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「愛していたけど…」わが子を殺してしまった親の共通点

ダイヤモンド・オンライン 9月2日(金)6時0分配信

● 愛していたけど、 殺してしまいました

 タイトルだけを見れば、自分には理解できない種類の人たちが、目を覆いたくなるような行為ばかり繰り広げる内容と思われるかもしれない。だがその予想は、大きく裏切られることになるだろう。最初はよくある感情の行き違い程度なのだが、それが引き寄せられるようにいくつも重なり合い、気付けば取り返しのつかないことになっている――そんな印象だ。

 本書『「鬼畜」の家 わが子を殺す親たち』で紹介される3つの事件は、実子への虐待、殺人、死体遺棄などで世間を賑わせたものばかりである。厚木市幼児餓死白骨化事件、下田市嬰児連続殺害事件、そして足立区ウサギ用ケージ監禁虐待死事件。本書はこれらの事件の詳細を、丁寧に追いかけたルポルタージュである。

 ネグレクト、DV、嬰児殺し。この手の事件が起これば、その親たちは「鬼畜」と呼ばれ、その非道な行為は瞬く間に広まっていく。だが、犯人たちは、いずれも法廷でこう述べた。「愛していたけど、殺してしまいました」と。

 それはある意味において真実であり、量刑を軽くするための言い逃れからくるだけの言葉ではなかった。彼らは方法も感覚も大きく間違えていたが、心の底からそう思っていたフシも伺えるから話は複雑なのである。それならば、なぜ彼らは虐待を続け、そして子供たちは命を奪われることになったのか。

● 3つの事件の親にあった 極めて強い受動的な対処様式

 事件が起きた場所も経緯もまったく異なる3つの事件だが、直接手を下した親たちには共通の気質がある。その1つが「極めて強い受動的な対処様式」というものだ。下田市嬰児連続殺害事件を起こした高野 愛。彼女は高校2年生の時から10年余りの間に、8人の子供を妊娠している。妊娠した時の相手は様々だが、常に相手の男性に認知や養育費を請求することはなかった。そして中絶しようにも費用がなく、周囲に相談できぬまま出産時期を迎えてしまい、自宅で人知れず出産したことも数回あったという。

 親戚や親からは「生活費」という名目で給料を搾取されており、「仕方ない」と受け入れる度に、彼女は都合の良いだけの存在へと成り下がっていく。常人ならありえないと感じるような状況でも、何とかなるという思いだけで全てを受け入れてしまうのだ。彼女の行動の中に、現実と向き合って解決策を練るといった方法は存在しない。

 もう一つの顕著な気質は、「育児イメージの乏しさ」というものである。厚木市幼児餓死白骨化事件で理玖くんを死なせた、父親の斉藤 幸裕。彼は5歳の子をアパートに放置し、死に至らしめてなおも7年間放置した。妻に逃げられ、料金の未払いのためにガス・水道・電気は止められ、まるでゴミ屋敷のような環境の中で父子は生活を送っていたのである。

 食事は1日1回コンビニで買ったものだけ。オムツの交換も1日1回。そんなある日、父親の仕事中に理玖くんが外へ出てしまったことから、和室への監禁が始まる。一般的には虐待と定義されるような行動を、本人は虐待という意識を持たずに行ってしまっているからタチが悪い。だから小学生がペットを死なせてしまう時のような状況で、自分の子供も死なせてしまうのだ。

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最終更新:9月15日(木)15時40分

ダイヤモンド・オンライン

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