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インバウンドを凌駕する「越境EC」相場がやってくる! 

会社四季報オンライン 8/31(水) 20:46配信

 8月の株式相場は、東証1部の月間出来高がアベノミクス以来、最低水準という閑散相場となった。同月開催のリオデジャネイロ五輪では日本代表選手団が過去最高となるメダル数41を獲得する大活躍を見せ、閉幕式では安倍晋三首相がスーパーマリオブラザーズの「マリオ」に扮して世界を驚かせるなど、大いに盛り上がったのとは対照的である。

 ネット上では「安倍マリオ」を見た世界の多くの人々が「日本に行きたくなった」とコメントしており、「2020東京」に向けて訪日外国人がさらに増加することが期待される。

 さて足元の訪日外国人だが、1ドル100円前後の円高は気になるものの、7月は229.7万人(前年同月比19.7%増)となり、単月としては過去最高を記録し、勢いは衰えていない。特にクルーズ船などで大挙して押し寄せる中国人観光客が過去最高を更新している影響は大きい。しかしながら株式市場では、「インバウンド」や「爆買い」のテーマは、すでにお祭り相場を終えて新鮮味がなくなっている。以下の表をご覧いただきたい。

 これは「インバウンド」という言葉がちまたでちらほら出始めた2014年4月末を起点に、いわゆる「インバウンド銘柄」の高値までの上昇率と、その後高値から8月29日終値に至るまでの下落率をまとめた表である。

 象印マホービン <7965> や寿スピリッツ <2222> のように、高値から調整していても、それなりに株価がしっかりしているものもあるが、ラオックス <8202> は株価10倍以上に爆騰のあと、高値から90%近く下落。コメ兵(2780)や松屋(8237)に至ってはスタート地点以下の水準まで下落している。

 この表を見ると「インバウンド」相場はひとまず終わっている印象だ。そこで改めて注目したいのが海外向けの「越境EC」である。「越境」は国をまたぐ、「EC」とは「Electronic Commerce」、つまり電子商取引のことなので、「越境EC」とは国をまたいだ電子商取引を意味している。平たく言えば海外向けネット通販のことであり、「インバウンド」に対して「アウトバウンド」ともいえる。

 実はこの「アウトバウンド」の状況が、訪日外国人が1000万人を突破した2013年から「インバウンド相場」がスタートした2014年ごろにそっくりなのである。次のグラフをご覧いただきたい。

 まず左のグラフは訪日外国人の旅行消費額の推移で、2011年の8000億円から2015年の3兆5000億円まで、4年で4.3倍に急拡大したことがわかる。その途中の2013年に1兆4000億円を超えて、2014年の2兆円に向かう場面で、「インバウンド相場」はスタートした。

 そして右のグラフは経済産業省が公表している、日本から米国・中国向け越境ECの消費額の予想で、2015年の1兆3000億円から2019年には3兆2000億円へ2.4倍に拡大するとみられている。今年2016年の消費額は約1兆7000億円で、来年は2兆円を超える予想となっており、その数字の感じは「インバウンド相場」がスタートした2014年前後と非常に似ている。
つまり今回はここから「アウトバウンド相場」がスタートする予感がするのだ。

 さらに言えば、この表の越境ECの予想額は、米国と中国向けだけのものであり、他の海外も含めるとさらに増加することや、すでに存在する各国のECの市場規模が大きいこと、これから中国のインターネット人口がさらに拡大することを考えると、アウトバウンド相場はインバウンド以上に大きな相場になる可能性がある。

 ここで経済産業省が公表した「平成27年度電子商取引に関する市場調査」から、世界のEC市場の状況を確認しておきたい。

 まず2015年の各国のEC市場そのものの規模(旅行・チケット除く)だが、日本は896億ドル(2015年の平均為替レート約120円換算で10兆7500億円、以下同様)、米国は3406億ドル(40兆8700億円)、そして中国は6720億ドル(80兆6400億円)である。米国は日本の約3.8倍、中国は日本の約7.5倍ですでに巨大市場であるが、さらに2020年には200兆円に達するとの予測もある。

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最終更新:9/2(金) 13:16

会社四季報オンライン

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北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。