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「Hana倶楽部」告発話で大揺れ

月刊FACTA 9/3(土) 0:55配信

「Hana倶楽部」告発話で大揺れ

美貌や歩く姿を褒め称え、高揚したところで高配当の儲け話。どうなるセレブの出資金。

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昨年11月10日、東京・浅草の遊園地「花やしき」に中高年の艶やかな歓声が響いた。この日、開催されたイベントは題して「大人だらけの文化祭」。集まったのは株式会社Shunkaの「Hana倶楽部(以前の名は春華乃会)」の会員たちだ。

イベントには、中高年にはおなじみの芸能人が審査員で加わった。カラオケオーディションには錦野旦やあべ静江の姿が、女性らがウォーキングの華麗さを競う「モデルオーディション」では梅宮アンナの顔があった。

イベントの主催者であるShunkaとはいかなる会社なのか。自社WEBでは「アクティブシニアを中心に仲間と一緒に人生を楽しめる商品・サービス・技術を提供する会社」「拡大する超高齢化社会の中で老いに立ち向かい、高齢者が住みやすい環境づくりを目指します」と目的をうたっている。どうやら、中高年の生きがいとなるイベントの演出を、事業の柱と打ち出しているようだ。

Hana倶楽部はそんなShunkaの事業に賛同する会員で構成される。その会員たちに今年6月1日、なにやら騒々しい文書が送られた。

「㈱ロゼッタホールディング代表取締役、飯田正己が㈱Shunka代表取締役、蓑輪繁明の事業計画のもと、20億円以上を融資貸付しておりましたが、度重なる返済遅延のため、本日を持(ママ)って株式会社Shunka代表取締役・蓑輪繁明に対し、東京地方裁判所にて告訴告発に及んだことを通知させていただきます」

■購入しても商品は届かず

会員らによると、飯田氏はShunkaの会長を名乗り、かつては別の同様のビジネスに関わっていた時期があったという。

また、蓑輪氏は飯田氏の部下だというが、どうやら文書が伝えたかった真意は、両者の間に内輪もめが発生したことではなくShunkaの運営資金が底をついたことだったようだ。

別の会員にはShunka代表名入りの「存続が厳しくなった」との文書が配られた。東京ドームシティホールで6月15日に開催予定だったショーも「熊本大地震と諸般の事情」を理由に突如、延期が伝えられた。

これらの文書やメールをきっかけに多くの会員の間に動揺が走ったが、それは楽しみにしていたイベントが中止されたからではない。実はShunkaは「投資事業」も行っており、Hana倶楽部に所属する多くの会員がShunkaに多額の金を投資し、見返りとして高額の配当をもらう約束になっているのだ。関係者によると、その数は約600人に上るという。

投資する会員の多くは中高年の裕福な女性で、彼女らへの配当は5月末に止まった。

会員は次のようにして投資に至った。まず、知人の紹介などでShunkaの研修に参加し、飯田氏の話を聞く。そこでカラオケやダンスイベントに誘われ、美貌や容姿を競うコンテストでやがて賞をもらうなどして、スター気分にさせられる。それと並行して金儲けの話を持ちかけられ、高額の配当やキックバックをエサに高額のお金を投資させられたり、知人を勧誘させられたりするようになる。

会員らによると、高額配当の仕組みはこうだ。まず、会員はShunkaと「加盟店契約」を結ぶ。その「FC(フランチャイズ)契約書」によると、加盟店が新しい会員を勧誘すると、Shunkaは新会員が払った会費の一部を加盟店にキックバックすることになっている。

加盟店はまた、Shunkaの関連会社の「商品」にお金を投資すれば、高額の配当を受けられる、と勧められる。水やゲーム機、ファンドなどを「購入」するのだが、実際には手元に商品は届かない。加盟店は水に投資する名目で、その「配当」をもらうのだという。

配当の比率は加盟料の多寡に応じて決まっているという。例えば100万円の加盟料を支払って加盟店になった場合、水やゲーム機、ファンドなどに100万円投資すると、年10万円の配当をもらえる。年率10%だ。

これが加盟料500万円の加盟店だと配当は年率30%にアップし、同じ100万円の水などへの投資で年30万円の配当がもらえる。さらにプレジデントクラブ(会員権料500万円)に入ると配当率は年50~60%になり50~60万円もらえる。ここ2年の間にこの高配当につられて、名目上の商品に数千万円を出した会員もいたという。

会員が集まれば集まるほど儲かるビジネスなので、加盟店集めの「営業部隊」も作られている。「ブリスタ」と呼ばれる制度で、会員がブリスタになると、知人を「加盟店」にさせたり、商品を購入させたりするたびに、知人が払う加盟料、投資金の額に応じて「手数料」をキックバックしてもらえるという。

■出資から借用に変更要請

こうした紹介料や配当を受ける会員の中には、1億円以上を稼ぐ猛者もいるという。マルチビジネスのように親-子-孫の関係を築いて資金を吸い上げる構図ではないが、中高年向けイベントで高揚感を持たせ、会員を増やし、資金を持って来させる仕掛けを施しているのだ。

だが、マルチでなし、介在商品もなしで配当が最大6割という、こんな仕組みが長続きするはずはない。Shunkaは金融庁の金融取引や投資助言に関する登録業者ではなく、集めた資金を投資・運用することはできない。高利の配当を約束している時点で「短命」が予想されるわけで、それだけでも法に触れる可能性もある。

5月、配当が止まると、投資額に比べて受けた配当が少ない会員から「元本は返ってくるのか」と不安の声が上がり始めた。

果たしてShunkaは、この事態をどう乗り切るのか。

配当延期や継続危機が会員に伝えられた後の6月下旬、東京都内で投資会員ら約50名を集めた説明会が催された。会員たちはそこで「金銭借用証書」を見せられ、投資した額を借入金に切り替えて返済すると説明されたという。すでに警察当局は、こうした動きをキャッチしており、出資から借用への変更を「騙す意図があった証左」ととらえる向きもある。

会員らによると、Shunkaは、今度は「下着」への投資で、戸惑う会員からさらにお金を引っ張る算段のようだが、そのお金を以前の出資金に対する配当に回すなら、世間はそれを「自転車操業」と呼ぶ。

ファクタ出版

最終更新:9/3(土) 0:55

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