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柳田抹消の影響は? パリーグ優勝争いの行方。最後は底力の差でホークスV3【小宮山悟の眼】

ベースボールチャンネル 9/2(金) 17:10配信

急失速の要因は、「李大浩」と関係なし

 パリーグの首位争いが熱い。

 今年のペナントレースは、開幕して間もなくソフトバンクが首位に立ち、独走劇を演じてきた。ところが、交流戦明けから日本ハムが猛追を開始。8月25日には、一時的とはいえソフトバンクを交わし首位に立った。両チームのマッチレースは続き、29日現在、勝率1厘差でソフトバンクが上回っている状況だ。

 この展開を生んだ要因は、日本ハムの信じられないような追い上げと、ソフトバンクの信じられないような、もたつきに他ならない。

 ソフトバンクの独走優勝を予想していた私としても、この状況は想定外だ。ソフトバンクの選手たちにとっても、これほどチームが不調に陥るのは初めての経験だろう。みんなが慌ててしまい、それが連鎖反応してしまっている。

 なかなか上向かない打線の調子に対し、チーム関係者からは、「良いピッチャーと対戦すれば、そんなに点が入るものではない」という逃げの姿勢の声も聞こえてきている。その中には、「去年までは李大浩がいた」という禁断のセリフもあった。

 李大浩は昨年まで、そつなく4番の仕事をこなしていただけに、チーム内ではその存在が大きく感じられたのだろう。だから、その不在を嘆きたくもなるのだと思う。

 だが、外から客観的に見れば、彼の抜けた穴はそれほど大きくはない。ポジションが一つ空いたことで今季は、調子のよい選手をフレキシブルに起用でき、自慢の選手層をより有効に活用しているように、私の眼には映る。
 それなのに、この時期にそんな言い訳めいた逃げの声が聞こえてくるのだから、チーム状況はかなり深刻なのだろう。心配になる。

大谷はなぜ登板しないのか?

 一方、日本ハムの頑張りは驚異的だ。6月下旬から7月にかけて、15連勝を含む大躍進を果たした。8月に入れば必ずその反動に見舞われると睨んでいたが、うまくかわしながら戦っている。

 唯一、不可解なのは後半戦、大谷翔平が未登板という点だろう。7月10日のロッテ戦で指のマメをつぶして降板して以降、マウンドから遠ざかっているが、ここまでくるとマメ以外の理由があるとしか考えられない。例えば、実はマメではなく、指先を骨折しているとか、故障の線が濃厚ではないか。

 単純にマメをつぶしただけなら、2週間もすれば投球できるようになる。私を含め、昭和の時代の投手は、マメがつぶれてしまったら、いろいろなことをして対処したものだ。だから、大谷の指のマメが、2カ月近くも登板できない症状とは考えにくい。

 ただ、大谷の場合は、投げられなくても、打つことでチームに貢献できる。実際に彼のバットが、驚異的な追い上げの主要因になっているのだから、現時点では、マウンドに登れないことを大きなマイナスととらえる必要もないのではないか。

 勢いよく追いついた日本ハムと、失速して追いつかれたソフトバンク。この先、どちらのチームが優勝争いを制するのか。
 私は、かねてより予想しているように、結果的にはソフトバンクが上回ると思う。

 まず、ソフトバンクの方が引き分けの数が多い点が有利だ。31日の時点で、日本ハムは0.5ゲーム差の2位だが、この数字が示すように、勝ち越し数で優っていても勝率で劣る場合がある。最後は勝率で順位を決めるのだから、この引き分け数がポイントになってくるのではないか。

 何度も言うように、日本ハムの驚異的な追い上げは見事だった。ただ、ここからのシーズン最終盤は本当の意味でのチームの底力が求められる。そして私は、まだ日本ハムの勢いや強さを完全に信用しきってはいない。

 先ほど、7月の大躍進の反動の波を乗り切ったと書いたが、もしかしたら、ワンテンポ置いた9月にその波がやってくるかもしれない。私の個人的な経験から言っても、このままシーズン終了まで走り抜けるとは考えにくいのだ。

 また、最大11.5ゲームあったソフトバンクとの差をひっくり返したことによって、チーム内に達成感が生まれる可能性もある。そうすると、どうしても燃え尽き症候群のような野球になってしまい、崩れることも考えられる。
 
 ソフトバンクのチーム状況は決して良いわけではない。実際、9月1日には柳田悠岐が骨折で離脱した。全治6週間という報道を目にしたが、ケガの個所は指先なのでバッティングにはそれほど影響を及ぼさないのではないか。かつての昭和の選手のような『男気』を見せて、私は最短10日の登録抹消で戻ってくると読んでいる。当然、柳田の復帰が遅れれば、それだけ日本ハムが有利になるが、きっとそういう事態にはならないだろう。

 最後は選手層を含めた底力の差が出るはずだ。ソフトバンクがレギュラーシーズンV3を達成すると思う。 

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小宮山悟(こみやま・さとる)

1965年、千葉県生まれ。早稲田大学を経て、89年ドラフト1位でロッテ・オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)へ入団。精度の高い制球力を武器に1年目から先発ローテーション入りを果たすと、以降、千葉ロッテのエースとして活躍した。00年、横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)へ移籍。02年はボビー・バレンタイン監督率いるニューヨーク・メッツでプレーした。04年に古巣・千葉ロッテへ復帰、09年に現役を引退した。現在は、野球解説者、野球評論家、Jリーグの理事も務める。


田中周治

ベースボールチャンネル編集部

最終更新:9/2(金) 17:10

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