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かつての自分のような若手を叩く。錦織圭「トップ10」の流儀

webスポルティーバ 9/3(土) 7:30配信

US(全米)オープンテニス2回戦で、第6シードの錦織圭(ATPランキング7位、8月29日付け、以下同)は、カレン・ハチャノフ(95位、ロシア)を6-4、4-6、6-4、6-3で破り、順当に3回戦進出を決めた。

【写真】日本勢96年ぶりのメダル獲得を成し遂げた錦織圭

 予選を勝ち抜いて本戦に上がり、USオープンでグランドスラムデビューを飾ったハチャノフとは初対戦だったが、「臆することなく打ってこられるのは簡単ではない」と錦織は警戒した。193cmの長身から繰り出されるハチャノフのサーブは、最高時速212kmを記録し、試合の流れがハチャノフへ傾く場面がしばしば見られた。

 第2セットでは、錦織のファーストサーブの確率が46%まで落ち、スピードの遅いセカンドサーブに対して、ハチャノフがフォアハンドにやや強引に回り込んで攻撃的にリターンした。相手のフォアハンドストロークがいいのは想定していた錦織だったが、バックハンドストロークも予想以上によく、錦織は第2セットを落とした。

 雨による2時間40分の試合中断があった後、「苦しい場面もたくさんあった」と振り返った錦織は作戦を変えて、スピン回転をかけてファーストサーブをなるべく入れて、ストローク戦に持ち込んだ。さらに、錦織がフォアやバックで先にダウンザラインに仕掛けて、ウィナーを奪ったり、ハチャノフのミスを誘ったりした。

 第3セットを取った錦織は第4セット第3ゲームで先にブレークを許すものの、結局第5ゲームから5ゲームを連取して一気に勝負を決めた。

「彼はでかいので、あまり年齢差は感じなかったですけど」と錦織が冗談交じりに評したハチャノフは、20歳3ヵ月で、現在トップ100の中で4番目に若い選手。ATPワールドテニスツアーの“ネクスト・ジェネレーション”として注目されているひとりである。ちなみに、20歳11ヵ月の西岡良仁(85位)もこのグループに入っている。

「若い選手が上がってくるのは、テニス界にとっていいことだと思いますし、学ぶこともある。これからもっともっと、こういう場面は増えてくるでしょうね」(錦織)

ハチャノフにとって、錦織戦が初めてのトップ10プレーヤーとの対戦であった。振り返れば、錦織が初めてトップ10プレーヤーと対戦したのは2008年ATPサンノゼ大会2回戦で、アンディ・ロディック(当時6位)とプレーした時だった。「ロディック(との試合)はもう忘れました」と、ちょっと構えてしまうところがあった当時18歳の錦織は、ネットプレーをめぐって、ロディックから大声で威嚇(いかく)されてトッププレーヤーからの洗礼を浴びたのだった。

さらに、2008年USオープン3回戦で、錦織が当時4位のダビド・フェレールを破って初のベスト16に進出した時をこう振り返る。

「プレッシャーがなかったわけではないけど、それを楽しんで、思い切りテニスをした。以前、その映像を見た時、よくこんなプレーできるなという思い切ったプレーが当時はあった」

かつて錦織自身がそうであったように、そして今回対戦したハチャノフがそうであるように、若い時はまだまだ足らないところがある一方で、爆発力もあるものだ。錦織は若手選手との対戦が増えた今、その点は注意しなければいけないと自戒する。

たくさんの経験を積んできた26歳の錦織は、冷静な試合運びで、ポイントを取るべき場面や大事なゲームで集中力を上げ、テニスのクオリティーも引き上げて、自分よりランキングが下位の選手の挑戦を退け、今季も手堅く勝利を重ねている。トッププレーヤーとして安定した成績を収めなければいけない錦織にとっては、とても大事な要素である。

3回戦では、ニコラ・マユ(42位、フランス)と初対戦するが、2回戦とは一転して34歳のベテラン選手と戦うことになる。

「攻撃的で、ネットにたくさん出てくるし、いいサーブを持っている。タフな試合になるでしょう」

気がかりなのは第1セット第9ゲームの後に、錦織はトレーナーに目薬をさしてもらう場面があったことだ。「半分目が見えなくて、瞼がどうにかしちゃってて、たまにボールが見えなかったんで、あまり集中できなかった」と語ったが、3回戦で症状が改善されているかどうか、キーポイントのひとつになりそうだ。

神 仁司●文 text by Ko Hitoshi

最終更新:9/3(土) 7:30

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