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広島カープファンを急増させたメカニズム…プロ野球の「熱狂」から学ぶべきこと

Business Journal 8/30(火) 6:01配信

●「熱狂」が消費者を動かす時代

 あなたは最近、何に「熱狂」しているでしょうか?

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 筆者がこの原稿を書いている時点では、ポケモンGO、映画『シン・ゴジラ』、あるいはリオ五輪などが候補に上がりそうです。なかには、終盤を迎えたプロ野球のペナントレースに一喜一憂している人もいるでしょう。何を隠そう、筆者もその一人です。多くのファンが熱狂し球場が満員になり、関連する消費活動が刺激されることで、プロ野球ビジネスは活性化します。

 顧客の熱狂が重要なのは、エンタテインメントやスポーツに限った話ではありません。熱狂的な顧客が持続的に存在することで成功した典型例が、米アップルではないでしょうか。新製品が発売されるたびに、熱狂的な顧客がアップルストアに行列をつくります。彼らはアップル製品の素晴らしさを周囲に説き、ネガティブなクチコミの火消しに回るエヴァンジェリスト(伝道師)やアンバサダー(大使)として働きます。

 丸の内ブランドフォーラムの片平秀貴代表は、従来マーケティング業界で支配的だったAIDMAに代わるパラダイムとしてAIDEESを提案しています【註1】。AIDMAは、顧客が注意(Attention)-興味(Interest)-欲求(Desire)-記憶(Memory)-購入(Action)というステップで意思決定すると考えます。それに対してAIDEESは、AIDMAの後半の3つを経験(Experience)-感動・心酔(Enthusiasm)-共有(Share)に置き換えます。

 Enthusiasmは「熱狂・熱中」と訳すこともできます。顧客が「経験」を通じて対象に「熱狂」し、その経験を周囲と「共有」するプロセスを繰り返すなら、そのビジネスの基盤は強靭になります。

 では、そうなるにはどのような条件が必要でしょうか。それを考える事例として、日本のプロ野球を取り上げたいと思います。そこには顧客の熱狂を基盤とした、ボトムアップ型マーケティングのヒントが多く潜んでいると考えるからです。

 筆者は最近、他の研究者とともに『プロ野球「熱狂」の経営科学』と題する本を上梓しました【註2】。そこでは、マーケティング、心理学、経営学など多様な分野の研究者が、プロ野球への熱狂現象に関してデータを駆使した分析を行っています。今回の「マーケティングの進化学」では、この本で扱われた話題の一部を簡単に紹介しながら、熱狂のマーケティングがいかに可能なるかについて考えてみたいと思います。

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最終更新:8/30(火) 10:52

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