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「会社員は台風でも出社するべきか?」という不毛な議論が繰り返される理由。(榊 裕葵 社会保険労務士)

シェアーズカフェ・オンライン 8/29(月) 4:44配信

台風10号が30日から31日にかけて関東から東北を直撃することが予想されている。

■台風が来ていても出社すべきか
インターネットの書き込みなどを見ると、「それでも会社へ行くのがサラリーマンの鏡だ」という意見もあれば「危険を冒してまで出社するなんて社畜だ」という意見もあり、大型の台風のような自然の驚異に直面した場合、サラリーマンはどのように行動すべきか、様々な価値観に基づき議論がなされている。

このようなとき、会社としてはどのような判断・対応をすべきか、社会保険労務士としての観点から3点申し上げたい。

■経営者が事前に判断を示すべき
第1は、経営者があらかじめ方針を決め、社員に伝えることである。

今回の台風であれば、29日の月曜日は平常通り出勤できるであろうから、29日の終業時間までに、30日は全社臨時休業にするとか、やむをえない仕事がある社員以外は有給休暇の「奨励日」にするとか、通勤経路が危険な場合は本人の判断で出社をしないことを認めるとか、あらかじめ会社としての判断を示すべきであろう。

会社から明確な指示が無ければ、社員の中には「無断欠勤扱いになったらどうしよう」とか「仕事に対する責任感が足りないと思われないか不安だ」とか考え、無理をしてでも出勤をしようとする人も少なくないであろう。その結果、通勤途中に怪我をしたり、死亡したりするようなことがあっては本人にとっても会社にとっても不幸な結果である。

事業の運営に大きな影響がない場合は、社員が安心して出勤を差し控えられるよう、経営者は必要な配慮をすべきである。

なお、本段落の最後に補足である。台風が来る日を有給休暇の「奨励日」にするという選択肢を上記で提案したが、あくまでも取得の「奨励」にとどめ、取得を「強制」をしてはならない。法律上、有給休暇の取得日を決めるのは従業員の権利だからである。

■緊急連絡網を整備する
第2は、緊急連絡網を整備することである。

事情があって29日の時点で出社要否を判断できなかったり、一応の判断はしても当日朝になったら状況が変わったりすることも考えられる。

そのような場合に備え、会社から各社員に連絡ができる緊急連絡網をあらかじめ整備しておくことが望ましい。

一昔前は緊急連絡網といえば、順番に電話連絡でリレーをするというものであったが、昨今のIT技術の発達により、メーリングリストで一斉配信したり、LINEやFacebookメッセンジャーといったSNSや、あるいは社内のITインフラを用いたりして、緊急連絡事項の伝達は非常にスムーズに行うことができるようになった。

もちろん、社員のプライベートやプライバシーに配慮することは重要であるが、今回のような台風に限らず、地震などもいつ起こるか分からないので、災害に強い会社作り、社員の安全を守れる会社作りのためには、災害時に可能な限り連絡を取り合える体制を作っておくというのは非常に重要なことである。

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最終更新:8/29(月) 4:44

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