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競技と人生。片山右京が語る「世界で戦える者と戦えない者の違い」

webスポルティーバ 8/30(火) 11:29配信

遥かなるツール・ド・フランス ~片山右京とTeamUKYOの挑戦~

【連載・第92回】

 今夏、日本人選手のメダルラッシュで大いに沸いたリオデジャネイロ五輪。4年に一度の祭典は、世界と日本とのレベルの差を知る機会でもある。F1というモーターレースの最高峰で戦い、登山家として世界有数の山々を制覇し、現在は自ら率いるTeamUKYOでツール・ド・フランス参戦を目指す片山右京に、世界で戦える日本人について話を聞いた。

【写真】苦しいリハビリの合間にも笑顔を見せてくれた新城幸也

 スポーツ界の話題をさらったリオ五輪が閉幕し、各競技はそれぞれの分野で、ふたたび活発な戦いを再開させている。サイクルロードレースでは、3大グランツールの掉尾(ちょうび)を飾るブエルタ・ア・エスパーニャが開催中だ。9月11日にスペイン・マドリードで最終日を迎えるまで、3週間の熱戦は今年も多くのファンを魅了することだろう。

 今年のブエルタには、新城幸也(あらしろ・ゆきや/ランプレ・メリダ)と、別府史之(べっぷ・ふみゆき/トレック・セガフレード)の2名の日本人が参戦している。長年、ワールドツアーチームで活躍する彼ら2名は、自らの力でそのポジションを掴み取ってきた。

 現在、新城は31歳で、別府は33歳。彼らに続く若手日本人選手の台頭が期待されて久しいが、実際のところはなかなか、その衣鉢を継ぐ有望株は現れない。東京で開催される次のオリンピックが4年後に迫っていることを考えれば、ロードレース種目で活躍できる才能の育成は、日本の自転車界にとって喫緊の急務であろう。また、オリンピックが終わったあとも、その選手たちが常に世界の第一線で活動していくためには、短期的なカンフル剤だけではなく、長期的視野を持った取り組みも必要なのだろう。

 自転車ロードレースの本場欧州に上陸し、究極的にはツール・ド・フランスへの参戦を目指す――と以前から公言するTeamUKYO代表の片山右京は、最高峰にたどり着く者と、そうではない者たちの差を、こんなふうに表現する。

「日本でやっているうちはいいんですよ。でもそこから、『世界に行くよ』と表明したときに、反応は2種類に分かれる。『ああ、そうですか』って(他人事のように)言う人と、『行きたいです。何があっても絶対にやります』って答える人。

 僕がF1に行こうと思っていたときも、たぶんそうだったと思うんだけど、それくらい燃える情熱がないと、世界では戦えないですよ。だって、向こうは身長が2メートルもあるような外国人選手だってゴロゴロいるわけだから、気持ちで負けているようでは、(レースでの)位置取りなんか絶対にできない。だからかわいそうだけど、大切に育てられて連れて行ってもらっても、それだけではそこから先を戦えない。世界っていうのは、そういう場所じゃないですか。

 ずば抜けた才能があるか、誰よりも強い情熱があるか――。そういう人たちしか、そこでは生き残れない。口で言うのは簡単だけど、限られた人しか行けない場所で、自分が直面する痛みを考えると、その勇気を持つのはどれだけ大変なことか。ましてや自転車は、大半の選手が自分を捨ててエースのために戦う競技だから、そのアシストに徹するためには、肉体的な強さはもちろん、精神的にも非常な強さが求められる競技だと思うんですよ。

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最終更新:8/30(火) 11:29

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