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新興オンライン旅行会社・エボラブルアジアの実力

会社四季報オンライン 9/1(木) 11:56配信

 インターネットの普及が生んださまざまなビジネス。最も成功したものの一つがOTA(オンライン旅行会社)だ。それまで電話や対面で行っていた航空券やホテルの予約をネットでできるようになり、その利便性から規模は急拡大している。

 今年3月末に上場したエボラブルアジア <6191> はそうしたOTAの一つ。国内航空券の販売、ベトナムでのITオフショア開発、訪日外国人観光客(インバウンド)関連ビジネスの三つが主力事業だ。

 2007年に創業。それぞれ起業していた吉村英毅社長と大石崇徳会長が、事業を統合する形でスタートした。

 利益の8割を稼ぐのが、自社運営サイト「空旅.com」などによる国内航空券の販売だ。OTAとしては唯一、日本航空(JAL)や全日本空輸(ANA)などの大手とLCC(格安航空会社)を含めた、国内で就航している全14社を取り扱う。

 事業の中核となる予約サイトシステムは内製化しており、500社以上のサイトにOEM供給している。当初は自社の制作コストを下げる目的で11年にベトナムへ進出。12年には法人を設立し、低コストを生かしたITオフショア開発事業に参入した。

 この事業は、案件を受託するのでなく、顧客IT企業の要望に合わせて人材を集め、オフィスや人事管理だけを行うプラットフォーム型。そのため、納品延期や遊休人員の発生リスクが回避できる。

■ 武器はスピード感

 同社の特徴は「経営のスピード感にある」と吉村社長。先行者利益が大きいインターネット業界では競合に先んじて事業規模を拡大することが重要だからだ。実際、上場後には民泊事業へ参入、米国のキャンピングカー手配会社を買収、光通信と法人向け出張手配事業で提携するなど、矢継ぎ早に施策を進めている。

 目標はまず、国内トップの地位を固めること。1.6兆円ともいわれる国内航空券市場だが、JALとANAによる直接販売が大きく、エボラブルアジアのシェアは1%強にとどまる。取扱高を前15年9月期の206億円から20年ごろまでに1000億円、シェア約7%へ伸ばす計画を掲げている。今後は知名度向上のためにネット広告の積極投入を検討するという。

 競合は少なくない。米エクスペディアの取扱高は約6兆円、国内のじゃらんnetや楽天も5000億円ほどある。「彼らは宿泊予約が主体で、航空券予約の当社とは競合しない」(吉村社長)とするが、今後も参入しないとは限らない。先に断トツのシェアを押さえることが課題だ。

 株価は3月の上場時に公開価格600円(株式分割を遡及、以下同)を上回る初値890円をつけた後も順調に上昇。だが、急上昇したため、7月以降は利益確定売りに押され、下落基調に転じている。PER(株価収益率)など株価指標も将来期待を織り込んでおり、やや高め。再び上昇トレンドに回帰するには急成長の持続性を示す必要がありそうだ。

※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。

松浦 大

最終更新:9/1(木) 11:56

会社四季報オンライン