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帝人株式会社: 「One Teijin」の旗印の下、大胆な人事改革に着手 帝人が取り組む人財育成の要諦とは(後編)【となりの人事部】

日本の人事部 8/31(水) 7:30配信

風土改革を実現するために行った「One Teijin」の取り組みにより、帝人グループのコミュニケーションは活性化し、グループダイナミクスが向上しました。海外における成果にも、著しいものがあったそうです(前編参照)。しかし、帝人のチャレンジはこれだけにとどまりません。例えば、新入社員全員を4月に海外に派遣するなど、人財育成面でも他社に見られない取り組みを積極的に行っています。その背後には、経営トップの想いを実現する、人事部の献身的な対応が見え隠れします。

藤本 治己氏(帝人株式会社 人事・総務本部 人事部長)

ふじもと・はるみ●1983年に帝人に入社。新規事業である医薬品事業に、新卒で第一期生として配属される。1992年、人事部へと異動、採用・教育課に配属。1995年、人事部大阪人事課、1997年三原事業所労務班長。2000年にヨーロッパ駐在員事務所、帰国後の2002年にグローバル人事部採用教育課長。2011年、採用・人財開発部長、2013年、人財開発・総務部長を経て、2016年、人事部長に就任、現在に至る。

新入社員全員を入社後1ヵ月以内に海外へ派遣

―― 人財育成の面でも、何か変化は起きているのでしょうか。

近年変化があったのは、コア人財(将来の役員候補)の育成ですね。コア人財の研修については、30代、40代前半、40代中盤というレイヤー(層)が三つあります。それぞれのレイヤーで3年間研修を実施しますが、1~2年目は座学やグループワークで、新規事業企画を行います。そこでおもしろい事業企画があると、それに対して役員がオーナー(メンター)となって予算を与え、実際に事業化を検討するケースも出てきました。役員の意識もかなり変わってきたようで、横だけではなく、縦の関係でのコミュニケーションも活性化してきているように感じます。

経営トップも常に言っていることですが、結局、いろいろな形で人と人が融合することが重要なのです。事業を進めていくに当たり、技術の融合、マーケットの融合、お客さまの融合をキーワードにしていますが、そうすると、社内の人財を融合していくことが不可欠です。人事としても、経営をサポートしていく上で、重要視しています。

―― 貴社では新入社員全員を、入社後の4月末に海外に派遣されていますが、どのような目的をもとに実施し、現地ではどんなことを行っているのでしょうか。

実は新入社員の海外派遣について、当初、人事では反対していました。2012年から始めた制度ですが、この当時はリーマンショック以降、全体の予算が縮小傾向にありました。費用対効果の面から考えても、正直、他のことに費用を使いたかったのです。新入社員が海外に行くにしても、ある程度仕事のことを理解した上で行った方が効果があるのではないか、また、仕事で海外と接点があるなど、必要な人だけを行かせればいいのではないかなどと考えていました。

しかし、経営トップの思いは、そうした人事の思惑とは全く違いました。「まず新入社員の段階で海外に行かせて、マインドセットすることが大事なのだ」と言うのです。その頃、100人規模で新入社員を海外に派遣するような会社はありませんでした。今でも、あまりないのではないでしょうか。立場上、私も反証する資料を提出しました。しかし、とにかく「やるように」の一言。その言葉に、ただならぬ決意を感じると同時に、阪神淡路大震災の時の人事役員の言葉が重なりました。

そこで私も腹をくくり、新入社員を海外へと研修に出す真の目的は何なのか、あらためて経営トップに尋ねたところ「新入社員の段階で欧米の先進国ではなく新興国に行き、その地のトップ企業、トップクラスの大学生、そして底辺で生活している人たちの実態を肌感覚で知ることが、マインドセットを変えるという意味で非常に大事である」と言われました。「社会人として経験を積む前のまっさらな状態で行くからこそ、マインドセットができる」という強いメッセージを感じましたね。

1年目の派遣先は、中国とインド。近年はベトナム、タイ、インドネシアなどにも派遣しています、現地の優秀な大学生とディベートをするのですが、残念ながらほとんど負けてしまいます。英語力以前のレベルで、自分の意見を相手にきちんと伝えるという点で、全く歯が立たないのです。振興国の若くて優秀な人はいろいろな点で迫力があり、ハングリー精神が日本人とはけた違い。こうした人たちと現地で真剣に議論する経験、しかもコテンパンにされるという経験は、何ものにも代えがたいと思います。何より、若い時でなければ、こうしたマインドセットを変えることはなかなか難しいでしょう。今まで自分が日本で学んできたことはいったい何だったのか、新入社員は大きなショックを受けることになりますが、こうした海外での経験が、新入社員の意識を大きく変えていきます。帰国後、新入社員にアンケートを取るのですが、「会社から海外勤務を命じられたらどうするか」という質問に対して、約80~90%が「海外に行く」と答えています。

この他にも、いろいろとチャレンジングな取り組みを行っています。例えばヘルスケアなど、事業によっては国内マーケットに閉じている仕事もありますが、人財の融合が大事であるという観点から、新卒採用の10%以上は外国籍としています。海外の大学への留学経験者も、採用数の20%を目標に置いています。また、女性採用は以前から積極的に行っていて、総合職の新卒採用の30%以上は女性です。

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最終更新:8/31(水) 7:30

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