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【川崎】辛辣な言葉と鮮烈な一本のパス。不発の大久保が「前はしんどい」とこぼす理由

SOCCER DIGEST Web 8/28(日) 8:00配信

「開幕の時からずっと言い続けている」

[J1第2ステージ10節]川崎 2-5 柏 8月27日/等々力
 
 ゴールを挙げることで、川崎を牽引し続けてきた男が、チームの戦いぶりに不満をぶちまけた。
 
「俺はずっと言い続けているよ。開幕した時からずっと。これだけ言ってるんだから、分かってほしい」
 
 声の主は、この試合でノーゴールに終わり、90分間を通じてあまりいいところを見せられなかった大久保嘉人だ。主張するのは、自身へ送られる縦パスのタイミングについてで、チームメイトからのそれは、あまりにも時機を逸しているというものだった。
 
「やっぱり、どうしてもすぐにサイドに行っちゃう。ボールを取って前を向いたら、まず当ててほしい。(自分を)見てほしい。(完全に)背負った状態で受けても相手のブロックは開かない。前はしんどいよ」
 
 立ち上がりからオフサイドライン付近を漂い、柏のディフェンス陣と駆け引きをしながらボールを引き出そうとした大久保だが、なかなか相手の裏を取れるようなボールが供給されてこない。早いタイミングでの縦パスを諦め、サイドに展開しても、チームは柏のタイトな守備と雨に濡れたピッチに苦慮。パス回しも途切れがちになりカウンターを食らう場面も多くなる。
 
 この日の試合展開も前線のアタッカーにとっては不利に働いた。開始5分でセットプレーとゴール前でのミスから2点を失い、森谷賢太郎の追撃弾で1点差に迫るも、さらにセットプレーから2点を失った。必然的に相手の柏は川崎の出方を窺い、より強固なブロックをバイタルエリア付近に構築するようになる。
 
 しかし、そうしたフラストレーションが溜まる展開のなかで、大久保はまるで周囲に見せつけるかのような痛快なプレーを披露するのだ。

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フラストレーションが溜まる展開の中で見せた痛快なプレー。

 1-2で迎えた26分。いったん中盤まで引いてボールを受けた大久保は、前を向くや最終ラインの背後を狙っていた小林悠のもとへピンポイントのキラーパスを送り込む。一発で裏へ抜け出した小林のシュートは、惜しくも相手ディフェンスの粘りに阻まれたが、柏のブロックを鮮やかに崩した一本のパスは、まさに自身が欲していたものだったはずだ。
 
 中盤でのプレーが増えてしまったのは、決して良い傾向とは言えまい。フィニッシャーとしても、「無得点、シュート1本」に終わった結果を見れば、“抑え込まれた”と評されて仕方のない内容だ。
 
 しかし、優勝を狙う川崎にとって、背番号13の言動はチームのクオリティを高めるうえで必要不可欠なことは確かなようだ。
 
取材・文:長沼敏行(サッカーダイジェストWeb編集部)

最終更新:8/28(日) 8:43

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