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KEMURIがボーダーレスに届けるボジティブな熱 『SKA BRAVO 2016』東京公演レポ

リアルサウンド 8/30(火) 15:00配信

 東名阪の3カ所で開催されたKEMURIの自主企画『SKA BRAVO 2016』の最終公演が、TSUTAYA O-EASTで行われた。今回のゲストはUSスカパンク・シーンにおいて、もっとも勢いのあるStreetlight Manifesto!「コンバンハ!トウキョー!準備ハイイデスカ?」というメンバーの流暢な挨拶をきっかけに「We Will Fall Together」で幕を開けた。

 彼らは、異国の舞台というアウェイ環境を全く感じさせない堂々たるプレイスタイルと貫禄でフロアを掌握。さらに、絶妙なタイミングでブレイクを入れてオーディエンスを焦らす余裕や、段違いの肺活量が生み出すホーン隊の迫力には、終始息を飲むばかりだった。

 そんなStreetlight Manifestoの白熱のアクトを終えて温度が上がりきったフロアだったが、平日ということもあり、仕事終わりに急いで駆け付けたであろうオーディエンスがどんどん増えていく。そしていよいよ、本日の主役・KEMURIがステージに登場! むせ返る程の熱気で包まれたフロアの光景を一望した伊藤ふみお(Vo)が「歌えー!」と笑顔で呼び掛けると、同時に代表曲である極上スカパンクチューン「Knockin’on the door」「Ohichyo」を投下! いきなりの名曲連続で、フロアは幸福な空気に包まれた。そのあまりの勢いに「おい、最高だな!」と自身の感情を零した伊藤は、「deepest river」でステージ上から海外のファンに呼び掛け、国籍というボーダーの一切存在しないこの環境を心から喜んでいるようだった。その気持ちは確かなようで、伊藤は「あんまり英語喋れないし上手くコミュニケーション取れる訳じゃないけど、改めて肌の色とか言葉とかを越えた何かを勉強した」と今回のイベントの意味を語った。

 スカサウンドにはネガティブな要素が一切存在しないし、それは「POSITIVE MENTAL ATTITUDE(肯定的な精神姿勢)」を掲げるKEMURIがずっと変わらずに体現している。なにより「PMA(Positive Mental Attitude)」やStreetlight Manifestoのホーン隊を交えての特別編成でプレイされた「Sun Set」で沸き起こるシンガロングや大歓声を全身に浴びながら、ポジティブな気持ちはボーダーレスだということをひしと思い知らされた。国籍関係なくフロアで肩を組む人や自由に踊る人で溢れていたことが何よりの証明で、その光景を見て目頭が熱くさえなった。

 そして「私事なのですが、ついこないだ誕生日を迎えまして…」という伊藤のフリから「Birthday」(サビの≪Birthday!!!≫では伊藤が自身を指差す仕草をしたり「ふみお!」コールが起きたりで会場は沸騰!)、「今度は僕らからみんなへ1曲贈ります!」と「New Generation」をプレイ! 爆速スカチューンの連続にフロアはカオス状態で、それを煽るかのようにコバヤシケン(Sax)、河村光博(Trumpet)、須賀裕之(Trombone)のホーン隊が生み出すグルーヴも加速していった。

 さらに「Rainy Saturday」での田中‘T’幸彦(Guitar)による熱いソロや「Workin’ Dayz」での津田紀昭(Bass)、平谷庄至(Drums)のリズム隊による軽快ながら芯のある低音が、オーディエンスをダンスステップに誘う。そして待ってましたと言わんばかりの爆音クラップに迎えられてプレイされたのは、キラーチューン「Ato-Ichinen」! 前後左右、さらには雪崩れ込むダイバーで上下も分からないほど掻き乱されたフロアの様子から伝わってくるのは、「楽しくって仕方がない!」という純粋無垢な感情ただひとつだ。その感情を抱くことに大人子供は関係ない。年齢を超えた全ての人が全力で楽しんでいるその光景こそが、世代問わず愛されているKEMURIの存在の大きさを物語っていた。

 そんなボーダーレスなフロアを真っ直ぐに見た伊藤は、KEMURIの役目は「心が弱った時に元気を出してもらえるような音楽を作り続けていくこと」だと語り、「いつの時代もさ、損するのは弱い人間だから。心が弱った時はライブに来て、好きなように大声で歌ってもらいたいと思うし、そういう場をこれからも作り続けていきたいと思っています」と約束して、ラストに「Prayer」を贈った。

 鳴り止まないアンコールに迎えられて再度ステージに現れた7人は、「Don’t Know」「Along the longest way…」をプレイし、9月から始まるツアー『WORLD TOUR 2016 in JAPAN』の追加公演の開催を発表して会場を大いに沸かせた。そんなアドレナリン全開の会場に対し、再々度ステージに登場した彼らは最新曲「サラバ アタエラレン」を渾身の力で演奏し、高いテンションのままイベントの幕を閉じた。国籍、世代、性別…様々なボーダーを全て取っ払った、最高に明るいアクトだった。

峯岸利恵

最終更新:8/30(火) 15:00

リアルサウンド