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責任転嫁の象徴、「使えない部下・上司」という言葉

Wedge 9/3(土) 11:20配信

 今回は、労働組合・下町ユニオン事務局長の加瀬純二氏に取材を試みた。

 長年にわたり、多くの会社員などから労働相談を受けてきた。解雇、退職強要、賃金不払い、いじめやパワハラ、セクハラなどである。これらの経験をもとに、「使えない部下・使えない上司」について語っていただいた。

20代のアルバイトが 60代派遣社員に「お前は使えない!」とダメ出し

 私は、「使えない部下」「使えない上司」という言葉が大嫌いです。人格を否定し、名誉を傷つける言葉に思えます。長年、労働相談をしていますが、ここ10年ほどでよく聞くようになりました。

 最近、倉庫で作業をする、60代の日雇い派遣スタッフの男性が相談に来ました。倉庫に直接雇用されている20代後半の常駐アルバイトの男性から、「お前は使えない!」とダメ出しをされたようなのです。男性の指示や命令は要領を得ておらず、意図どおりに動かないとすぐに「使えない奴」と怒るのだそうです。

 「俺のほうが上だ!」と40歳ほど上の人に接してくるのですが、仕事を丁寧に教えることができないのです。実は、男性も仕事を正確にわかっていないようなのです。

 倉庫や外食、コンビニ、小売業界などでは、これに近い事例を頻繁に聞きます。「使えない」と口にするその人もまた、仕事をわかっていない。それでも、「使えない」と格下のように扱う。

 この場合の「使えない部下」とは、その場の空気を察して、先回りして行動をとったり、上司などの考えを汲み取り、仕事をすることができない人のことを意味するようです。つまり、不器用で、要領の悪い人のことです。

 こういう気配りを心得ている人が、「コミュニケーション力がある」と思われているようなのです。私は、そのとらえ方は間違いだと考えています。そもそも、コミュニケーションとは、相互で意志疎通をはかることでしょう。自分のわずかな経験だけで「俺に従え」と迫り、それに応じないと、「コミュニケーション力がない」と見下すなんて、誤りです。

 「使えない部下」とレッテルをはる人に、私は聞きたいのです。本当に教育・指導をしたのですか? どこの部分がダメで、どうすればいいのか、と丁寧に教えたのでしょうか? まずは、このあたりこそが問われるべきです。

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最終更新:9/3(土) 11:20

Wedge

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