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未来都市にクルマはいらない、とマンハッタンは言う

WIRED.jp 9/2(金) 19:10配信

今日の午後、歩行者とサイクリストが、マンハッタン中心部の60ブロックを乗っ取ることになる[原文記事の掲載は8月13日]。通常はクルマに支配される騒々しい交差点で、ストリートミュージシャンたちが演奏するはずだ。自転車の駐車係は無料でサーヴィスを提供し、アートスタジオがボウリング・グリーン(ロウワー・マンハッタンの小さな公園)に出現する。そしてクルマはおそらく、革命のさなかの貴族のように逃亡するだろう。不便になるようにと意図的に設定された、時速5マイルという速度制限におびえて逃げ出すのだ。

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「ザ・グレート・ロウアー・マンハッタン自動車実験」が行われるのは、ブロードウェイの東部、市役所とバッテリー公園の間だ。時間はたった5時間だが、道路を歩行者専用にする実験としてはこの10年でニューヨーク最大のものとなり、これは世界的なトレンドの一環でもある。

マドリード、パリ、ロンドン、上海のような大都市は、ますますクルマよりも歩くことを促進するようになっている。その理由を理解するのはたやすい。科学者たちが、歩くことは、よりよい健康状態、自然に発生する(もしかすると楽しい?)社会的交流、大気汚染の減少につながることを証明しているからだ。

ニューヨークは慎重にこのゲームに参加しつつある。この街の運輸局が密かに「シェアストリート政策」と呼んでいるものを通じて、ロウアー・マンハッタンでのクルマの地位を下げようとしているのだ。市の職員はこのエリアのあちこちで、人々とクルマの動きを調べる。特に迷惑を被りそうな地元の会社と話をする。そうした会社は、大半の配達をクルマとトラックに頼っているため、影響を受けるのだ。

そして職員たちは、このエリアからクルマを追い払えるかどうかを見極めようとしている。それは永遠に、という意味かもしれないし、あるいは少なくとももっと頻繁に、ということかもしれない。「わたしたちが調査しているのは、間違いなく重要な問題です」。ニューヨーク市運輸局のパブリックスペース部長、エミリー・ヴァイデンホーフは言う。

▼都市はもっと歩いてほしがっている

ニューヨークは、これまでに道路を歩行者専用にしたことがまったくないわけではない。

2008年、当時の市長マイケル・ブルームバーグと、野心家の運輸局長ジャネット・サディック-カーンは「サマーストリート」を開始した。これはいまでは年1回のイヴェントになっており、週末に、パークアベニューやブロードウェイなど、クルマが多数を占める大通りで活気あふれるストリートフェアを行うというものだ。昨年は、30万人がクルマのいない空間を利用した。ニューヨーク市はまた、永続的なアクションも行ってきた。タイムズ・スクエアのようなエリアから、無期限でクルマを締め出したのだ。

ほかの都市では、大規模な歩行者専用道路化が実施されてきた。マドリードは、最も交通量の多い通りのいくつかを歩行者が使いやすいように再設計し、住民以外が中心地区でクルマを運転しているところを捕まえると罰金を課している。

60年代以降、コペンハーゲンはゆっくりとその都心を、歩行者とサイクリストに明け渡してきた。サンフランシスコは、地下鉄の建設に配慮し、中心街のショッピングエリアの一部で一時的にクルマを禁止したが、それを続けてほしいと思っている企業もある(絶対にやめてほしいと思っている企業もある)。

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最終更新:9/2(金) 19:10

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