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誰も見たことのない「白黒の花火」:写真ギャラリー

WIRED.jp 8/29(月) 11:00配信

花火の写真はどれも同じように見える。暗い夜空に一気に開く色とりどりの光。独創性はまったく感じられない。写真家のダミオン・バーガーもそう思っていた。
それでもバーガーは、2008年にモナコで行われたスティングのコンサート後に打ち上げられた花火の写真を撮った。使い物にならないかもしれないと思ったが、ネガを見たとき突然ひらめいたという。白黒の花火だ。

【写真ギャラリーを見る】スティングのコンサートで撮影された花火や、ロンドンのビックベンでのニューイヤー花火など

「白黒写真は通常、懐かしい雰囲気を醸し出しますが、ネガの状態次第では、刺激的で活気があり、現代的で見たことのない雰囲気にもなります」と、バーガー氏は述べる。

古くさいジャンルが突然、新しさを取り戻した。バーガーはサンフランシスコやパリ、さらにはドバイにまで足を運び、自身の継続中のシリーズ「Black Powder」のために、さまざまな花火ショーを写真に収めた。

特に好きなのは、ニューヨークのブルックリン橋や、観覧車の「ロンドン・アイ」といった、歴史的・建築学的にユニークな建物と花火を対比させることだという。

最適な撮影ポイントは、「Apple Maps」や「Google Earth」を使用して探す。バーガーは甘い言葉で人をその気にさせるコツをつかんでいて、普通なら入れないような場所にも入り込んでいる。例えば花火の始まる数時間前に、ヴェネチアの「グリッティ・パレス・ホテル」に電話をして、有名な「ヘミングウェイ・スイート」のバルコニーから写真を撮らせてもらえるよう支配人を説得した。ちなみにこの部屋の1泊の料金は2万ドルだ。大晦日にはウェストミンスター寺院の屋根にも上がっているが、どんな手を使ったのかは明かしてはくれないことだろう。

現場には数時間前に到着して機器をセットするという。重りで三脚を固定し、水準器を使って、大判カメラ「アルカスイス4×5」が垂直であることを確認する。こうしたカメラのフィルムは高価なので、1枚か2枚しか撮影しない。

彼は複数回の露光を行う。まずは花火が始まる前に、長時間露光で建物や木々などの背景の部分を撮影する。暗い状態の方が、花火の閃光をバランスよく引き立てられるからだ。次に、花火が上がっている間に何度か露光を行い、さらに空が澄み切った後で、30分間の長時間露光を行う。どの場合も、画像がどのようになるのか、撮影している時点ではわからない。「写真を撮影するということは、本質的には毎回がまったく新しい実験です」とバーガーは語る。

家に戻り、ネガを現像して写真をスキャンし、「Photoshop」で色調を慎重に調整する。出来上がった写真は、花火シーズンに「Instagram」で目にするような写真とは全然違う。オリジナリティーあふれるまったく新しい写真だ。

LAURA MALLONEE

最終更新:8/29(月) 11:00

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