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ランカーはマメに大作を投稿していた!ウサ耳がギンギンに立つpixiv必勝法

おたぽる 8/30(火) 13:00配信

 同人活動をしている人の多くが利用しているイラスト、小説の投稿コミュニティサイト「pixiv」。pixivでは自分が投稿した作品に対し、読者からの反応があるとページ上部にあるウサギの両耳がピンと立つ(何もないと、片耳が寝た状態になる)。ウサ耳の横の赤枠の数字は読者の反応数だ。「ウサ耳が立つ」、それが多くのpixiv投稿者の願いだろう。pixivの人気ランキング上位の作品に共通する特徴や、pixivのアクセス解析からウサ耳ギンギン必勝法を考察してみた。

■寡作ではpixivランカーになれない~twitterよりも大切なこと~

 pixivでは人気投稿作のランキングが毎日更新されている。人気作品とその作者(ランカー)にはどのような特徴があるのか、ある一日のデイリーランキング上位50作品を分析した。

 なお、対象は「イラストや漫画」でなく「小説」のランキングにしている。イラストや漫画の場合、一枚目の画像が表示されるので、それがイケていたり萌えるものであれば一気にアクセス数を伸ばせるはずだが、小説の場合そのような「ジャケ読み」は期待できない。「表紙絵がいいから伸びた」では分析のしようもないので、小説のランキングを題材にした。まず、該当日の小説デイリーランキングの上位50作品はすべて二次創作だった。二次創作とは既存の漫画、アニメ、ゲーム作品のパロディになる。なお、男性向け作品は3作品のみで、あとはすべて女性向け作品となった。

 ランカーはtwitterのフォロワーがすでに数多くいて、pixivに投稿したタイミングでtwitterでもつぶやき、アクセス数を伸ばしているのかと思っていた。しかし上位50作品の投稿者のうち、pixivのプロフィール欄にtwitterのアカウントを公開しているのは28名のみと、4割以上がtwitterのアカウントを公開していなかった。pixivにアカウントを載せないままtwitterを使っている人もいるかもしれないが、twitterはそこまで決め手ではないというのが意外だった。ただ、こちらは今回の調査対象が小説だからであり、絵や漫画をうまく描く人なら画像投稿もできるtwitterは有効なツールだろう。

 小説の場合「twitterをすること」よりも、投稿作品の人気につながったのは「頻繁に投稿すること」だった。上位ランカーが、同じジャンルの二次創作をすでに何作書いていたか調べてみた。

【調査】上位ランカー50名は、同じジャンルの二次創作を過去に何作書いているか?
【結果】
10作以上 31人(62%)
8~9作  3人( 6%)
6~7作  4人( 8%)
3~5作  4人( 8%)
2作    4人( 8%)
1作    2人( 4%)
その他  2人( 4%)

 同じジャンルで多くの作品を投稿するほど、上位ランカーになりやすい傾向が見える。同じジャンルで安定したヒットを続ければ「このジャンルの二次創作と言えば●●さん」というブランド力が徐々についてくる。一作でブランドは築けないだろう。神に近道はない。なお、最後の「その他」はお互いに承認しあったユーザーのみに作品を公開する「マイピク」機能を使ったケースになり、作品の本数を測定できなかったケースになる。

 次に、同じジャンルで10作以上書いている31名のランカーたちが、今から「10作前」の作品をいつ書いたかも調べてみた。

【調査】10作以上同じジャンルで書いているランカー31人は10作前の作品をいつ書いたか?
【結果】
1カ月未満  10人(32%。3日に1作)
2カ月前   11人(35%。6日に1作)
3カ月前    3人(10%。9日に1作)
4~9カ月前  5人(16%)
10カ月より前 2人(6%)

 ランカーは多作な上に、筆が速い。一番多かった「10作品を2カ月で投稿」は、単純計算すれば6日に1作投稿していることになり、「週刊」よりもハイペースだ。1カ月で10作書いている人も32%いる。

 趣味なのだから結局は個人の好きにすればいいのだが、「pixivランカーになり、期待の声に押され満を持してのオフラインイベントデビュー。自スペースには長蛇の列で午前中には“完売はわわ”のつぶやきをかまし、差し入れのお菓子とお手紙にうれしい悲鳴。同じジャンルのイケてる神作家とはソウルメイトで、二人で焼肉アフターをし、その様子ももちろん写真つきでつぶやきたい」という野心があるのならば、「渾身の1作を数カ月に1回投稿する」よりも「週1でしっかり塁に出る」方が努力の方向性として正しい。大体作者にとっての渾身の一作が、読者にとって震えるような一作になるかどうかなどわからないのだ。

 50人のランカーを見ると、安定してどの作品も1000人以上の人からブックマーク(※pixivの代表的な人気指標。ブラウザのブックマークと同じで「しおり」の機能になる)がつけられている打率の高いランカーもいれば、同じジャンルで書いていても、作品によってブックマーク数が大きく変動するランカーもいて様々だった。また、何より二次創作は「原作の人気」に大きく左右される。それまでいた斜陽気味のジャンルから旬のジャンルに移りブックマークが2桁変わる(2桁→4桁)ケースもいくつか見られた。二次創作のため何のジャンルかの記載は控えるが、やはり旬のジャンルが9割以上だった。

 話は逸れるが、「二次創作同人作家」と「原作作品」の相性もあると思う。ある作品Aの二次創作で活動していた同人作家Bが、そのときは最高にキレッキレで出す作品が悉く神っていたのに、別作品Cに活動のジャンルを移したとたん「あれ、Bさん、Aのジャンルだったときより神ってない」と、読者として思うケースがたまにある。ジャンルと同人作家の相性が抜群で、さらにそれが旬ジャンルだったという幸福なフュージョンを果たしているときの同人作家のきらめきは絶頂期のアイドルのようだ。一方「この作家さん、このジャンルそろそろ飽きてきてあっちのジャンルに移りたいんだろうな」というのも恐ろしいが読者には結構伝わる。作品だけでもわかるのに、ましてや今はtwitterがあるのだ。

■初動が大切。速やかにたどり着きたい「50users入り」

 pixivは有料プランで、自分の書いた作品が読者からどのように検索されたか調べるアクセス解析機能があるため、自作の状況も調べてみた。私がこれまで投稿した小説は、同じジャンルであっても、ブックマーク数は100以上のものから、10に届かないものもあり安定していない。新作を投稿したところブックマーク数は50を超え堅調な出だしとなった。

 私が読者の立場でいいなと思う二次創作に当たったときは、その投稿者の同ジャンルの過去作品は全て読む。しかしpixivのアクセス解析を見ると新作のブックマーク数が50を超えた際に「ブックマーク数がもともと100を超えていた旧作」は閲覧数もブックマーク数も伸びたが、「ブックマーク数がもともと10に届かない旧作」は閲覧数すらさほど伸びなかった。最初に伸びなかった作品は、同ジャンルの新作が伸びたところで伸びない。伸びる作品はより伸び、伸びない作品は停滞したままになる。イケてるグループとそうでないグループがあったら、イケてる方に目がいってしまうのが人情というもので、仕方がないだろう。

 伸びる作品がより伸びる要因として、pixivの「タグ」機能がある。pixivで投稿した作品には、投稿者、読者双方からタグがつけられる。タグは読み手が作品を探すときのガイドとして使われ、二次創作の場合は作品名やキャラクター名などがつけられることが多い。「『桃太郎』の二次創作であり、鬼とおじいさんが主に出てくる」作品を書いた場合は、タグに「桃太郎」「鬼」「おじいさん」とつけるのは読んでもらうための基本であり、多くの人が普通に行っている。

 登場人物やジャンルの名称といった固有名詞以外の重要なタグに「usersタグ」がある。pixivでブックマークした読者が50人以上になると「○○(作品名)50users入り」というタグがつけられる。usersタグはその後100users、500users、1000users……と増えていく。そして、pixivのアクセス解析を見ると、この「usersタグ」で検索する人が少なくないのだ。以下、私のアクセス解析結果になる(作品は『桃太郎』の場合と仮定して見てほしい)。

【調査】私のある週のpixivアクセス解析結果
87件(43%)「鬼」「おじいさん」など、2人以上の登場人物で検索
17件(8%)「鬼」「users」など、登場人物/グループ名/作品名とusersタグで検索
15件(7%)「鬼」など、1人の登場人物で検索
13件(6%)「お供」など、登場人物の所属するグループ名で検索
70件(35%)その他

「その他」が多いが、これはアクセス解析の画面時点で「その他」になってしまっているケースだ。2人の登場人物名で検索するケースが多いが、usersタグを入れての検索も8%ある。たとえば「おじいさん」と「鬼」のタグで検索してくる人の思惑は「おじいさんと鬼が出てくる話ならなんでも読みたい」だが、「おじいさん」「鬼」「users」で検索する場合、「おじいさんと鬼が出てきて、ある程度ブックマークされた作品が読みたい」になる。

 いち早くタグがつく最低ラインである50人のブックマークを獲得すれば、その後も伸びやすくはなるだろう。友人のいる人は「互いに新作はブクマしあう」などの紳士協定を結んでもいいかもしれない。ブックマークは公開にも非公開にもできる。

■短い話、連載はブクマ数が伸びない

 pixivの小説は「文字数」も公開される。先述したブックマーク数が10に届かなかった私の作品は、文字数が2000字程度と短めだった。たいていの同人作家がそうだと思うが私も相当の自萌え(自分の書いた話が好き)なので、この作品も短編ならではの切れ味と余韻があっていいと本人は思っているものの、閲覧数すら伸びないので読む側にしてみれば「短い」時点で手が出ない人が多いのだろう。

 先ほどの上位ランカーによる50作品の文字数も調べてみたが、全体の70%になる35作が1万字(原稿用紙25枚以上)以上で、全体の44%に当たる22作が1万字台(1万~1万9,999字)になった。一方、5,000字未満の短い作品は3作のみとなった。もちろん「長い=いい」と単純には言えないが、同人小説を読む人は読書好きが多いはずであり、がっつり物語世界に浸れる長さも人気の重要な要素になるのだろう。

 また、一話完結でなく、複数話に分ける「連載」は、より多くの人に読んでもらいたいのならば全くお勧めできない。読む側にすれば「一回で終わんないの?」となってしまうため見てもらいにくくなる。そもそも、アマチュアの同人作家が無料で見られるサイトに上げている「連載もの」は次がいつ投稿されるのか、そもそも本当に終わるかどうかなどわからない。デイリーランキング上位50作品の中に連載ものはなかった。上位50作品のランカーのうち、別に連載作品を書いている人は何人かいたが、回を重ねることにブックマーク数を落としてしまうケースがほとんどだった。連載はランカーですら苦戦する。投稿者には「とりあえずアップして楽になりたい」という誘惑を振り切る自制心が求められる。

■まとめ~まず塁にでる~

「とにかく見てもらいたい」ならお勧めは以下の通りになる。

・男性向けより女性向け
・一次創作より二次創作
・流行のジャンルはやっぱり強い
・週1で同ジャンルの投稿を行えれば理想
・連載にせず一回できちんと話を終わらせる
・タグはきちんと、丁寧につける
・ある程度の長さの話を投稿する。理想はランカーにも多い1万字程度(原稿用紙25枚)
・速やかにusersタグがつくとあとの伸びがいい。初動はがんばりたい

 ランカーは話の質がいいからランカーであり、天性のセンスもあるのだろうが、何遍も書いていくうちに引き出しも増えて見せ方も会得し「このジャンルでは●●さん」となっていった部分もあるはずだ。漫画家鶴田謙二氏のような「寡作の天才」は難易度がとんでもなく高いコースだろう。特に二次創作は投稿者がそのジャンルにはまっている愛情の深さも見られる特有の事情もある。「頻度」が結構鍵になる文芸ジャンルなのだ。量は質に転化する(かもしれない)と思うと大変だが希望もある。

 ちなみに私の現在の同人活動状況だが、2冊目の同人誌を3カ月前に50部発行し、イベント参加1回と通販で現在22部を頒布している。また、目下の同人活動の目標は「感想を頂く」だが、感想が欲しいと言える機会では積極的に言うことで嬉しい長文の感想を頂くことができた。非常にありがたい。サークル名とペンネームを「長めの感想ください」にしようかと思うくらい感想が欲しい気持ちは揺るがない。より多くの人に見てもらえれば感想を頂く機会も増えると信じ、今後pixivで投稿する際は1作品1万字を超えるよう励みたい。
(文/石徹白未亜 http://itoshiromia.com/)

最終更新:8/30(火) 13:00

おたぽる

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