、疑問は残ります。

 「小事は大事」。たとえ改訂が小さくとも、それを見落としたりおろそかにしたりすると、大事につながることを理解し、熟知しようとする姿勢が必要です。教師を目指す皆さんは、「右手にチョーク、左手に学習指導要領」を持つくらいの気持ちで、日々の授業に臨んでください。


※「教員養成セミナー2016年9月号」より

濱本 一(共栄大学教授/前埼玉県教育局市町村支援部長)

最終更新:8/28(日) 11:00

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