ここから本文です

【フィンテック入門】複数口座を一括管理できる「アカウントアグリゲーション」活用術

@DIME 8/31(水) 8:10配信

ITが金融のしくみを便利にする、フィンテックの成果を個人の立場から考えてみる本連載、5回目はアカウントアグリゲーションについて紹介します。

アカウントアグリゲーションというのは、複数の口座をひとつのサービスで縦覧できるようにするサービスのことです。仕組み自体はフィンテックのブーム以前から提供されてきたものですが、近年のフィンテックブームと相まって今後のサービス拡充が期待できるテーマのひとつです。また、フィンテックの本来あるべきテーマのひとつではないかと思います。

■資産は全体でみて管理運用する時代だが今までは難しいことだった

資産をひとつのところにすべてまとめている人はまずいません。銀行をどんなに信頼している人であっても、1000万円を超えた場合、複数の金融機関に分けて預けます。破綻時に全額保全されない、つまりペイオフの心配があるからです。

銀行もメインバンクに加えてネットバンク等のサブバンクの口座を持っている人がほとんどですし、証券会社で投資をしている人は投資の口座があります。電子マネーやクレジットカードなども利用額としては無視できないものとなっており、自分の資産(および負債)がどこにいくらあるかわかりにくくなっています。

一方で、資産を全体で把握し管理運用するべき時代となっています。アセット・ロケーションの発想です。効率的資産配分を検討するアセット・アロケーションという言葉がありますが、こちらは文字通り「資産(アセット)」の「置き場所(ロケーション)」を追求する考え方です。

例えば確定拠出年金口座は積み立てるほどに所得税や住民税の節税になり、運用益は非課税ですから、有利に活用すべき口座です。NISA(少額投資非課税制度)も年120万円の範囲で投資でき利益はすべて非課税になります。

投資したい資金はこうした税制優遇のあるアカウント(口座)に重点的に移し、かつ高利回りの期待できる投資の選択をすべきです。

しかしそのためには自分の財産全体を把握、管理する感覚が求められ、そのためのサポートツールが必要です。

アカウントアグリゲーションサービスはその一助となってくれます。

■初期設定にはちょっと一苦労 時間があるときに一気に登録

アカウントアグリゲーションはそれほど難しいものではありません。ひとつのサービスアカウントを開設、そこで複数の金融機関の口座情報等を登録していきます。登録が完了すれば、全部の口座に個別にログインしなくても残高把握ができる、というものです。

たとえば、A銀行、B銀行、C証券会社、D確定拠出年金口座、Eクレジットカード、Fクレジットカード、G電子マネー、というように情報登録をしておけば、「お金の出入り」「すべての資産額」などが把握できるようになります。

課題は、サービス業者の最初の選択をどこにするか、という悩みどころがある点と、初期登録がひたすらに手間がかかる、ということです。

あるサービスで金融機関登録をすると、過去ログ取得まですれば1社ごとに数分以上かかります。その後の利便性に比べればたいした問題ではありませんが、最初だけはちょっと手間がかかります。

しかしこの最初の「ひと手間」がその後の便利を保証してくれるのです。時間があるときに、一気にまとめて登録してしまうといいでしょう。

■マネーフォワードがサービス範囲で一歩リード、各社が追随

アカウントアグリゲーションを行っているサービスで有力なところは以下のような会社です。

・Money Forward

・Money Look

・Money tree~一生通帳

・Kakeibon

・Monex One(マネックスワン)

・人生通帳(ソニー銀行)

基本的に、WEBとスマホアプリの両対応になっていて、どちらからもアクセスすることもできます。

それぞれ、登録できる金融機関のリストを公表していますので、確認をしてください。自分が登録したい金融機関が含まれていることが第一要件です。

具体的には

・給与振込口座(メインバンク)
・サブバンク(ネット銀行等)
・クレジットカード
・証券会社(口座がある場合)

あたりは登録したいところです。

自分の登録したいと考えている金融機関がひとつでも含まれていないのであれば、候補から外してもいいでしょう。これはとても個人的なサービスなので、自分にぴったりフィットするかが第一です。

上記候補のなかで、対応金融機関やサービスがもっとも幅広いのはマネーフォワードのようです(確定拠出年金で全社対応しているのはマネーフォワードのみ)。しかし、それ以外の会社も、日々対応金融機関数が増えています。また、自分の口座がひととおり接続できれば対応数が1000でも2000でも関係ありませんので、自分にとって合うかどうかで選んでみてください。

ちなみにマネックスワンはマネックス証券に口座がある人、人生通帳はソニー銀行に口座がある人が使いやすい作りとなっているようです。

アカウントアグリゲーションはプラスアルファのサービスが付随することでさらに魅力向上が期待できますが、競争はまだこれからです。新規参入企業にも期待したいところです。

■課題はセキュリティと活用のちょっとした工夫

アカウントアグリゲーションは便利なサービスですが、活用にはちょっとしたヒントが必要になります。例えば、全部の金融機関口座を登録すればいい、という単純な話ではありません。

自分の使い方に応じて、「意識的に」登録する金融機関を選択する方法も考えられます。

資産状況の把握だけを目的とするのであれば、クレジットカード会社やポイントカードの登録は不要かもしれません。

家計簿機能を重視するのであれば電子マネーへのクレジットカードからのチャージや、電子マネーの利用状況も反映されるほうが便利でしょう。

また、「そこに残高があることはできれば意識から遠ざけておきたい」という口座もあります。がんばって貯金をしているのに、その残高が「あなたの全財産いくら」としていつでも見えてしまうと使う誘惑にかられてしまうような人は(私もそうですが!)、下ろさない予定の口座については「あえて登録しない」という手も考えられます。自分なりにどこまで登録するか距離感を考えてみるといいでしょう。

また、セキュリティ対策についても注意をしておきたい者です。とはいっても、毎回パスワードを入力しないことがアカウントアグリゲーションの便利さそのものです。そのためにはアカウントごとのIDやパスワードをどこにどう保管するかという問題が生じます。

サービス側のサーバーサイドでパスワードを保管する場合、基本的には暗号化されていますので、漏出のリスクはあまりありません。また、残高情報を閲覧できるIDとパスワードを入手されたとしても、実際の振込指示などでは別パスワードを必要とするのがほとんどなので、この点でもあまり心配はいらないと思います。

スマホ側では、スマホのパスコード、アプリのパスコード、紛失時の検索設定(iPhoneを探すなど)の設定をしておけばかなり安心です。パスコードは指紋認証設定ができればそれほど負担にならないはずです。

「とても便利」が「全部筒抜け」にならないようにしつつ、サービスを利用してみたいものです。

文/山崎俊輔

@DIME編集部

最終更新:8/31(水) 8:10

@DIME

記事提供社からのご案内(外部サイト)

@DIME

小学館

2017年1月号
11月16日発売

定価630円

ヒット商品&トレンド大予測!
ふるさと納税駆け込み攻略ガイド!
発表!小学館DIMEトレンド大賞
別冊 DIME創刊号付き

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。