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小池都知事が築地市場移転に「結論を出す」と明言。その行方は?

HARBOR BUSINESS Online 8/30(火) 13:30配信

 小池百合子都知事が早ければ今週にも、築地市場移転に関して何らかの決断を下すのではないかとみられている。小池知事の“参謀役”である若狭勝衆院議員が8月28日の報道番組に出演した際、「(知事は築地市場移転について)今週中に緊急記者会見をして、この問題について結論を出すと思う」と明言したのだ。

◆築地関係者の多くは「これで年内移転はなくなった」と歓迎

 8月5日、小池知事は初の定例記者会見に臨んだ。選挙中は築地市場移転について「一旦立ち止まって考える」と訴えていたにもかかわらず、移転延期をすぐには宣言しなかった。都政刷新を掲げて圧倒的支持を得た小池知事だが、就任早々、都議会自民党議員や都庁幹部など“守旧派軍団”の分厚い壁にぶちあたっているようなのだ。

 小池知事が初登庁した8月2日には、都庁1階で「豊洲移転100日カウントダウンイベント」の写真展が開かれていた。主催する担当課の東京都中央卸売市場に「小池知事の方針と食い違うのではないか」と問い合わせると、「(知事は)豊洲移転を延期するとは言っていない」と回答。

 しかし小池氏は7月22日の築地での街頭演説でこう訴えていた。

「土壌汚染の安全性の確認、豊洲の様々な使い勝手の問題などについて、移転をする人の納得をいただく。そのためには、一歩立ち止まって考えるべきだと思っております」

 そして小池氏は演説後、築地関係者で組織する「躍進する市場の会」代表の関戸富夫氏から「開場予定日を見直して下さい」との要望書も受け取ってもいた。築地市場では、仲卸の8割以上が移転撤回・延期を求めている。関戸氏は「11月7日の延期はもちろん、築地での営業継続が可能になる抜本的見直しに踏み込む決意表明と受け取りました」と期待している。

 土壌汚染の安全性の確認や築地市場関係者の納得には、数か月単位の時間を要するのは確実。要望書を手渡した関戸氏が「これで年内の移転は無くなった」と安堵したのはこのためだ。

◆「新知事が何と言おうが、豊洲移転は予定通り進める」姿勢の東京都

 ところが都は、都知事選の間に築地市場解体工事を発注していた。

「新知事が何と言おうが、豊洲新市場開場は11月7日に予定通り進める」というのが都の考え方なのだ。

「小池都政、攻防火蓋 2日に初登庁」と銘打った8日2日付『日本経済新聞』には、築地移転に関する都庁幹部の本音が紹介されていた。そのコメントは「リップサービスの部分もあった選挙公約をいかに現実の政策に落とし込むか。擦り合わせを急がないといけない」というものだ。

 築地移転問題に長年取り組んでいる東京中央市場労働組合の中澤誠執行委員長は、「複数の記者が教えてくれましたが、小池知事は都の職員や都議に『11月7日の移転延期をしたら大変なことになる』と“恫喝”されているようです」と話す。

 その兆候は、8月5日の初の定例記者会見でも垣間見えた。築地市場移転について小池知事は、関係者からのヒアリングへの意欲を示す一方で、「既にオンゴーイング(進行中)の話だと承知をいたしております」「(豊洲新市場開場の)11月7日というのはもう決められている」という言い方をしたからだ。前知事時代の政策継承を目論む抵抗勢力の“恫喝的説明”に怯み、公約実現に欠かせない「移転延期の宣言」をためらっているのではないかと見る関係者もいる。

 記者は会見で、築地市場に関して「『(移転)延期はあり得る』という理解でよろしいでしょうか」と確認したが、小池知事は「いや、それは仮定の話でございます」という曖昧な答えに止まった。

「数か月の移転延期」を決断して抜本的な見直し(築地市場での営業継続など)に踏み込むのか。それとも「11月7日の豊洲移転・開場」は不動のものとして対応するのか。

 築地市場問題は、都政刷新を掲げた小池知事が抵抗勢力に丸め込まれるのか否かを見極める試金石になりそうだ。知事は移転延期の方針を固めたとも報道されているが、果たしてどんな決断を下すのか。

 移転延期を決断した場合、9月1日から始まる都政改革本部でのオープンな議論が次の主戦場となる。

取材・文・撮影/横田 一(ジャーナリスト。小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた新刊『黙って寝てはいられない』<小泉純一郎/談、吉原毅/編>に編集協力))

ハーバー・ビジネス・オンライン

最終更新:8/30(火) 13:30

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