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イエレン議長のジャクソンホールでの講演-Diversified Views

NRI研究員の時事解説 8/29(月) 9:24配信

はじめに

今年のカンザス連銀主催のコンファレンスのテーマは、「将来に向けてResilientな金融政策の枠組みを設計する」である。従って、イエレン議長の講演テキストも、米国が次の景気後退に直面した際に講ずるべき政策手段に関する議論が中心であった。ただし、イエレン議長は、こうした本論に入る前に足許の金融経済情勢にも触れ、利上げに向けた条件が強まったことにも言及している。

その意味で、今回の講演は、FRBの金融政策を短期、中長期のいずれから見る上でも重要な手がかりを与える内容になっている。

短期の政策運営

イエレン議長は、講演の実質的な冒頭部分(2ページから4ページ冒頭)で、個人消費を中心とする現在の景気拡大は、雇用の改善を実現するのに十分な強さを持つとの判断を示した。加えて、インフレ率も、過去のエネルギー価格や輸入品価格の低下により2%を下回っているが、今後数年で目標に近づくとした。そして、最近数ヶ月の間に利上げに向けた条件が強まったと述べた。

こうした議論自体は決して新味はないし、実際、この部分の文章の多くの(実質的な)主語はFOMCであって、7月FOMCの議論を再現したに過ぎない面もある。その上で気になる点を挙げると、第一に、イエレン議長はコンファレンスのテーマに関する議論だけを行う選択肢があったのに、敢えて短期の政策運営を取り上げたことである。第二に、上に見た利上げに向けた条件の強まりに関する主語がイエレン議長自身になっていて、こうしたシナリオへの自信を示したことである。

本コラムの執筆時点で、米国のメディアの受け止め方は区々であるし、イエレン議長も、その直後の部分(3ページ)で、利上げのパスに関する予想誤差が極めて大きいことも指摘しており、先行きの不確実性に注意を喚起していることは事実である。しかし、この点もあくまで来年末や再来年末の政策金利の水準が不確実と言っているのであり、そこに至る利上げのパスに関する言及であることに注意する必要があろう。

外部の観察者からはイエレン議長のFOMC内でのリーダーシップを問う声も少なくないように見えるが、イエレン議長が自分の見方をこのように明確に示したことの意味は小さくないように思う。

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最終更新:8/29(月) 9:24

NRI研究員の時事解説

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