ここから本文です

アップルCEO、就任から5年間の「成績」は? 記者が評価

Forbes JAPAN 8/28(日) 9:00配信

ティム・クックは2011年8月24日、アップルの最高経営責任者(CEO)に就任した。創業者であるスティーブ・ジョブズの死からわずか1か月半後のことだった。それから5年、クックはアップルをどのように導いてきただろうか?CEOとしての手腕が大きく反映されるいくつかの項目について、記者が成績を付けてみた。



株主への利益還元

まずは、CEOの評価基準として第一に挙げられる業績と株価の動向についてみてみよう。クックが就任した当日、アップル株の終値は54ドル(約5,400円)ほどだった。一方、今年8月24日の同社株の終値は108.85ドル。一見すると、素晴らしい実績を上げているかのように思える。

しかし、ハイテク企業が中心のナスダック総合指数を見てみると、クックCEO就任当日には2468だった指数は、今月24日には5260に上昇している。つまり、同指数が約113%上昇した間に、アップル株は102%値上がりしたにすぎないのだ。

記者は何もここで、アップルがこの間に上げた利益をジェフ・ベゾス率いるアマゾンやリード・ヘイスティングスが創業したネットフリックス、マーク・ザッカーバーグのフェイスブックをはじめ、その他の多額の利益を出しているテクノロジー大手と比較しようなどと考えている訳ではない。そんなことをすれば、アップルの業績が痛ましくみえてしまう。

項目により評価はまちまち

これらを踏まえた結果、株主への利益還元という点では、クックの成績はせいぜい「C」というところだろう。

人事

次に、もう一つのCEOの評価基準となる人事について考えてみる。一般的に、企業のCEOは誰でもその脇を固める幹部たちと、能力的には同程度の水準だと判断される。クックの就任時、アップル経営陣は良いチームを築いていた。そのチームがCEOとして招いたのがクックだった。そこで、この分野に関するクックの能力を評価するには、彼が誰を採用したかについて確認してみる必要がある。

真っ先に頭に浮かぶのは、クックがアップルに迎えた次の二人の名前だ──小売部門担当の上級副社長ジョン・ブロウェットと、バーバリーから引き抜いたアンジェラ・アーレンツだ。

ブロウェットはアップル株10万株を付与されて就任。だが、そのわずか6か月後に事実上更迭された。資産をおよそ6,000万ドル増やして同社を去ったことになる。バーバリーのCEOだったアーレンツも破格の年俸で同社に招かれたが、その彼女は今、どこにいるのだろうか?そして、就任からこれまでに、何をしてきたのだろうか?この項目については、クックの成績はよくても「D」だ。

運営管理

クックの就任からこの5年で、アップルの規模は2倍以上に拡大した。世界各地にいる従業員は約6万人だったが、現在ではそのおよそ倍。iPhoneの販売台数はジョブズが在任中の最後の四半期で約2,000万台だったが、最近の四半期ごとの販売台数は平均で約2倍。休暇シーズンには、およそ4倍を売っている。

これだけの規模を擁する企業にとっては、物流の管理は悪夢ともいえる。だが、クックはこの分野で非常にうまくやっている。物流に関しては、常に高い手腕を評価されてきたのだ。企業の運営管理という分野では、「A」の評価がふさわしいといえる。

企業買収

最後に、企業買収について考えてみよう。アップルは小規模な戦略的買収を行うことで知られてきた。クックCEOの下でこれまでに行った買収のうち、最大の規模となったのはヘッドホンメーカー「ビーツ(Beats)」と同社の音楽ストリーミングサービス事業の取得だ。

ほとんどの人たちが、アップルはこの買収に大金を使いすぎたと言うだろう。記者もまた、その考えに心から同意する。噂されている音楽ストリーミングサービス「タイダル(Tidal)」の買収では、同じ間違いをしてほしくないものだ。企業買収については、甘く評価しても「C」がいいところだろう。

総合評価

最終的にみたクックの5年間のリーダーシップに対する評価は、次のようにまとめることができる。

売上高と利益はどちらも増えている。だが、株価の値上がりはナスダック総合指数の上昇率さえ下回っており、株主への還元という点でみれば評価は低い。
総合的な評価は、よくても「Cマイナス」だ。

Jay Somaney

最終更新:8/28(日) 9:00

Forbes JAPAN

記事提供社からのご案内(外部サイト)

Forbes JAPAN 2017年1月号

株式会社アトミックスメディア

2017年1月号
11月25日(金)発売

890円(税込)

Forbes ID 無料会員登録を受付中!
今ならもれなく電子版最新号をプレゼント

なぜ今? 首相主導の働き方改革