ここから本文です

ここ最近の公取委の「活躍」に重大な懸念…「市場独占=消費者に不利益」の大嘘

Business Journal 9/2(金) 6:02配信

「市場の番人」と呼ばれる公正取引委員会が存在感を強めている。インターネット通販大手、米アマゾンの日本法人に対し、独占禁止法違反(不公正な取引方法)の容疑で立ち入り検査を実施。一方で、大手携帯電話会社によるスマートフォン端末の売り方について、分割払いの総額を指定する行為など独禁法違反の恐れがある事例を示し、是正を求める考えを明らかにした。

 公取委のホームページ上では、独占禁止法の目的についてこう説明されている。

「消費者の立場から見ると、市場において企業間の競争がなくなってしまうと、より安い商品やより良い商品を選ぶことができなくなるなど、消費者のメリットが奪われてしまいます」

 海外の独禁当局や主流の経済学説とも共通する考えである。しかし、独占が消費者の利益を損なうという通説は、歴史の事実や経済の現実からみて、正しいとはいえない。

 現代の独占規制は、19世紀後半の米国にさかのぼる。当時独占が消費者の利益を損ねたとされる例として最も悪名高いのは、石油王ジョン・ロックフェラーが興したスタンダード石油である。同社による独占の「弊害」は、今でも独禁政策を正当化する事例としてしばしば言及される。

 だが、スタンダード石油が消費者の利益を損ねたという説は、事実の裏づけに乏しい神話にすぎない。ロックフェラーは1839年、行商人の息子として生まれる。高校を卒業後、簿記の助手を手始めに、セールスの仕事をいくつか経験する。信仰深く、勤勉で倹約に努めたロックフェラーは、23歳までに十分な資金を蓄えると、仲間と共同でオハイオ州クリーヴランドの製油所に投資する(1870年にスタンダード石油に改組)。

 ロックフェラーは、ときには肉体労働者に交わって事業を細部まで理解し、コストの低減と製品の改善・拡充に努めた。そのおかげで、同社の精油市場におけるシェアは1870年の4%から1874年には25%、1880年には85%に上昇する。

 一方、販売拡大に伴い、1ガロンあたりの製造コストは1869年の3セントから1885年には0.5セント未満に低下した。ロックフェラーはコストの低下分を消費者に還元し、1ガロンあたりの価格を1869年の30セント強から1874年には10セント、1885年には8セントに引き下げる。 従業員にも競合他社を大きく上回る賃金を支払った。このため、ストライキや労働争議で事業が滞ることはめったになかったという。

1/3ページ

最終更新:9/2(金) 6:02

Business Journal

なぜ今? 首相主導の働き方改革