ここから本文です

オリンピック問題を解決する「開催地分散型」というアイデア

WIRED.jp 8/28(日) 20:10配信

経済学者は、オリンピックの開催は「悪い賭け」だと口を揃える。「数字の計算だけでは意味がありません」とスミス大学経済学部教授のアンドリュー・ジンバリストは言う。著書『Circus Maximus』のなかで、オリンピックを誘致するだけですら、候補地はスキャンダルに苦しむオリンピック委員会の犠牲になると彼は述べている。

【詳細を知る】オリンピック開催は本当に経済効果があるのか?

「オリンピックの開催には100~200億ドルの費用がかかり、そこから生まれる経済効果は40~50億ドルです」と彼は言う。いまやストリーミングテレビやリアルタイムなグローバルコミュニケーションに親しんだ世代に試合を公平に見せられるにもかかわらず、経済効果がコストを上回るわけではない、というような経済の罠には、明確な解決策がある。われわれはオリンピックを分散させるべきなのだ。

▼「世界のイヴェント」の欠陥

ジンバリストは言う。結局のところ、いまだかつてオリンピックを自分たちのために機能させることができた開催地は2都市しかない──ロサンゼルスとバルセロナだけだと。両開催地とも、新しく会場をつくるのではなく、すでにある会場を多くの部分で利用した。そして、多くのスポーツ経済学者が言うように、それこそが成功の鍵なのだ。

北京オリンピックを考えてみるといい。開会式やトラック競技、フィールド競技が行われたアイ・ウェイウェイ設計のスタジアム「Bird’s Nest」は、維持に年間1,100万ドルの費用がかかっている。水泳のマイケル・フェルプス選手が7つの世界記録を更新した「Water Cube」は現在は水上公園となっているが、それでも維持のために年間150万ドルの補助金が必要な状況だ。2008年大会にて中国は約400億ドルを使っており、その結果もたらされたのは1億7,000万ドルほどしかないと考えられている。

あるいは、アテネオリンピックを見てみよう。ギリシャは2004年大会の前から財政的な困難に見舞われており、スタジアムや会場に約110億ドルを費やした結果、その後本格的な経済危機に陥ることになった。

その解決策として、ジンバリストやそのほかのオブザーヴァーは、同じ都市が4年毎に大会を開催してはどうかと提案している。しかし、この案には欠点がある。開催地をロンドンや北京のような都市に限定してしまうことは、オリンピックの精神に反しているのだ。

実は「世界のイヴェント」と呼ばれるオリンピックの49回中30回が、ヨーロッパで開催されている。リオは近代オリンピックの120年の歴史において、初の南アメリカの開催地となる。アフリカではオリンピックが開催されたことがない。開催地を固定化する計画が採用されれば、一生開催されることはないだろう。

1/2ページ

最終更新:8/28(日) 20:10

WIRED.jp

記事提供社からのご案内(外部サイト)

『WIRED Vol.26』

コンデナスト・ジャパン

2016年12月10日発売

630円(税込み)

特集:新しい映像。新しい物語。ヴィジュアル・ストーリーテリングの新時代を伝える「WIRED TV」特集。映像はいま何を語り、どんな体験をもたらしうるのか。

なぜ今? 首相主導の働き方改革