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『君の名は。』新海誠インタビュー「エンタメど真ん中」を志した理由とは

KAI-YOU.net 9/2(金) 17:00配信

キャラクターデザインは『心が叫びたがってるんだ。』などで知られる田中将賀さん、作画監督は『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』を手掛けたスタジオジブリ出身の安藤雅司さんが担当。

【大ヒット中の『君の名は。』場面写真】

さらに、唯一無二の世界観と旋律で熱狂的支持を集めるロックバンド・RADWIMPSが、主題歌を含めた音楽を制作するなど、これまでの新海作品とは明らかに異なるスケールで、異なる雰囲気を帯びている。

その不思議な雰囲気の正体、そして制作の経緯や本作が目指す「エンターテインメントのど真ん中」という真意について、新海監督の前後編のインタビューを通して探っていきたい(後編は9月9日(金)公開予定)。

『クロスロード』で感じた手応え

──互いを知らない少年少女が夢を通じて入れ替わる『君の名は。』は、どのような経緯で生まれたのでしょうか?

新海誠(以下、新海) 『君の名は。』の企画書を描いたのが2014年の7月頃。その年の2月に、通信教育・Z会のCMとして『クロスロード』という作品を制作しました。離島に住む少女と東京に住む少年の人生が、同じ大学を受験することで交差する物語です。このCMで、本来は出会うはずのない男女の触れ合いというモチーフに手応えを感じたことが、制作のきっかけになっています。

今は名前も顔も知らないけど、未来で出会う人の中には、将来大切な存在になる人がいるかもしれない。僕たちの日常は、そういった可能性であふれているということを、より深く掘り下げて描きたいと思いました。

その中で、小野小町の「思ひつつ寝ればや人の見えつらむ 夢と知りせば覚めざらましを」という和歌を出会いのヒントにさせてもらったり、性格が正反対な男女を取り替えて育てる「とりかへばや物語」(平安時代に成立した作者不詳の物語)から、“入れ替わり”というアイデアを得たりすることで、徐々に作品の世界を組み立てていきました。

──Z会のCMでは、本作でキャラクターデザインを担当する田中将賀さんと、初タッグを組んでいます。当時の印象を教えてください。

新海 田中さんとの出会いは、『クロスロード』で感じた手応えのひとつです。

僕がそれまで行ってきた、背景美術を全面に押し出すような作品づくりと、『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』や『心が叫びたがってるんだ。』など、キャラクターアニメーションを代表する田中さんの絵が、同じ画面上で成立する。

そのことに気づいたとき、「次回作で長編をつくるなら、田中さんとのコンビネーションでやりたい」と、強く思うようになっていたんです。

──一方で、作画監督の安藤雅司さんは、『もののけ姫』や『千と千尋の神隠し』など、スタジオジブリ作品を中心に活躍されています。どのような経緯で依頼されたのでしょうか?

新海 最初は実現の可否を無視して、自分の好きな作画監督として「安藤雅司さん」という話をしていたんです。制作スタジオであるコミックス・ウェーブ・フィルムに、スタジオジブリ出身で安藤さんの先輩だった人がいたので、是非にとお願いして紹介してもらいました。

初めて安藤さんにお会いしたのは2014年の年末くらいですが、3~4カ月ほど経って、「僕のように、今まで地味な芝居を描いてきたアニメーターが田中さんのキャラクターを描くことで、面白さが見出せそうな気がする」と、引き受けていただきました。

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最終更新:9/2(金) 17:00

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