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キャリア教育が「貧困JK」を生んだ --- 中沢 良平

アゴラ 8/29(月) 16:34配信

自分のキャリアを考えたことのない人たちによるキャリア教育

人事コンサルタントの増沢隆太さんは「NHKで話題の「貧困JK」を生み出すキャリア教育の問題」(http://agora-web.jp/archives/2021103.html)で、キャリア教育の充実を訴えています。しかし、現場の教員からしてみると、キャリア教育を始めてから、アニメーターになりたい、声優になりたいという子どもが増えた気がします。

これは2003年に刊行された13歳のハローワーク(http://www.13hw.com/home/index.html)の影響もありました。編者の村上龍さんのいう、「自分の「やりたいこと」に合った仕事を見つけることがいちばん大事です」というメッセージじたいは否定するべきものではないですが、この本が全国の小中学校に配架されてあたかも仕事に対する絶対的な基準であるかのような印象を与えてしまったのが、そもそものボタンのかけちがいだった気がします。ここに仕事=自己実現という定式が不動の地位を占めるに至りました。

このような極端な考えに振れてしまったのは、そもそもキャリアについて考えたこともないように見える先生たちが、キャリアについて教えをたれているからです。だからどうしても無責任に「やりたいとこをやりなさい」と言ってしまうのです。いちばんやってはいけないパターンではないでしょうか。

キャリア教育は道徳教育

小学校で、キャリア教育といえば高学年から始まりますが、お金を稼いだことがない先生たちがいちばん最初に注目するのが商店街やスーパーです。わかりやすいから。ここに子どもたちと大挙しておしかけ、忙しい店員さんにインタビューします。子どもたちは、将来のお客さま候補ですので、丁重にあつかわれます。そして、店員さんたちは、「お客さまの笑顔を見るためにがんばってます」といった毒にも薬にもならない(でもそう言わざるを得ない)ことを教えてくれます。こんなことをおっしゃるのだから、実際に少なからぬ子どもたちは、利益度外視で自己実現のために営業活動していると勘違いしてしまいます。感想文で、「笑顔を見るのが自己実現なんだから、仕入れ値より安い値付けで売ってくれているはずだ」と勘違いしてしまう子どもも出ます。

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最終更新:8/29(月) 16:34

アゴラ

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北朝鮮からの脱出
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