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パキスタンも陥落、次々に潜水艦を輸出する中国

JBpress 9/1(木) 6:00配信

 パキスタン海軍当局によると、パキスタン海軍は中国から8隻の潜水艦を調達することが確実になった。中国は、タイ海軍への潜水艦の売り込み(本コラム2016年7月14日「潜水艦3隻購入で中国に取り込まれるタイ海軍」http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47328)に成功しつつあるが、それに引き続いて今度はパキスタンへの潜水艦売り込みにも成功した模様だ。

■ パキスタンが潜水艦を必要とする理由

 パキスタン海軍の潜水艦調達部局は、2028年までに中国から8隻の潜水艦を調達する計画の進捗状況を公表した。そのうちの半数は2022~2023年までに中国で建造されてパキスタン海軍に配備され、残りの半数はパキスタンのカラチ造船所で建造されることになるという。

 パキスタンが中国から潜水艦を調達するという情報は昨年より流れていたが、今回の公表によってパキスタン海軍が中国から潜水艦8隻を調達することは確実になった。

 パキスタン海軍ならびにパキスタン議会の防衛委員会によると、パキスタン海軍は沿岸域防衛のために強力な潜水艦戦力を必要としており、中国政府とパキスタン政府が推進している「中国パキスタン経済回廊(CPEK)」構築を成功させるためにも必要であるという。

 中国が供給する潜水艦に関する細目や具体的な調達価格などはまだ明らかになっていないが、昨年浮上した情報では8隻の潜水艦を50億ドルで調達するということであった。アメリカ海軍などの潜水艦取引の専門家たちの間では、中国が「元型」潜水艦を売り込もうとしていることは間違いないだろうと推測されている。

■ インド海軍に追いつきたいパキスタン海軍

 パキスタン海軍が8隻の中国製新鋭潜水艦を手にしようとしているのは、両隣のインド海軍とイラン海軍が共にパキスタンよりも多くの潜水艦を運用しているからに他ならない。

 現在パキスタン海軍は、フランスから調達したアゴスタ70級潜水艦を2隻、その改良型(AIP推進)のアゴスタ90B級潜水艦を3隻、そのほかにイタリア製のコスモス型潜水艇を3隻運用している。しかし、わずか潜水艦5隻という戦力では、それほど緊張関係にないイラン海軍に対してはともかくも、潜水艦戦力を強化しつつあるインド海軍に対しては決定的に劣勢となってしまう。

 インド海軍は、ロシアからリース中(2012~2022年)のアクラ型攻撃原子力潜水艦を1隻、ソ連(ロシア)から調達したシンドゥゴーシュ級(輸出型キロ級)潜水艦を9隻、それにドイツで建造されたシシュマール級潜水艦を4隻運用している。さらに国産のアリハント級攻撃原子力潜水艦を2隻と、フランスとの共同開発になるカリバリ級潜水艦を2隻建造中(合計7隻が建造される計画)である。

 ちなみにイラン海軍の潜水艦は、ロシアから輸入したキロ級3隻、ベサット級(国産)1隻(建造中1隻)、ファター級沿岸域潜水艦(国産)2隻、ナーハン級小型潜水艦(国産)1隻、ガディール級潜航艇(国産)21隻、北朝鮮製ユーゴ型潜航艇4隻である。インド海軍と異なり、小型潜水艦と潜水艇が中心となっている。

 このようにインド海軍やイラン海軍は数多くの潜水艦や潜水艇を運用している。パキスタン海軍はそれに対抗して、これまでも対潜哨戒能力の整備を進め、対潜哨戒機(米国製P-3Cとフランス・イタリア製ATR-72)10機と対潜ヘリコプター(イギリス製WS-Mk45と中国製Z-9EC)18機を運用している。

 しかしインド海軍は国産の原潜建造プロジェクトやフランスとの潜水艦共同開発プロジェクトを推進しており、ますます潜水艦戦力の強化を推し進めようとしている。

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最終更新:9/1(木) 7:05

JBpress

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