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ネットTVの効果を引き出すアナログ的な視点 --- 尾藤 克之

アゴラ 8/28(日) 16:30配信

総務省が発表している「民間放送事業者の収支状況」を読み解いていくと既存メディアはデフレの影響を受けて広告予算の削減傾向にあることが分かる。特に東日本大震災以降は、テレビ局の広告収入は減少傾向が強くなっている。

このようななか、注目を集めているのが、インターネットTV(以下、ネットTV)である。サイバーエージェント、テレビ朝日によって設立された「AbemaTV」は「番組専用アプリが700万ダウンロードを突破した(https://www.cyberagent.co.jp/newsinfo/press/detail/id=12455)」ことを公表した。既存メディアの退潮が見られるなかネットTVは新しいメディアとして注目を集めているのである。

今回は、整骨院院長でもあり「AbemaTV」で番組を放送している、福嶋尊(以下、福嶋)氏に、ネットTVの効果的な使い方について聞いた。

■攻勢の理由は手軽さとインタラクティブ

ネットTVの最大の特徴は、テレビやチューナーがなくても見ることができる点である。テレビを視聴するにはチューナーやアンテナが必要になる。しかし、ネットTVはインターネット環境さえあれば、手軽にテレビの視聴ができる。

「ネットTVは、手軽さとインタラクティブな点が優れています。各メディアには各々の特徴がありますから、メディアの特性を知り活用すべきだと思います。しかし、既存の大手メディアはインタラクティブ性が弱いことも事実だと思います。」(福嶋)

既存メディアはインタラクティブ性が弱いとは言い得て妙である。例えば、視聴者プレゼントや、電話やハガキにおける投稿や応募は視聴者とコミュニケーションが取れるものの、進化した手法とはいいにくい。

番組構成はどうだろうか。ライブで伝える番組は、洗練されていないがリアリティがあるのも特徴である。ネットTVであれば、視聴者はパソコンやスマホで見ながら、その場で投稿したコメントを読み上げ相互コミュニケーションを取れるなどの効果が得られる。「声」「表情」「話し方」「服装」などから、その人の雰囲気をつかむことが可能である。

「ありのままを伝える番組であれば、コアなフアン層が形成されていきます。しかし、インターネット上での繋がりですから、それをよりリアルにするために、勉強会などを開催すると効果的でしょう。私は、読書会などを開催しています。読書会には、セミナー講師や著者をゲストで呼びますから、参加者の満足度を高めることができます。」(福嶋)

ネットとリアルの融合によって効果を引き出している一つの事例ともいえるだろう。フアン層を囲い込むことによって満足度をアップさせることが可能になる。しかし、これらの手法は超アナログともいえる。ネットTVというハイセンスなメディアに、超アナログなエッセンスを加味することで効果が促進できるようだ。

■効果を促進させるSNSとの連動

ネットTVは手軽であることから、参入障壁は高くは無い。しかし既存メディアとは異なり、単に発信していても視聴者が勝手に集まってくるものではない。最初に、発信するコンテンツや番組の存在について知ってもらう必要性がある。

そのため、ブログやメルマガ、FacebookやTwitterなどのSNSを活用して事前告知をするなどの手間が必要になる。1週間前、3日前、当日の朝など、こまめに告知をしていかなければ効果の促進は期待できない。

さらに、告知の際には、番組名、日時、URL、概要を入れなくてはいけない。番組中に投稿されるコメントがSNSに拡散されるので、積極的にコメントするように呼びかけるなどの誘導も必要になるとのことである。

「ネットTVの情報発信は難しいものではありませんが即効性を求めないことも大切です。一定の効果を得るためには『発信する情報の鮮度』と『継続性』が求められます。まずは、比較的長いスパンできっちりとした番組を組成していくことが肝要です。」(福嶋)

若者のテレビ離れが生じているといわれて久しいが、ネットTVの攻勢により、市場は活性化の様相を呈している。TV地上波や既存メディアは成熟産業とも称されているが、この機会にどのような施策を講じるのか叡智が試されている。


尾藤克之
コラムニスト

尾藤 克之

最終更新:8/28(日) 16:30

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