ここから本文です

【プレミアリーグ移籍市場総括】支出総額1580億円と盛況ぶりの裏で「金づる扱い」という現実が浮き彫りに…。

SOCCER DIGEST Web 9/2(金) 11:30配信

大盛況の裏に見える「金づる扱い」の現実。

 今夏の移籍市場でプレミアリーグの20クラブが支払った移籍金総額は11億6500万ポンド(約1580億円)という史上最高額に達し、さらに13クラブが単価ベースの過去最高記録を更新した。
 
 マンチェスター・Uが世界最高額の8900万ポンド(約125億円)でR・マドリーとのポール・ポグバ獲得競争に勝利すると、国内では「ビッグネームがプレミアのビッグクラブを選ぶようになった証拠」だと騒がれた。
 
 だが、現実は甘くはない。見た目は盛況だった今夏の移籍市場でも、目を凝らせば「金づる」というプレミアリーグの実態が見えてくる。
 
 昨シーズンのチャンピオンズ・リーグでもプレミアのクラブの成績が冴えなかったことから、金銭で釣る必要性は高まる一方で、足下を見られて商談は長引き、矛先転換を強いられた。
 
 結果として起こる市場終盤のスリルは、メディアにすれば大歓迎だが、肝心のクラブが諸手を上げて商談成立を歓迎できるわけではない。
 
 例えば、最終日最大の衝撃となったチェルシーのダビド・ルイス買い戻し。新監督のアントニオ・コンテに3バック採用というオプションを与える補強ではあるが、元々は新CBの優先ターゲットでなかったばかりか、候補リストに挙げられてさえいなかったはずだ。
 
 パリSGからは、今夏も探りを入れたマルキーニョスを買いたかったというのがチェルシーの本心だろう。
 
 その2日前にスペイン人FWのルーカス・ペレスをデポルティボから獲得したアーセナルも、せいぜい3、4番手でしかなかった新CF候補に手を出した格好だ。
 
 決して本命とは言い切れないストライカーに支払った1700万ポンド(約24億円)の移籍金はプレミア水準では高額ではないが、アーセナルはデポルティボから契約解除額での買い取りを余儀なくされたのだ。
 

2016年夏のメルカートで新天地を求めた主な選手たちを移籍写真で紹介!

先手必勝となったプレミアの移籍市場。

 ルーカスの獲得はリーガ・エスパニョーラからの新戦力が15名を超えたことを意味する移籍でもあったが、実力が折り紙付きのトップクラス購入例は、マンチェスター・Cのノリート獲得ぐらいではないだろうか?
 
 そのノリート移籍は7月初旬と、今夏の賢い買い物の例は、早期の獲得に多い。
 
 出費が嵩んだマンチェスター・Uも、開幕前にエリック・バイリー、ヘンリク・ムヒタリアン、ズラン・イブラヒモビッチ(フリー)を手に入れた。さらに開幕直後にポグバを加えたその補強は、「成功」と評価されて然るべきだ。
 
 さらにチェルシー最大の収穫で、レスターから引き抜いたエンゴロ・カンテも、7月半ばに獲得が正式に決まっていた。
 
 そしてアーセナルに最もインパクトを与える新戦力は、ルーカスと同時期に3500万ポンド(約49億円)で獲得された新CBシュコドラン・ムスタフィではなく、昨シーズン末に移籍が決まっていた新MFグラニト・ジャカだろう。
 
 ジャカの加入でチーム中盤中央での序列が更に下がったジャック・ウィルシェアは、最終日にボーンマスへのレンタル移籍で話題を振り撒いた。
 
 しかし、クラブと当人が開幕前に本腰を入れていれば、ウィルシェアは9月4日のワールドカップ予選のスロバキア戦に向けたイングランド代表メンバーから漏れずに済んだかもしれない。
 
 移籍市場では「先手必勝」。プレミア勢は、そう肝に命じるべきだ。
 
文:山中忍
 
【著者プロフィール】
山中忍/1966年生まれ、青山学院大学卒。94年渡欧。イングランドのサッカー文化に魅せられ、ライター&通訳・翻訳家として、プレミアリーグとイングランド代表から下部リーグとユースまで、本場のサッカーシーンを追う。西ロンドン在住で、ファンでもあるチェルシーの事情に明るい。
 

最終更新:9/2(金) 11:30

SOCCER DIGEST Web

Yahoo!ニュースからのお知らせ