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iPhone7発売、アップルが携帯キャリア(MVNO)になる日

Wedge 9/2(金) 11:10配信

 次のiPhone(7/7plus)が9月7日に発表されることが確実視されているが、新しいApple Watchも同時に発表されるかもしれない。8月19日にブルームバーグは、次のApple Watchに計画されていたモバイル(携帯)通信機能の搭載が、通信チップのバッテリー消費量が大きいという理由で延期されたと報じた。新しいApple Watchは、GPSが搭載されてクリスマス商戦の前には発売されるようだ。

 昨年の11月のこのコラムの『IoTもアップルが制するのか?Apple Watchの真の狙い』という記事で「Apple Watchは直接インターネットにつながることによって、その存在価値を大きく変えることができる」とモバイル通信機能の重要性を説明したが、アップルはその準備を進めていたようだ。

iPhoneの呪縛から解放する

 モバイル通信機能が搭載されたApple Watchは、iPhoneを携帯しなくても活用できるようになる。しかしiPhoneを所有していることが前提となっている限り、Apple Watchが多くの人々に受け入れられることはないだろう。

 2001年1月のマックワールドエキスポでiTunesを発表したとき、スティーブ・ジョブズは「Macはデジタルハブとなって、いろいろなデジタルデバイスに素晴らしい価値を与えるだろう」と言った。その10月にiPodが発売され、1000曲の音楽と、iTunesで編集したプレイリストを持ち運べるようになり、スクロールホイールという画期的なユーザーインタフェースによって新しい価値が生み出された。

 その時のiPodは、まだMacの周辺機器に過ぎなかった。1997年にCEOとしてアップルに復帰したばかりのジョブズにとって、Macの価値を上げることが最も重要な課題だっただろう。iPodの販売の伸び悩みに、部下がiTunesをWindowsにも展開すべきだとジョブズに進言したとき、

 彼は「くそったれ! 好きなようにするがいい! 俺は知らんからな!」と言って部屋から飛び出していってしまったそうだ。アップルは2003年4月にiTunes Music Storeを開始したが、10月にはiTunesをWindowsにも提供し始め、Macの呪縛から解き放たれたiPodのブレイクが始まった。

 モバイル通信機能を搭載することによってiPhoneの呪縛から解放されたApple Watchは、どのような新しい価値を生み出すことができるのだろうか。それは「ポケットからiPhoneを取り出さなくて済む」とか「座り続けていると、立ち上がって動けと教えてくれる」とかの「なくてもいい」ものではないはずだ。

 今年に入ってアップルは、個人の健康情報を管理・共有する技術やサービスを手がける米国のベンチャー企業を買収している。精度を向上させたセンサーによって検知した身体の状態を、リアルタイムでインターネットに送ることができるようになれば、そのデータを活用した新しい健康管理・支援のサービスを提供することができるだろう。8月には機械学習と人工知能(AI)に取り組むベンチャー企業も買収している。それらの技術によってユーザーの行動パターンを理解し、腕に巻かれたデバイスならではの新しいユーザーインタフェースで、乗り換え案内や道案内をするサービスなども考えられる。

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最終更新:9/2(金) 11:10

Wedge

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