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カープ・野村祐輔をエースに押し上げた、オフからの『周到な準備』。進化した内角の使い方

ベースボールチャンネル 9/2(金) 11:00配信

担当スカウトは春から活躍を予言

 シーズンを通して活躍するため、野村祐輔は、1月の自主トレからハードなトレーニングを自らに課してきた。ランニングによる下半身強化、バランス系、安定したパフォーマンスに結びつけるためのウエイトトレーニング……すべてに時間を惜しまず、丁寧な準備を行ってきた。

 キャンプでも積極的に投げ込む野村に、担当スカウトだった苑田聡彦(スカウト統括部長)は言った。「15勝はするぞ」。
 その予感は正しかった。開幕からコンスタントに白星を重ね、6月には4勝をマークし、月間MVPにも輝いた。7月29日DeNA戦で4回8失点を喫したものの、8月に入ると、また安定したゲームメイクぶりを見せている。

 今シーズンは、調子の波をなくすことにこだわってきた。エース前田健太を間近でみてきただけに「1年を通して活躍してこそローテーション投手」との思いは強い。

 そのための土台を冬に作り上げたのだった。苑田は言った。
「足を上げたときに、軸足が根を張ったように微動だにしません。腕の振りも、もともと柔らかいものがありますが、今年はフィニッシュの力強さがあります。ストレートにキレ、さらにインコースの使い方が上手になったように感じます」

シュートが投球に幅

 内角球はキャンプから力を入れてきた。シュートである。これまで、プレートの三塁側を踏んでいたが、「シュートを投げるのに窮屈」ということで、一塁側を踏んで投げるようにした。
「これで、例年と違った投球ができるようになりました。シュートはカウントを整える球にもなったし、引っ張りに来る右バッターはファールになるので、それでカウントが稼げます」(野村)

 本来から、外角低めへのコントロールの良さには定評がある。そこに、精度を増したシュートが加わることで、まさに「鬼に金棒」状態となったのである。

 優勝へのカウントダウンが始まったチームにあって、野村はフル回転を続ける。ここから先も好投を誓う男の意識は極めて高い。中6日の期間も、トレーニングやケアに余念がない。自主トレからの取り組みは、シーズン中も継続している。移動の多かった今年の夏も、睡眠時間はしっかり確保してきた。むしろ、「少し練習量を落とした時期のほうが、体の調子としては比較的良くなかった」と言うほどである。

 25年ぶりの悲願へ、チームはラストスパートに入った。歓喜のリーグ制覇はもちろん、クレバーな野村のことだ、その先も見据えているはずである。

 イニング数、安定感、ゲームメイク、先発ローテーション投手の責任を背負いながら、背番号19はVロードを歩む。その先に、カープの夢と15勝も見えてくるはずである。

ベースボールチャンネル編集部

最終更新:9/2(金) 11:00

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