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『シン・ゴジラ』とSMAPが示した、今CDを買う理由 “ライブの追体験”と“応援”が購買ポイントに

リアルサウンド 8/28(日) 17:00配信

【参考:2016年8月15日~2016年8月21日週間CDアルバムランキング(2016年8月29日付・ORICON STYLE)】(http://www.oricon.co.jp/rank/ja/w/2016-08-29/)

 約4カ月前の原稿(http://realsound.jp/2016/05/post-7391.html)でピックアップした小田和正の3枚組ベストアルバム『あの日 あの時』が6月27日付のランキング以来約2カ月ぶりに10位以内を記録。驚異的な粘り腰を見せるチャートアクションを見るにつけ、前述の原稿で触れた「2002年にリリースされたベスト盤『自己ベスト』も300位以内に500週を越えるランクインを果たすという息の長い売れ方をしていたが、今回もその再現となるか」という話が現実味を帯びてきたように思える。また、前回の原稿(http://realsound.jp/2016/07/post-8570.html)で取り上げた西野カナ『Just LOVE』が4週ぶりに1位を獲得。「一度下がってまた上がる」タイプの順位変動からは、彼女がすでに「特定セグメントに刺さる局地的な売れっ子」から「国民的クラスの人気者」としての地位を確立しつつあることを予感させる。

 「発売初週を最高位として後退していくのではなく、チャート上位にとどまってロングセラーとなることこそが作品(もしくはアーティスト)の底力の証明」と考えたときに、今週のランキングで興味深いのが3位にランクインした『シン・ゴジラ音楽集』と7位に急浮上したSMAP『SMAP Vest』である。

 発売4週目にして最高位を記録した『シン・ゴジラ音楽集』は、その名の通り映画「シン・ゴジラ」のサウンドトラック。「あ、あのシーンで流れた曲だ!」という形で興奮するのが正しい接し方だろうし、一方では「ゴジラ」作品の音楽を支えてきた伊福部昭楽曲の定番に触れられるベストアルバムとして位置づけることも可能かもしれない。一方、2001年にリリースされたSMAP『SMAP Vest』のこの順位は件の騒動の余波を受けたもの。先週時点では68位につけていたが、今週はついにトップ10へジャンプアップした。2000年のシングル曲「らいおんハート」までの代表曲が収録された今作は音楽的にももちろん素晴らしいが、ここではそれよりも配信なども含めた各種チャートの上位にSMAPの過去作がランクインしまくっていることを指摘しておきたい(今週のシングルチャートでは「世界に一つだけの花」が3万枚以上を売り上げて5位を記録)。

 『シン・ゴジラ音楽集』と『SMAP Vest』の売れ方は、今の時代の「CDが売れる理由(=CDを買う理由)」を考えるうえでなかなか示唆的である。前者の背景にあるのはおそらく「ライブの追体験」。映画館で映画を見て興奮したからこそ、その時に聴いた音楽を改めて聴きたい。それを聴くことで、自分が盛り上がったシーンを思い出したい。もっと言えば、自分があの映画館で「シン・ゴジラ」を見たことそのものを思い出したい(思い出なので、形に残るパッケージがいい)。ライブ体験が音源購入のトリガーになっているという構造は、ライブ興行がビジネスの主体となりつつある音楽業界において今後も強まっていくと思われる(昨年のMr. Childrenが『REFLECTION』リリースに絡めて行った「作品発表前にライブで新曲を披露する」という活動もこの考え方に則っているとも言える)。また、後者に関しては「応援」の気持ちが明確なモチベーションになっていて、少しでもファンの声や要望を世間に(そして当事者に)伝えるためのツールとしてCDの購入が使われている。何とかしてグループの名前を露出させようというファンのピュアなモチベーションは、オリコン上位入りを目指す昨今の女性グループアイドルを後押しするファンコミュニティが発するものとの相似性も感じることができる(スケールはだいぶ違うが)。

 「ライブの追体験」と「応援」という要素は今後も「あえてCDパッケージを買う理由」として重要なものになっていきそうだが、「日本の歴史に名を残すスター」と「日本の歴史に名を残すかもしれない映画」がチャート上において無意識にそんな意味合いをまとっているのがとても面白い今週のランキングだった。この2作がどこまで上位に居座るのか楽しみである。

レジー

最終更新:8/28(日) 17:00

リアルサウンド

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北朝鮮からの脱出
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