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SIONが語る、言霊を宿した詞:「若いころは死に対する気持ちが今と違った」

ローリングストーン日本版 9/1(木) 18:00配信

ローリング・ストーン日本版 2016年6月号掲載
言霊を宿した詞:SION

肉体の内側からえぐり出し、身体性を伴った言葉には魂が宿る。そんな"生"の言葉を紡ぐアーティスト。彼らが作り出す歌詞の制作風景を辿る。

SION ロングインタヴュー|人に言えるほど、俺は何かをしたんか? 俺も恥を知らなきゃいけないね

「なぜ俺の気持ちがわかるんだろう」。SION楽曲を聴いた人の多くがそんな感想を持つ。彼の言葉はなぜこんなにも共感されるのか。デビュー・アルバム収録の『コンクリート・リバー』をきっかけに、背景を聞いた。

―この詞を書いたのはいつ頃ですか?

書き始めたのは東京に出てきてそれほど時間はたってない頃だったと思うけど、1曲にまとまったのはそれからしばらくしてですね。その頃は新宿の西口会館1階の角にあったアクセサリーと革製品の店で毎日ひたすらバイトをしていてね。駅から出てきた人、駅に行く人、東口に行く人、東口から来た人、かなりの人通りだった。向かいはしょんべん横丁で、それ以外にも飲み屋が多かったから、朝は酔っぱらいが残していったお好み焼きの掃除。あれはイヤだったなぁ。そしてバイトから帰ったらアパートの共同トイレのドアがたいてい開いてて、流してない大が和式の便器にあったりして。もう「勘弁して下さいよ」って。歌を唄いに来たはずだったけど当時は歌どころじゃない感じで。でも自分に必要な時に、声を出せないボロアパートで押し殺したちゃいち~い声でいろんなことを唄ってた。



―何がこの詞を書かせたのですか?

この曲に限らず書こうと思って書くことは少なかったような気もするけど、見たものや思ったことなどのいろんな絵や気持ちが繋がってひとつになっていくというか、それとなにしろ自分に必要だったからかと。

SIONさんにとっての言葉とは?

―"生まれたその時からもう死に向かって~今コンクリート・リバー足をとられても"。初めて聴いた時、この部分で震えたのを覚えています。

若いころは死に対する気持ちが今と違って、まだ先は長いのにその時はとてもそうは思えなくて、根拠のない鉄の自信と自分のエンジンを超えたスピードで走ったりするからね。でもその青さがいい歳こいた今でもあったりしますが(笑)

―SIONさんにとってこの歌はどんな存在ですか?

歌は書いた場所から動かない歌と、ずっといっしょに歩いてるような歌があるんだけど、この歌は動かないと思って。あとはこの曲に限らず今唄ってはいけないと思うこともあって唄わなかった時期もあるんだけど、唄ってみるとまた力をくれるから嬉しい。タイトルを見るだけで、この歌をいっしょにレコーディングした、今は天国にいってしまった小山英樹さん(キーボード)の姿や音まで見えたり聴こえたりするから嬉しいし寂しい。なんにしてもまた唄います」

―最後にSIONさんにとって言葉とは?

歌詞以外話さなかったらいいんだろうけどなかなかそうは。昔よりかなり気をつけて言葉にしてるつもりだけど、それでも知らないうちに傷つけたりしてることもあるんだろうなと。自分が傷ついた瞬間はまっすぐ分かるのに、困ったもんです。

SION
シオン ◯ 1960年、山口県生まれ。86年、アルバム『SION』でメジャー・デビュー。以降、コンスタントな活動を続け、20枚を超えるオリジナル作品を発表している。今年、メジャー・デビュー30周年迎え、オールタイム・ベスト『30th milestone』を6月22日に発売する。8月11日には、毎年恒例の日比谷野外大音楽堂でのワンマンライヴ『SION-YAON 2016 with THE MOGAMI ~Major Debut 30th Anniversary~』を行う。http://mars-music.jp/?page_id=13

Joe Yokomizo

最終更新:9/1(木) 18:00

ローリングストーン日本版

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