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地震大国イタリアの大きな闇と小さな光と --- 仲宗根 雅則

アゴラ 8/30(火) 16:20配信

イタリアでまた大きな犠牲をもたらす地震があった。発生時刻は8月24日未明。犠牲者数は8月28日現在291人。数字はさらに増えると見られている。

日本と同じ地震国、イタリアの震災の歴史は長く厳しい。紀元前後からの発生裏付けがあるが、割りと正確に記録され出したのは17世紀頃から。その数は極めて多い。

20世紀の初めには、南部のシチリア島で津波を伴う地震が発生して、8万人から12万人が犠牲になった。犠牲者数に幅があるのは、混乱が激し過ぎたからだと考えられる.

今回の地震では「いつものように」古い建物が多く倒壊した。石造りの古い建築物が多いイタリアでは、激震毎に耐震政策が声高に言われるが、中々進まない。そうやって再び大きな被害が出た。

今回の被災地は、2009年に300人余りの犠牲者を出した大地震の震源地と目と鼻の先にある。そこでは、13世紀に造築された歴史都市ラクイラが凄まじい勢いで破壊された。

今回の被害の全容はまだ明らかになっていない。しかしラクイラ地震と同様に倒壊家屋や破壊された施設も多く、インフラ等への打撃も大きい。

犠牲者数が似通っている点もさることながら、今回の地震は7年前のラクイラ地震との比較でいろいろなことが明らかになりつつある。

まず、古い家が倒壊したという共通点とは別に、ラクイラ地震を踏まえて耐震構造を強化した新築の家屋が近辺に多くあり、それらのほとんどは被害を受けなかったこと。

それとはまったく逆に、ラクイラ地震を踏まえて同じ条件で2012年に新しく建てられたはずの学校や病院などの公共施設が全半壊し、住宅などにも同様の被害が重なったこと。

つまりそれらの建物は、ラクイラ地震を受けて設定された厳しい耐震基準を無視して建てられた。いわゆる偽装建築ではないか、という疑惑が浮かんで早くも当局が捜査に乗り出した。

イタリアの地震政策が日本と大きく違うのは、石造りの古い建築物を耐震構造に作り変えるのが難しいこと。新たな建物が不正な方法で建てられるケースが後を絶たないこと、などである。

ならば、イタリアには希望がないのかと言えば、そんなこともない。闇の中に一条の光が射すような部分がある。それがまさに、最新の耐震構造に作り変えるのが困難な古い建築物そのものなのである。

地震の度に崩壊の危機にさらされる歴史的建造物の中には、実は何世紀にも渡って生きのびている、いわば究極の耐震構造物と形容しても良いような強靭なものも多くある。

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最終更新:8/30(火) 16:20

アゴラ

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