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IoTでお客様のエクスペリエンスが変わる6つの事例

JBpress 8/31(水) 6:10配信

 IoTの導入は、多くの企業にとって「成熟化」や「同質化」への対応という喫緊の課題を解決するチャンスである。しかし同時に、その変化に適応できなければリスクともなりうる。

 今後、ブランドの差別化ドライバーがプロダクト価値やイメージ価値から「ブランド体験」価値へとシフトして行くことは間違いないだろう。

 したがって、お客さま主語の視点からIoTという破壊的イノベーションを捉えた場合に、お客さまの「エクスペリエンス」(ブランド体験)がどう変わるのかが多くの企業人にとって主要な関心事になるのは理の当然である。

■ IoTの本質は「お客さまの成果ベースで稼ぐビジネスモデルの創出」

 さて、IoTの本質とは何か。 IoT(Internet of Things:モノのインターネット化)という言葉のままに理解しようとするよりも、いささか聞き慣れない言葉ではあるが、いっそのこと「Digital Ubiquity」(デジタルの遍在)と意訳したほうが良さそうだ。

 「Digital Ubiquity」の企業主語での解釈は「オープンでグローバルなネットワークによって機器、データ、ヒトを結びつけ、お客さまの成果ベースで稼ぐビジネスモデルを創出すること」である。

 すべてのモノがインターネットでつながった状態というのは、実はIoTのハードウエアとしての側面を説明しているだけに過ぎない。本来は「お客さまの成果ベースで稼ぐビジネスモデルを創出する」ことこそ核心的なビジネスのイノベーションとしてハイライトされるべきである。

■ お客さまのエクスペリエンスは「場」から「時間」へ

 それでは、「お客さまの成果ベースで稼ぐビジネスモデル」をお客さま主語で翻訳するとどうなるのであろうか。端的に言うと「お客さまのエクスペリエンス(体験)の近未来の予測や改善提案が、企業から新しいサービスの形で提供されること」になる。

 それをお客さまが信頼して受け入れることで(少し大げさな言い方かもしれないが・・・)お客さまの人生が望ましい方向に、しかも継続的に変わるようになる。その変化に対してお客さまがポジティブな評価をすれば、お客さまと企業の関係は長く続くことになるであろう。

 しかも、お客さまの行動に紐づくデータ(生体データや購買データなど)を統合・解析するAI(人工知能)は“コグニティブ”な(自ら学習する)存在なので、お客さまに提供する近未来の予測や改善提案の精度は理論上、時系列的に高まっていく。

 このようにして、お客さまと企業はデータを媒介にして長い時間軸でつながり続けるようになるというのがIoT導入以降の人々のライフスタイルの未来予想図になる。

 お客さまのエクスペリエンスは「場」から「時間」へ。これまでお客さまのエクスペリエンスは、スターバックスの「The Third Place(第3の場所)」やディズニーの「Where Dreams Come True(夢がかなう場所)」のように企業が提供するサービスが行われる「場」と緊密なつながりがあった。だが、IoT時代はお客さまとの「時間」のつながりが企業の事業経営やマーケティングを考える上で支配的な概念になることは間違いがない。

 さらに一言加えるのであれば、近未来の予測や改善提案がサービスの形で提供される時、お客さまと企業との「最終的なブランド接点」の役割が極めて重要になる。

 IoT時代の企業間競争のルールの中では、お客さまに最適化されたエクスペリエンスをデザインでき、深い洞察力をもって「人間ならではの新しい発想や価値」を注入できる企業だけが最終的な勝者として生き残る可能性が高い。

 筆者は弊著『IoT時代のエクスペリエンス・デザイン』のなかで「人間ならではの新しい発想や価値」として4つのS(センス、セレンディピティ、サステナビリティ、セキュリティ)を提言している。AIとお客さまが直接、向き合うことで、特にIoTの導入時期にはさまざまなペインポイント(お客さまが失望したり、いらいらしたりする体験)がかなり頻繁に発生するに違いない。このテーマを語り出すときりがないので、連載シリーズの後半であらためて章を立てて解説したい。

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最終更新:8/31(水) 6:10

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