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埼玉16才殺害事件 反省の色見えない「赤ギャング」

NEWS ポストセブン 9/1(木) 11:00配信

「嘘をついた。連絡を無視した」。不良グループはそんなささいな理由で仲間の少年を殺めた。なぜ彼らは全身に赤い服をまとい、理解に苦しむ凶行に及んだのか。「カラーギャング」を自称する彼らの狂気の原点──。

 台風が近づいていた。木々がざわつく音に混じり、ドスッ、ボコッという鈍い音が、川の水面に響く。月明かりに少年たちの影が揺れ、ウウッといううめき声が上がる。やがて痛みに耐える声は、荒ぶる風の音に消されていく。

 8月22日午前2時半頃。埼玉県東松山市を流れる都幾川の橋の上で、5人の少年たちが井上翼くん(享年16)を取り囲んでいた。リーダー格の17才と16才の少年、後の3人は中学3年生だ。

 少年たちは翼くんを引きずるようにして幅2mほどのコンクリの沈下橋を渡り、人気のない河川敷に連れ込んだ。

「おい、泳げよ」。翼くんの服を脱がせ、全裸で冷たい川に放り込む。服は川に放り投げた。岸にしがみついた翼くんを砂利の上に転がし、殴り、石で打ち、蹴った。16才の少年は格闘技の素養があったが、殴った彼の手も腫れ上がるほどの激しい暴行だった。

 1人が携帯を取り出し、その様子の撮影を始めた。冷酷な笑い声が河川敷に響く。中学生の1人が声を震わせた。

「これ以上やったらヤバイっすよ。やめましょうよ、先輩」

 だが、先輩は冷たくこう言い放った。

「ここにいる限り、同罪だ。お前もやれ」

 やらないと、自分も殺される──そう感じた少年は翼くんを一度蹴りあげると、他の中学生と共にその場から逃げ出した。

 その後も、翼くんへの暴行は明け方まで続いた。翼くんは泡を噴いて痙攣し始めた。最後に頭を思いきり川に沈めると、やがて体は脈打つことを止め、まったく動かなくなった。怖くなった少年たちは翼くんの遺体をその場に放置し、ワインレッドのバイクに跨がって逃げた──。

 その日の午後、台風9号が関東地方を直撃。翼くんの亡骸は激しい風雨に晒されたうえ、水かさを増した川にのみ込まれた。

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最終更新:9/1(木) 18:59

NEWS ポストセブン

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