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「PERFECT HUMAN」を意味づけする偽善者 --- 尾藤 克之

アゴラ 9/1(木) 17:15配信

24時間テレビに関しては、放送以降、多くのコメンテーターやジャーナリストの方々がニュースサイトに記事を投稿している。様々な意見があり自由闊達な意見が交わされることで啓蒙につながると考えたい。しかし、同番組を偽善と評される方が非常に多い。そこで、偽善と評される方々に伺いたい。

皆さまは、社会福祉の分野でどのような活動をされてきたのか。幾らの寄付を集めて、幾らの奉仕をしたのか。ひいてはどのような価値を社会に還元してきたのか。説明できないなら批判をする資格はないと考えている。

■「PERFECT HUMAN」を意味づけする偽善者

J-CASTニュースは、「ダウン症児が『パーフェクトヒューマン』踊る-24時間テレビ予告映像が物議(http://www.j-cast.com/2016/08/23275882.html?p=all)」と称して、ダウン症の子どものダンスに対して、「24時間テレビのコンセプト全否定」「今世紀最大の皮肉」という論調で記事を仕上げている。

「今回の騒動について、ダウン症患者とその家族、支援者らで作る『公益財団法人 日本ダウン症協会』の担当者は22日のJ-CASTニュースの取材に対し、『実際の番組を見たわけではないので、コメントのしようがありません』と答えている」(原文ママ)

「 日テレには、J-CASTニュースが22日夕方から23日にかけて、この企画の意図や趣旨を取材しようと、10回以上問い合わせているが、23日16時現在まで、『広報担当者がすべて出払っている』との回答しか返ってこなかった」(原文ママ)

J-CASTニュースがどのような意図で、日本ダウン症協会と日テレに連絡をしたのかわからないが、いささかマナーを逸脱しているように感じる。

このような心無い発言が、障害者差別の元凶になっていることになぜ気がつかないのだろうか。このような発言が、どれだけ本人や両親、家族を苦しめるのか。なぜ、芸人が作った曲にそこまでの意味づけを求めるのか。

「PERFECT HUMAN」は流行曲だから学校で流行っているのだろう。ダウン症の子供たちが演じることに対して、意味づけをする差別的意識が私には理解できない。さらに、それに対して何の迷いも無くニュースにして掲載しているメディアにも違和感を感じる。

番組を見ていたら分かるはずだ。この子供たちはオリラジのフアンである。そして「PERFECT HUMAN」が好きなのである。だから、楽しそうに一緒に踊っていたのだろう。それに第一、両親が受け入れなければ企画自体が成立しない。本人がそれを喜び、両親が納得しているなら、それでよい話ではないのか。

番組に対しては様々な意見があってしかるべきだとは思う。違和感を覚えるのは、建設的な批判ではないということだ。それは、私を含めて健常者の傲り高ぶりではないのか。

しかしながら、一方で番組の改善すべきポイントも見えたような気がする。チャレンジ企画は障害者が様々な挑戦をすることで、理解促進をはかることが目的だと思うが、理解が進まないということだ。理解が進まないわけだから啓蒙することはできない。

■愛がなければ地球は救えない

また、「愛は地球を救う」というキャッチコピーについて違和感を感じている人が多いようなので、これについても私見を述べたい。「愛」という言葉には、人間の根源的感情として多くの価値との交わりを可能にしている意味が込められていると考える。

番組が開始された、1978年当時はまだ障害者差別が色濃く残っていた時代である。そのような世相に一石を投じるには高尚なビジョンが必要だったのだと考えている。逆をかえせば、高尚なビジョン無くして成功は無かったのかも知れない。

なお、私が支援している「アスカ王国」という障害者支援の団体がある。1981年の国際障害者年の記念事業として活動を開始した。活動期間中は「健常者、障害者、指導者、来賓等の区別のない交流を図りボランティアスピリットを高めた国つくりをおこなう」ことを目的としている。そのため、活動の名称に王国を追記し「アスカ王国」としている。

これまでに全国50ヶ所以上で開催し、参加者総数は約2万人を数え、後援をいただいた国会議員や地方議員等は200名を超している。各地方行政からの支持もあり、最近は企業からのニーズも高まっている。活動のキャッチコピーは「愛と平和の国」である。

心身に障害をもつ人が社会参加を果たすためには、いくつかの「壁」を超えなければいけない。物理的な壁や制度上の「壁」は、政治や行政の努力で取り除くことができる。しかし偏見や差別など、社会に根付いている「壁」を取り除くためには、社会福祉の概念を根本的に見直し人々の意識を変革する必要性がある。そこに生きる人たちの心が貧しい社会であっては、ノーマライゼーションを創造することはできないからである。

私自身にできることは微力かも知れないが、自らの使命を全うし成すべきことをしようと思っている。

尾藤克之
コラムニスト

尾藤 克之

最終更新:9/1(木) 17:15

アゴラ

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