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「米国は旗色を鮮明にせよ」と元米国防総省日本部長

JBpress 9/2(金) 6:10配信

 前回の記事(「国際社会を味方につけて中国の尖閣奪取を阻止せよ」http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47742)では、尖閣諸島(沖縄県石垣市)に対する中国の大規模な攻勢に対して日本はどう対応すべきか、ジョージ・ワシントン大学のロバート・サター教授に尋ねた。

 今回は、日米安全保障や中国の対米戦略に詳しい元米国防総省日本部長のポール・ジアラ氏へのインタビューの模様をお届けする。日本の対応に加えて、日本の同盟国である米国がどう動くべきかをジアラ氏に尋ねた。

 ジアラ氏はハーバード大学を卒業して米海軍に志願し、海軍機パイロットとして主にアジア地域に勤務した。その後、現役の海軍士官のまま国防総省勤務となり、日本部長を務めた。退官後はワシントンの複数のシンクタンクでアジアの安全保障や日米同盟についての研究を重ね、現在はワシントンの民間のアジア安全保障研究機関「Global Strategies & Transformation」の所長を務める。

 インタビューの中でジアラ氏は、民兵“漁船”を多数動員した中国の尖閣諸島への攻勢を「新しいタイプの戦争手段」と呼び、米国が日本支持を明確にする必要性を強調した。ジアラ氏との一問一答の要旨は以下の通りである。

■ 断固とした姿勢を見せないとさらに攻勢をかけてくる

 ――中国による最近の尖閣諸島周辺での新たな攻勢をどうみますか。

 ポール・ジアラ氏(以下、敬称略) 中国海警の武装した艦艇と数百隻もの民兵“漁船”を組み合わせた攻勢は、いかにも最近の中国らしい、挑戦的で好戦的かつ他に類を見ない作戦だと言えます。日本側が対処に困るのも無理のない奇抜で非対称の攻め方でもあります。新しいタイプの戦争手段と呼ぶのが適切でしょう。

 中国の人民解放軍は、対外戦略の一環として、直接的には軍事力を使わない三戦(『世論戦』『心理戦』『法律戦』)を実施していますが、今回の尖閣への攻勢は軍事力と緊密に結びついたユニークな膨張戦法です。

 特に、膨大な数の“漁船”を動員して尖閣周辺の水域を埋め尽くす方法は、日本側を威圧するための大きな効果があるでしょう。漁船の乗組員は、現実には中国人民解放軍の指揮下にある軽武装した民兵で、尖閣諸島に上陸する能力も備えています。これらを普通の漁船と見なすことは非常に危険です。

 ――日本としてはどう対応することが適切でしょうか。

 ジアラ 軍事、非軍事の両面で中国の攻勢や圧力を押し返すことです。断固として抑止、反撃しようという姿勢が日本側になければ、中国はここぞとばかりにさらに攻勢をかけてくるでしょう。

 もしも実際に中国が軍を動員して尖閣諸島への上陸や占拠を試みた場合、その動きを阻止できる防衛力の整備が必要です。そのためには尖閣付近で海上艦艇、軍用機、ミサイルなどを強化することが不可欠です。

 尖閣諸島周辺で米軍と共同で演習を実行することも大きな効果があるでしょう。ただし尖閣が攻撃を受けた場合、最初は日本が自主的に防衛努力をしなければ、米国の支援は始まらないかもしれません。

■ 日米は尖閣諸島周辺で演習を

 ――オバマ政権は尖閣問題に対してまるでまったくの第三者のような姿勢を保っています。尖閣諸島が日米安保条約の適用範囲に入ると言明はしていますが、「有事には尖閣を守る」とば述べません。そして領有権についてはまったくの中立の立場を取っています。こうした米国の態度をどうみますか。

 ジアラ 私はこの尖閣の事態は日米両国にとって共通の課題だと思います。日米同盟そのものへの挑戦でもあるのです。

 オバマ政権は確かに『尖閣諸島の領有権に対して、米国は特定の立場を取らない』と言明しています。つまり中立だということです。

 しかし私は、尖閣事態の重大さを考えると、米国は旗色を鮮明にする時期が来たと思います。日米同盟のためにも、また米国自体の国益のためにも、米国政府は「尖閣諸島は日本の領土だ」とする立場を明らかにするべきだと考えます。米国のそうした日本支持の表明が中国の侵略的な攻勢を抑止する効果を生むでしょう。

 ――確かに米軍は尖閣諸島近くの海域、空域には出てきません。その周辺で米軍が演習でもすれば、中国に対する明確かつ強固なメッセージとなりますね。

 ジアラ はい、私も米軍には尖閣周辺で演習をするぐらいの積極性があってもよいと思います。現在の状況は深刻であり、日米同盟としての対処が必要なのです。

古森 義久

最終更新:9/2(金) 6:10

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