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葬式の生前契約が急増 安心して死ねる気持ちになる

NEWS ポストセブン 9/1(木) 7:00配信

 当人が亡くなったあとで遺族があたふたと手配に動く──そんな葬式のイメージを覆すような、“本人”が生前に手配できるサービスへの申し込みが急増している。

 ベンチャー企業のユニクエスト・オンラインが運営する「小さなお葬式」では、2014年3月から「早割」のサービスを始めた。生前にコンビニ等で500円のチケットを購入しておくと、本人の葬儀費用が割引になるというサービスだ(チケットは3親等内の親族の葬儀まで利用可能、最大6万6000円の割引)。

 このサービスを始めたきっかけについて同社の広報担当者はこう説明する。

「ある利用者の方から、“父が亡くなった後、残されたメモ書きにそちらの会社の番号があったので連絡した”という電話をいただいたんです。その時に、ご本人が自らの葬儀について考えていたことをより確実にご遺族に伝えられるシステムができないかという話になり、このサービスが考案されました。結果、おかげさまで初年度に5000枚が売れ、2年目には2万8000枚に達し、現在は3万枚を超えています」

 見逃せないのは、単に割安になるからという理由で申し込みが増えているのではないところだ。同社の早割サービスに申し込んだ70代男性はこう語る。

「父の葬儀の時は、田舎だったこともあり自治会長さんにすべてを取り仕切ってもらったんですが、葬儀社との値段交渉などに一切タッチしなかった。それで請求書が来てから、思っていたよりもだいぶ高くて困ったという経験があるんです。

 きっと父もそんな思いを私にさせたくなかっただろうし、私も自分の葬儀では子供に迷惑をかけたくない。だから早割に申し込んだ。申し込むと多少安くなるだけじゃなく、“自分の葬式にいくらかかるか”がわかるので、その分だけはお金をきちんと残しておくとか、そういう手配ができます。“安心して死ねる”という気持ちになれますね」

 ユニクエスト社の「小さなお葬式」の特徴は、小規模な葬儀を定額で提供するサービスだ。早割は、生前に“ささやかな葬式で済ませてくれ”という意志を示せるところが、人気の一因となっている。

 早割というかたちを取らないまでも、自分の葬儀の規模、会場、料金や段取りなどを生前から相談できるサービスは多くの葬儀社が実施している。NPO法人「葬儀費用研究会」の冨永達也・事務長が説明する。

「葬儀については、生前にすべての費用を払ってしまう契約は原則できません。契約内容(=葬儀)が遂行される前に本人が亡くなってしまうので、その時点で業者にわたっているお金は遺族の相続対象と判断されるからです」

 そのため、“生前に葬儀社ときちんと相談をしておく”というやり方が増え、業者側では割引チケット販売によって事実上の予約とするようなサービスが生まれ、活況を呈している。

※週刊ポスト2016年9月9日号

最終更新:9/1(木) 7:00

NEWS ポストセブン