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パティ・スミス、3年ぶりの来日公演レポート

ローリングストーン日本版 8/28(日) 19:50配信

ローリングストーン日本版2016年8月号
Patti Smith:People Have the Power

パティ・スミスがニコに捧げた、不穏なムードたっぷりの『Fearfully in Danger』を聴く

6月に3年ぶりの来日公演を行ったパティ・スミス。今回は、ポエトリー・リーディングとアコースティック・ライヴというこれまでのロック・バンド編成とは異なる二つのスタイルで、詩人としての言葉の力を存分に伝える圧巻のステージをみせてくれた。以下はその一部を切り取ったドキュメントである。

パティがロバート・メイプルソープとの青春の日々を綴った自伝『ジャスト・キッズ』にアレンとの愉快な出会いについても記されている。(Photography by Yoshie Tominaga)

「自分のイマジネーションを解放し、なにも包み隠さず、勇敢に書きたいことを書き、自分の心の奥底から溢れ出てくる魔術的なラインを書き殴って――人生を要約し――
自分が誰にも示すことができないなにものかを、
自分の魂の耳、あるいは他の、数少ない黄金の耳に聞こえるように書こうと思った。
そして僕は《僕は見た 僕の世代の最良の精神たちが......》で始まる『吠える』の書き出しの部分をある午後、熱狂的にタイプしたのだ」
――アレン・ギンズバーグ

6月4日、永遠のロック詩人パティ・スミスとミニマル音楽の名匠フィリップ・グラスによる舞台公演『THE POET SPEAKS ギンズバーグへのオマージュ』が東京・すみだトリフォニーホールにて開催された。

パティの長女ジェシー・パリス・スミスのピアノと可憐な声、チベット人のシンガーソングライター、テンジン・チョーギャルの遙かな大地を想わせる歌とチベット伝統楽器の演奏に心洗われた後、ステージ後方のスクリーンに、街頭に立つアレン・ギンズバーグの写真が映るのを合図に、パティとフィリップが姿を現す。

パティは、「アレンが生きていれば90歳、フィリップは80歳、私は70歳、ベイビーみたいなものよね」と、初めに観客を和ませてから、アレンが反戦・反核に身を挺していたことに触れ、オバマ米大統領だけでなく世界中の大統領が広島・長崎を訪れるべきだと訴え、未来の人々の手で核兵器廃絶が実現しますように、との願いを込めて自作詩「未来へのノート」を朗読する。個の価値を讃え、ひとりひとりの覚醒を促すパティのパワフルなメッセージが、フィリップの静謐なピアノの音色と溶け合い、聴く者の身体と心をほぐしていく。スクリーンには村上春樹と柴田元幸の手になる新訳が映写され、詩の世界観をナチュラルな日本語で伝えてくれる。

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最終更新:8/28(日) 19:50

ローリングストーン日本版

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